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特別展 赤羽末吉『スーホーの白い馬の画家』


特別展の概要

2023年9月9日~11月7日
北海道文学館 特別展示室
『スーホーの白い馬』(再話:大塚勇三 画:赤羽末吉 福音館書店)の画家としてよく知られている赤羽末吉さんの画業とその魅力を紹介する展示。
今回は原画ではなく「ピエゾグラフ」という高精度の複製画が展示されています。

文学館中島公園側入り口にて

赤羽末吉プロフィール

赤羽末吉(あかばすえきち)
1910年、東京都生まれ。
32年、日清州(現•中国東北)に渡る、わずかな期間を除き、 学で絵を描く、満州国国展で3回特選入賞、17年帰国、その後アメリカ大使館に勤務のかたわら、挿絵・絵本の仕事をする。
61年、「かきじぞう」(福音館書店)でデビュー、以後「スーホの白い馬」
「ださいくとおにろく」(ともに福音館書店)などを発表。
絵本制作とともに、西川流察家一門の舞間制の舞合美術を手がける。
65年、「ももたろう」(福音館書店)と「白いりゅう黒いりゅう」(岩波書店)で産経児童出版文化賞を受賞。
その後も国内外の賞を多数受賞し、80年にはその業に対して日本人としては初めて国際アンデルセン賞画家賞を受賞。
82年には「絵本わらべうた」「そら、にげろ』(ともに体成社)で、ライプチヒ国際ブックデザイン展金賞を受賞した。
生産80冊の絵本を遺した。90年没

『私の絵本ろん』中・高生のための絵本入門(平凡社)より

展示構成

Ⅰ赤羽末吉さんはどんな人?
Ⅱ代表作『スーホーの白い馬』
 原画の魅力をピエゾグラフ(高精度の複製)により味わいます。
Ⅲ中国とモンゴルの民話の絵本
 『王さまと九人のきょうだい』、『あかりの花』などを原画のピエゾグラ  フをまじえて紹介。
Ⅳアイヌの伝えた物語『けちんぼおおかみ』
 アイヌの民話はどのように表現されているでしょう。
Ⅴ絵本表現の可能性
 見本の民話、宮沢賢治作品の絵本化、創作絵本、そして雪の表現と、多彩な試みの数々とその魅力

北海道立文学館フライヤーより

感想など

私は、赤羽末吉さんについて語れるほどの知識はないので簡単な感想のみになりますが記しておきます。

階段前に展示されています。写そうとするとどうしても「トイレ→」と書いてあるサインが写るので、そのサインをささっと移動して撮影(ちゃんと戻しました)


階段にはおへそがえる。娘が「鳥獣戯画みたいだね」と言っていました。


入り口前にたくさん絵本や書籍の展示があり、もうわくわく。帰りにどれ買おうか・・・と娘と相談。「あ!これ懐かしい!」「これもうちにあるね」と娘も手にとって見ていました。

みんな欲しくなっちゃう!

赤羽さんの絵は、赤の美しさ、そしてグリーンの美しさも特別なものであることが知られていますが、展示を眺めているとつくづくとそれを感じた。『スーホーの白い馬』や『だいくとおにろく』は特にその美しさが際立っている。

『スーホーの白い馬』について、『私の絵本ろん』赤羽末吉著(平凡社)の中で、かつて訪れた内蒙古で感じた大きな空と大地、自然の厳しさの中にいるひ弱な人間が大地に足をふんばってたくましく生活していることに感動したことが『スーホーの白い馬』に結びついたと書かれてた。
 展示を見て、徹底した取材に基づいて描かれているということもわかりました。取材で撮影した写真もたくさん展示されていて、赤羽さんがそれを見ながら描かれたことがよくわかります。数枚の写真から部分的に抜き出して一枚の絵の中におさめているようなものもありました。

「わかっても、わからなくても、シカとした本質的なものをみせることが大切だ」

「絵本ろん」平凡社より

このような思いで描かれていたことがとても伝わってくる展示内容でした。

『かさじぞう』や『つるにょうぼう』は墨絵のようでわびさびのようなものも感じる。展示では雪の表現に注目していました。

『私の絵本ろん』の中で赤羽さんは日本の「湿度」について言及しています。日本の湿度が文化とも結びついていること、日本の文化は、湿度から生まれた「カゲリ」の文化であり、『つるにょうぼう』のハタオリの場面では日本のシットリとか、ジットリを追求し表現したとも書かれていました。
 確かにあらためて見返すとそのような雰囲気を感じます。「なんとなく暗い」と思っていたのは「暗い」というより「カゲリ」なのかもしれません。

そして、初めて見た『けちんぼおおかみ』のお話の展示も興味深かった。
お話も絵もとても面白くて。
題名通りけちなおおかみのお話ですが、そこまでやっつけられちゃうの…とちょっとかわいそうでもあり。
一緒に行った娘も「これはちょっとかわいそうだよ・・」とつぶやいていました。

最後に

今回、ピエゾグラフ(高精度の複製)での展示でしたが、原画だと言われたら私は信じたと思いました。原画ももちろん見てみたいですが、やはり長く保管していくことを考えた場合、ピエゾグラフでも充分楽しめると感じました。
 高校生の娘と日曜日に行きましたが、入場料をお支払いする時受付の方が「あら!土曜日は高校生無料なんですよ。今度は土曜日にもどうぞ」と教えてくれました。親切。
そして娘は絵が好きなので実にじっくりと熱心に見ている。連れて来る甲斐があります。また娘と一緒にいろいろ見に行こうと思います。




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