#18 『天龍院亜希子の日記』(著:安壇美緒)を読んだ感想
安壇美緒さんのデビュー作『天龍院亜希子の日記』
第30回小説すばる新人賞受賞作です。
『ラブカは静かに弓を持つ』をきっかけに安壇美緒さんの他の作品を読んでみたいと思い、読んだ作品です。
あらすじ
感想
何気ない日常を描いているのに、思わず見入ってしまう?
主人公の田町譲が小学校の同級生である天龍院亜希子のブログを見つける。
そこから場面ごとに亜希子のブログ記事が出てくる。
思わず気になってしまうブログ記事。
なにか不穏な感じがして、終盤に何かが起こるだろうと思ったら……
本作は田町の何気ない日常を描いていて、何か劇的な展開やどんでん返しが起こるわけではありません。
それでも思わず見入ってしまい、一気読みでした。
僕が見入った理由は、以下のようなことからだと思ってます。
共感できたり笑える比喩表現がある
難しい表現はないため、力を抜いて読める
20~30代の日常が等身大に描かれている
天龍院亜希子のブログがとにかく気になる
人生は思うようにいかない。
何もかも上手くいくかと思えば、逆に何もかもダメな時が反転するかのように訪れる。
そんな自分を生かしてくれるのは、何も特別なものではなく、趣味だったり好きな物事だったり、そして「呆れた希望」。
でも、そういったものを持てるのって簡単そうで実はそうではないのでは?
それを田町の様子を見て感じました。
「呆れた希望」というフレーズは本作で強く響きました。
しんどいこともたくさんあるけど、人生なんとかなるんじゃない?と思える1冊です。
田町のダメさ加減や情に熱いところ、後先考えないところは、愛着がわいてきます。
あとは、亜希子のブログを見てしまう気持ちも分かるんですよね。
僕も、平凡な日常の物語やエッセイを読むと心がフッと軽くなるというか。
ああ、まさに本作もそうですね(笑)
男性は読んでいて共感できる部分が多いのではないかと思いました。
最後に……
正岡のモデルってまんま清〇だよね?