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小説編集者の仕事とはなにか?(レビュー/読書感想文)
小説編集者の仕事とはなにか?(唐木厚)
を読みました。新刊です。
編集者の仕事を、徹底的に語り尽くす!
講談社ノベルスだけでも180冊以上を担当し、メフィスト賞の創設にも携わった編集者・唐木厚。京極夏彦氏や森博嗣氏のデビューを世に問うた筆者が、いかに本づくりに打ち込んできたのか。編集者の仕事の本質に迫ります。数多くの作家とタッグを組んできた豊富な経験と鍛え上げられた奥深い知見から、編集者に必要な能力をいかに養えば良いのか丁寧にまとめました。それだけではなく、右肩下がりと言われている小説の現状の分析と、未来への熱い展望についても独自の視点で語ります。ミステリについてのQ&Aも掲載、ミステリ好きも必見です。「小説編集者の仕事とはなにか?」筆者と一緒に楽しく考えてみませんか。
そう。この人が、30年前ぼくがかけた電話に出てくださった“始まりの人”です
──京極夏彦
面白かったです。
上記引用の紹介文を読んでワクワクした人は躊躇わず手にとって読んでみてください。
「小説編集者の仕事とはなにか?」というタイトルではありますが、一般的な職業紹介の本というよりも、講談社ノベルスの編集に長く携わった唐木さんの自伝書のような内容です。
私のように青春時代を、
・新本格ミステリー
・創成期メフィスト賞作品
と共に過ごした、本好き――特にミステリー好きは感涙ものです。
ある種、この時代の、このジャンル(ミステリー/講談社ノベルス)の記録書としての価値もあると思います。
80年代から00年代前半の時期というのは多くの才能あふれる先達がミステリーというジャンルの地盤を固めて、そのうえで古典から大きく飛躍させた重要な時代だったのだと思います。
ちなみに、一昨年、唐木さんより更に先輩にあたる伝説的編集者の宇山日出臣さんの追悼文集も出版されています。
これは比較的有名な話でしょうが、デビュー前の京極夏彦さんが「小説の持ち込みという制度は今でもあるのですか?」と講談社編集部に電話をかけてきたときのエピソードもかなり詳細に語られています。この電話を取ったのが唐木さん。「姑獲鳥の夏」誕生譚です。
その他、
・森博嗣さん
・清涼院流水さん
・浦賀和宏さん
・古処誠ニさん
・小泉迦十さん
・辻村深月さん
等など、メフィスト賞出身作家さんらのデビュー時の貴重なエピソードが詰め込まれています。
唐木さんは自身も編集者として、編集という仕事、また、現代の出版業界ひいては小説というジャンルの置かれる状況への警鐘も本書のなかで鳴らしています。
・SNSによる自己プロデュースの容易な時代に編集者の役割とは?
・コンテンツのあふれる現代において小説の立ち位置は?
・これからの若い読者に求められる小説の文体
特にミステリファンは、第四章の「編集者としてミステリを考える[Q&A]」は必読!
本書は、編集者という仕事を目指す人だけでなく、小説家を含めた色々な意味での書き手を目指す人、より広範にエンタメ系のクリエーターを目指す人に何かしらの創作のヒントを与えてくれそうです。
活気付いていた業界の過去をレビューするだけでなく未来志向の提言できっちり締める。さすが名編集者さんです。
#読書感想文
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#メフィスト賞
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