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読書記録

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僕が読んだ本の感想や印象的なフレーズが書いてある記事です。
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#本屋大賞

#78『アヒルと鴨のコインロッカー』(著:伊坂幸太郎)を読んだ感想【読書日記】

伊坂幸太郎さんの『アヒルと鴨のコインロッカー』 第25回吉川英治文学新人賞受賞作で、2004年の第1回本屋大賞ノミネート作品(3位)でもあります。 読んだきっかけ本作の前に読んだ『グラスホッパー』が面白くて、下半期は伊坂さんの作品を少しでも多く読みたいと思いました。その中で、伊坂さんのおすすめを検索したところ、本作が上位に挙がっていたことで気になり手に取りました。 このような方にオススメの本です伊坂幸太郎さんの作品をまだ読んだことがない ボブ・ディランが好き 幸せに

#72【本屋大賞受賞作】『博士の愛した数式』(著:小川洋子)を読んだ感想【読書日記】

小川洋子さんの『博士の愛した数式』 2004年の第1回本屋大賞受賞作で、第55回読売文学賞でもあります。 ※読売文学賞は、読売新聞社が制定した文学賞 読んだきっかけ今月はジャンルの幅を広げて読みたいと思っていますが、その中で数学に関する小説に興味が湧き読みました。ちなみに本作は、先月の「一箱古本市」で購入しました。 このような方にオススメの本です数学に苦手意識がある 野球(阪神タイガース)が好き 心がほんのり温まる作品を読みたい あらすじ感想無機質な数字がまるで生

#47『舟を編む』(著:三浦しをん)を読んだ感想【本屋大賞受賞作】

三浦しをんさんの『舟を編む』 2012年(第9回)本屋大賞受賞作です。 僕はもともと言葉に触れるのが好きで、本作のあらすじを見たのがきっかけで手に取りました。読み始めてからタイトルの意味を知り、一気に引き込まれました。 このような方にオススメの本です言葉に触れるのが好き 想いを伝えるのが苦手なほうだ 今取り組んでいる仕事に熱中できない 辞書がどのように作られるのか気になる あらすじ感想登場人物たちの関係性が素敵 言葉に触れるのがさらに好きになった 目の前の仕事

#32『光のとこにいてね』(著:一穂ミチ)を読んだ感想

一穂ミチさんの『光のとこにいてね』 2023年(第20回)本屋大賞ノミネート作品で、第168回直木賞候補作でもあります。 本屋大賞には、昨年の『スモールワールズ』に続いて2年連続でノミネートされました。 あらすじ感想陰の存在が強く出ていて、儚さを感じさせた 自らの意思で道を開こうとする2人は弱くはない ボリュームがありながら、行間が気になる作品と思った 結珠と果遠の2人は、小学校2年生の時に果遠が住む団地で出会います。 住む場所も家庭環境も違い、決して交わることはな

#29『#真相をお話しします』(著:結城真一郎)を読んだ感想【ネタバレなし】

結城真一郎さんの『#真相をお話しします』 2023年(第20回)本屋大賞ノミネート作品です。また、短編集の1作「#拡散希望」は第74回日本推理作家協会賞を受賞しています。 僕は4か月前にAudibleで聴き、今回紙の本で再読しました。 あらすじ感想・いたる所にある伏線や終盤の展開はどの短編も見どころがある ・それぞれのテーマについて教訓のようなものを伝えている? ・思っている以上に、小学六年生は大人だ パパ活、マッチングアプリ、リモート飲み会、YouTuberといった

#23『夜のピクニック』(著:恩田陸)を読んだ感想

恩田陸さんの『夜のピクニック』 2005年(第2回)本屋大賞、第26回吉川英治文学新人賞受賞作です。 青春小説の中でも人気作の1冊です。 あらすじ感想貴子や融の内面の変化、温かく熱い友人たちとの語らいに夢中になって読んでいた 今この時を大事に生きていこうと思った1冊 本作の舞台は、丸1日かけて80キロを歩く北高の伝統行事「歩行祭」。 ただ歩くだけで、外側では何か劇的な展開があるわけではありません。 主人公の貴子が行おうと胸に秘めていたある賭けも、決して衝撃を受ける

#21 クイズの見方が変わる1冊『君のクイズ』(著:小川哲)を読んだ感想

小川哲(おがわ・さとし)さんの『君のクイズ』 2023年(第20回)本屋大賞ノミネート作品です。 あらすじ感想クイズの見方が変わる1冊 自分の過去は、良いことでも嫌なことでも後になって活きることを学んだ 本作では、主人公の三島玲央が、決勝戦での問題や三島と本庄の過去を探りながら、『Q-1グランプリ』の真相を追求していきます。 クイズといえば知識量の差で決まると思っていた僕。 確かに知識があることに越したことはないけど、クイズの強さは決して知識の量で決まるものではない

#20 バカみたいに笑える痛快コメディ『店長がバカすぎて』(著:早見和真)を読んだ感想

早見和真さんの『店長がバカすぎて』 書店が舞台であることや目に付いてしまうタイトルで、以前から気になっていた作品です。 2020年の本屋大賞ノミネート作にも選ばれました。 あらすじ感想バカみたいに笑えて、いつの間にか悩みも吹き飛ぶ1冊 でも、それだけではない? 小説でこんなにバカみたいに笑うとは思いませんでした。 笑いを我慢するのが大変かもしれないので、人がいる所で読むのには注意が必要?です(笑) 山本店長の空気の読めなさ、図々しさ、意味のわからなさ。 つまり

#19 見えない繋がりが生む感動のラスト『月の立つ林で』(著:青山美智子)を読んだ感想

青山美智子さんの『月の立つ林で』 2023年(第20回)本屋大賞ノミネート作品です。 本作で3年連続のノミネートで、一昨年、昨年と2年連続で2位を獲得しています。 (本屋大賞2年連続2位は史上初) あらすじ感想自分のおこないは何かに繋がったり、誰かのためになると思わせてくれて、何事に対しても前向きになれる1冊 目に見えない繋がりが生んだラストに感動! 久しぶりに青山ワールドを堪能しました✨ 青山さんの作品といえば、登場人物たちが繋がる短編集。 読了後は、優しい気

#17 料理は心を温かく満たしてくれる『宙ごはん』(著:町田そのこ)を読んだ感想

町田そのこさんの『宙ごはん』 2023年(第20回)本屋大賞ノミネート作品です。 町田そのこさんは、2021年に『52ヘルツのクジラたち』で本屋大賞を受賞。 今回で3年連続のノミネートになりました。 あらすじ感想重めの展開だけど、心を温かく満たしてくれる物語 前を向いて生きていけるヒントをもらった 食べ物に関する作品は心が温まる物語のイメージがあります。 『宙ごはん』も心が温まる物語ではありますが、目を背けたくなるくらいの展開がありました。 5話構成の『宙ごはん

#15 優しく落ち着きのある感動に包まれた『ラブカは静かに弓を持つ』(著:安壇美緒)を読んだ感想

安壇美緒さんの『ラブカは静かに弓を持つ』 第6回未来屋小説大賞を受賞し、2023年(第20回)本屋大賞ノミネート作品にも選ばれています。 ※4/12追記 『ラブカは静かに弓を持つ』が2023年(第20回)の本屋大賞の2位になりました。おめでとうございます! あらすじ感想優しく落ち着きのある感動 素敵な演奏を聴いた時のような余韻 僕は小説を読むとき、登場人物に感情移入をするタイプです。 同じように人付き合いが苦手なのもありますが、主人公の橘にこれほど感情移入したのは最

#13 THE・どんでん返し『方舟』(著:夕木春央)を読んだ感想【ネタバレなし】

夕木春央さんの『方舟』 2023年(第20回)本屋大賞ノミネート作品で、SNSや動画サイトなどでも話題になっている作品です。 ※ネタバレはしないように感想をまとめました あらすじ感想まさに「THE・どんでん返し」 クローズドサークルの本作。 それだけでも緊張感がありますが、さらに助かるためには誰か1人が犠牲にならなければならない、その1人を選ぶ必要がある。 この設定により、さらに緊張感が増しました。 物語が進む中でも「えっ?」という展開があり、どういった展開になって

#11 相手との向き合い方を考えさせられる1冊『川のほとりに立つ者は』(著:寺地はるな)を読んだ感想

寺地はるなさんの『川のほとりに立つ者は』 2023年(第20回)本屋大賞ノミネート作品です。 本屋大賞候補作は、どれもインパクトが強そうな作品が並んでいます。 その中で「今読みたい」と思ったのが本作でした。 なにか、優しく寄り添ってくれそうな雰囲気を感じたのです。 あらすじ感想相手との向き合い方について、ページ数以上に考えさせられることが多い1冊 ある性格や特性だけで相手を決めつけたりしていないだろうか? 自分の当たり前を(たとえ心の中でも)押し付けていないだろうか