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アリス・ミラー城殺人事件(レビュー/読書感想文)

アリス・ミラー城殺人事件(北山猛邦)
を読みました。

北山作品はそこそこ数は読んでいますが、代表作のひとつに挙げられることのある本作は何故か読んでいませんでした。2003年の作。

鏡の向こうに足を踏み入れた途端、チェス盤のような空間に入り込む――『鏡の国のアリス』の世界を思わせる「アリス・ミラー城」。ここに集まった探偵たちが、チェスの駒のように次々と殺されていく。誰が、なぜ、どうやって? 全てが信じられなくなる恐怖を超えられるのは……。

講談社「アリス・ミラー城殺人事件」紹介ページより(上記リンク)

本作は、本格ミステリ好きの、本格ミステリ好きによる、本格ミステリ好きのための作品という感じです。

本格ミステリ界隈では、北山猛邦さんは物理(トリック)の北山と呼ばれることもあるようです。

その認識が私のなかにもあるので、どんな突拍子もないシチュエーション(例えば奇怪極まる密室殺人事件など)が作中で起こっても、作者が北山さんであれば、心理的なトリックなどを使った搦め手ではなく、正攻法の回答が用意されているのだろうなという安心感があり、実際、本作もそうでした。

横溝正史の本陣殺人事件から連綿と続くピタゴラスイッチ的機械トリックとか。
(大好きですよ)

作中には、登場人物たちによるミステリ談義があります。これ自体は古典作品にも多数の例があるように珍しいことではないのですが、談義のテーマが「ミステリにおける物理トリック」である点は、作者の思いも含まれているように思え(読者の期待に応える物理トリックメインの作品を量産することの心境?苦悩?)、興味深い内容でした。

さて、本作には予備知識無しで読んだ場合、最後の最後に予期せぬ方向から頭をガツンとやられるようなとある仕掛けが張り巡らされています。
この投稿時点での北山さんの最新作である「月灯館殺人事件」は2022年の発表であり、これも私は読んでいるのですが、作品に内在するトリックの全体設計としては似通ったものを感じました。

アリス・ミラー城殺人事件は、純度100%の本格ミステリを味わいたい人にオススメです。是非!


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