医学論文解読 :体重と脂肪摂取は相関しない

5大陸、18か国のおよそ13万人以上を対象に7.4年間(中央値)追跡研究したのが本論文である。史上最大規模のコホート研究であり、かつ、2017年というごく最近の調査結果である。しかも掲載はTHE LANCET(最も権威のある医学雑誌の一つ)だ。現在の我々の食生活や食文化を反映しているので、結果の信頼性は非常に高いと思われる。

結果としては炭水化物の摂取は死亡率と相関するが、脂肪の摂取は相関しない、というもの。日本も含めて「脂肪の摂りすぎに注意するべき」と今日現在警鐘を鳴らす各国の公衆衛生・厚生労働省機関は世界でも多いが、研究結果通りだと、注意すべきは炭水化物の摂取のみということになる。

脂肪摂取に関しては、赤身肉、白い肉(鶏肉)によっても結果が異なるのが別研究で報じられているので、一概に安全とは言えないが、炭水化物摂取が死亡率(≒肥満)との相関が高いことはもはや疑念はないと思われる。

なお、炭水化物を注意と言われると困ってしまう白米主食の日本だが、対応策としては、ハーバード公衆衛生大学院などからは近年玄米(Brawn Rice)が推奨されている。

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玄米はもちろんだが、分搗き米という選択肢もある。例えば5分搗き米なら、玄米の半分の栄養素と食物繊維を含むが、食感は白米と変わらない。しかし日本の農林水産省と厚労省は玄米、分搗き米には触れずに、白米1日4杯程度を食事バランスガイドラインに記載している。。。白米で生産と流通を常にしている米農家を守るための政府のバイアスとも取れるし、国民が食べやすさを重視して玄米よりも白米を求めている図式とも解釈できる。いずれにしろ、研究結果は白米は「非推奨」だ。国民自身の食リテラシーを上げていくことが望まれる。

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