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20240226「雨粒の行方」

雨粒の行方を
ガラス越しにして
合流するように
馴染むように
じりじり下りる
繋がって
ほんの少しだけ
勢いを加え
向こう側のひかりに
形を変えながら
夜の中を進む
街頭は下を向き
その足元を照らし
わたしのどこかにも
焦点を合わせ
その都度下る
落とした物ものが
どこかで出会い
それぞれが降りている

爺さんの眼差しの
その加えた年月で
どんな風景を
眺めているのか
蓄えた含蓄もまた
重荷だというのなら
それをも流し
涙の渇きで
また滲む
ふるとりの眼で
かねへんの楽しさで
美しさまで保っている
これまでとこれからと
何度落として
何度拾い
ようやくそこに居てるのに
既にそこに居ないみたいに
乾いたしわに刻んで
佇んでいる

そもそも雨は降っているのか
窓辺に座って
行き交うそれぞれを見ている
何に興味があるのか知らないが
いつもそこにいるのは
何かがあるのだろう
右から左へ
左から右へ
そもそも見てないかもしれない
写るものの本質だけを拾い
あとは捨て去ってるかもしれない
名前も知らない
けれども誰かはそう呼び
ちゃんと答えてるのだろう
勝手に名前を呼んでも
うんともすんとも言わないから
窓際の猫は置物のよう
雨粒の降る一瞬を
その眼に宿す

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