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福井県「年縞博物館」訪問。世界に誇れる場所だった!①



訪問概要

2024年6月2日 福井県若桜町にある「年縞博物館」を訪問。
2018年9月にオープンしたまだ新しい博物館です。
今回、敦賀にある(株)ジャクエツ様のご案内していただきました。
((株)シャクエツ様についてはまた別な記事で書きます。)
時間があまりなく急ぎ足でしたが、年縞博物館学芸員で研究者である長屋憲慶さんに「年縞」とは何か?から始まり、概要をご説明いただきました。大変楽しくわかりやすいお話で、非常に興味が湧いたと同時に大変感銘を受けました。質問もたくさん出て、長屋さん大忙し。
帰りには解説書も購入。私も年縞が誇らしくなり、後々見たことを自慢するためにミュージアムグッズの「年縞ものさし」も購入。

ここから先は、基礎学力低めの素人の私が伺ったお話の記憶(あやふや)と解説書をさらっと見ながら(決して熟読ではない)書いた、つまり大きな間違いはないかもしれないけどさほど正確でもない?!大雑把な理解の記録です。冒頭から読む気ゼロにさせて申し訳ありません(笑)

こちらが解説書、下のが30㎝定規です。
こちらは解説書を購入した人にプレゼントしてくれる缶バッチ。可愛い!

「年縞」とは

ネンコウってなに??という状態で行きましたが、ミュージアムの中に入ったところで動画の上映があり、概要をわかりやすく知ることができます。
この動画を見て「あ、以前ニュースとかで見た!」と思い出しました。

これが展示されている年縞です


「年縞」は福井県若狭町の「水月湖」で発見されました。
水深34メートルの湖底下に7万年分の泥の堆積層(年縞)が完璧な状態で眠っていたのです。その厚さはなんと45メートルにも。1年の厚さは水月湖の場合は0.6~0.7mmとのこと。
その泥の堆積層の中に残されている花粉やプランクトン、珪藻などから、当時の気候や環境を知ることができるのです。火山の爆発や地震などもわかるそうです。
 それだけではなく放射線炭素(炭素14)の値を調べることで正確な年代(何年前なのか)もわかるので、それを利用することで、例えば他の場所で発見された化石なども放射線炭素をはかり、この年縞と比べることで年代決定の「ものさし」にすることができるそうです。その正確さたるや、3万年前のことも、誤差たった48年で特定できるとのこと。凄すぎる・・・。
年縞は日本の他の場所や世界各地で発見されていますが、7万年分もの完璧な状態があるのはここだけ。
 2013年9月に、水月湖の年縞データーが大きく採用された年代決定の世界標準「IntCal13(イントカル)」の運用が始まり、水月湖の名が世界で不動のものとなったそうです。

なぜ水月湖にだけそのような年縞が残っていたのか

お話を伺っていると当然、なぜ水月湖だけに7万年もの完全な状態の年縞ができて残っていたのだろうかという疑問が湧いてきます。
そこには水月湖だけの特別な環境があったそうです。

①流入する川がないので、洪水や土砂や水で攪乱されることがなかった。

②淀んだ水で満たされているため、硫化水素濃度が高く、魚など水棲生物がいないため年縞がかき乱されることがなかった。

③三方断層による地盤沈下が繰り返され、水月湖も少しずつ沈んできたため、埋め尽くされることもなかった。

このような水月湖独特の条件が重なり7万年もの年縞が残ったようです。「奇跡の湖」と呼ぶ方もいるそうですが、本当にそう感じます。

年縞掘削と展示について

博物館では時間がなくて、調査の過程や掘削についてはうかがえなかったのですが、この解説書を読んで大変なご苦労をされて採掘、展示に結びつけたことがわかりました。最初に調査を行ったのは1991年のことだったそうです。そこからお金の問題や、技術の問題など様々な問題に直面されたこと、最初に採掘したものはボーリングの問題点から欠落部分があり採用されなかったことなども書かれていました。様々な問題点ひとつひとつを研究者のみなさんの情熱と地元の方のバックアップで解決されていったようです。
気の遠くなるような緻密さと正確性を求められるお仕事に、真摯にひたむきに取り組まれたみなさまに心から尊敬の念が湧いて、胸が熱くなりました。誰も見たことのない、やったことのない、成果がでるかもわからないことに挑戦していくことってこういうことだよなって。本当に尊い。感謝です。

解説書を読みながら頭のなかではもう本当に「地上の星」が大音響で流れ出していましたヨ。
水月湖の年縞のおかげで今までわからなかった、地球のこと、宇宙のことが解明されたことも多々あるようです。
 解説書で気候について書かれている部分もとても興味深い。基本的に温暖な安定した気候は氷期と氷期の間であり、およそ10万年周期で繰り返しているそうです。それを終わらすのは「10万年に一度の特別な夏」地球の公転軌道の変化により太陽との距離が近づいて、さらにその時が夏だったら氷期の氷が一気に解けて温暖な気候の時代が始まるそうです。
ものすごい時間と宇宙を感じてわくわくする。

展示の方に戻ります。
展示は年縞の超薄切りが、ずーーーーーーーと長く展示されています。

左側に展示されているのが年縞です

この「超薄切り」も、ものすごく技術がいることだったとのこと。年縞は「泥」のようなもの。空気に触れるとヘドロのような悪臭を放ったり崩れたりしてしまいます。そこでこの展示を実現させたミヒャエル・ケーラーさんは、まず一瞬で凍らせる「ショックフリーズ」という方法を行い、その後凍った年縞にエポキシ樹脂をしみこませ全体を硬化させるそうです。それをガラス板でサンドイッチする「年縞のステンドグラス」に仕上げます。全部を完成させるまでは4年もかかったそうです。


さて、かなり長くなってきたのと、力尽きたのでまた続きは次回にします。
②は建物について、書こうと思います。
ここまで読んでいただきありがとうございました。








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