特別展 赤羽末吉『スーホーの白い馬の画家』
特別展の概要
2023年9月9日~11月7日
北海道文学館 特別展示室
『スーホーの白い馬』(再話:大塚勇三 画:赤羽末吉 福音館書店)の画家としてよく知られている赤羽末吉さんの画業とその魅力を紹介する展示。
今回は原画ではなく「ピエゾグラフ」という高精度の複製画が展示されています。
赤羽末吉プロフィール
展示構成
感想など
私は、赤羽末吉さんについて語れるほどの知識はないので簡単な感想のみになりますが記しておきます。
入り口前にたくさん絵本や書籍の展示があり、もうわくわく。帰りにどれ買おうか・・・と娘と相談。「あ!これ懐かしい!」「これもうちにあるね」と娘も手にとって見ていました。
赤羽さんの絵は、赤の美しさ、そしてグリーンの美しさも特別なものであることが知られていますが、展示を眺めているとつくづくとそれを感じた。『スーホーの白い馬』や『だいくとおにろく』は特にその美しさが際立っている。
『スーホーの白い馬』について、『私の絵本ろん』赤羽末吉著(平凡社)の中で、かつて訪れた内蒙古で感じた大きな空と大地、自然の厳しさの中にいるひ弱な人間が大地に足をふんばってたくましく生活していることに感動したことが『スーホーの白い馬』に結びついたと書かれてた。
展示を見て、徹底した取材に基づいて描かれているということもわかりました。取材で撮影した写真もたくさん展示されていて、赤羽さんがそれを見ながら描かれたことがよくわかります。数枚の写真から部分的に抜き出して一枚の絵の中におさめているようなものもありました。
このような思いで描かれていたことがとても伝わってくる展示内容でした。
『かさじぞう』や『つるにょうぼう』は墨絵のようでわびさびのようなものも感じる。展示では雪の表現に注目していました。
『私の絵本ろん』の中で赤羽さんは日本の「湿度」について言及しています。日本の湿度が文化とも結びついていること、日本の文化は、湿度から生まれた「カゲリ」の文化であり、『つるにょうぼう』のハタオリの場面では日本のシットリとか、ジットリを追求し表現したとも書かれていました。
確かにあらためて見返すとそのような雰囲気を感じます。「なんとなく暗い」と思っていたのは「暗い」というより「カゲリ」なのかもしれません。
そして、初めて見た『けちんぼおおかみ』のお話の展示も興味深かった。
お話も絵もとても面白くて。
題名通りけちなおおかみのお話ですが、そこまでやっつけられちゃうの…とちょっとかわいそうでもあり。
一緒に行った娘も「これはちょっとかわいそうだよ・・」とつぶやいていました。
最後に
今回、ピエゾグラフ(高精度の複製)での展示でしたが、原画だと言われたら私は信じたと思いました。原画ももちろん見てみたいですが、やはり長く保管していくことを考えた場合、ピエゾグラフでも充分楽しめると感じました。
高校生の娘と日曜日に行きましたが、入場料をお支払いする時受付の方が「あら!土曜日は高校生無料なんですよ。今度は土曜日にもどうぞ」と教えてくれました。親切。
そして娘は絵が好きなので実にじっくりと熱心に見ている。連れて来る甲斐があります。また娘と一緒にいろいろ見に行こうと思います。
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