詩 おいかけっこ
おいかけっこ
本当に哀しいのは、
心は凍えているのに季節は春になることです。
本当に寂しいのは、
心が晴れないままお外の雨が上がることです。
本当に苦しいのは、
眠れないまま朝を迎えることです。
明日も生きたいと悔しがって死ぬのは幸せなことです。
もう死にたいと思いながら生きるのは不幸せなことです。
かけがえのない友を亡くした日の空はとても青かったです。
その次の朝も昨日と変わらず蝉が鳴きました。
そして時間が過ぎて気付かぬうちに秋になります。
カレンダーをめくるたび、
添えられた絵に相応しい季節になっています。
人間はその季節にふさわしい格好をしています。
時計を見るたび、
その時間に相応しい空の色になっています。
人間はその時間に相応しい活動をしています。
季節は心を追い抜いていきます。
時間は心を追いかけてきます。
人間は季節に追い抜かされて病気になります。
人間は時間から逃げきれなくて病気になります。
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