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#11 相手との向き合い方を考えさせられる1冊『川のほとりに立つ者は』(著:寺地はるな)を読んだ感想

寺地はるなさんの『川のほとりに立つ者は』
2023年(第20回)本屋大賞ノミネート作品です。

本屋大賞候補作は、どれもインパクトが強そうな作品が並んでいます。

その中で「今読みたい」と思ったのが本作でした。
なにか、優しく寄り添ってくれそうな雰囲気を感じたのです。

あらすじ

カフェの若き店長・原田清瀬は、ある日、恋人の松木が怪我をして意識が戻らないと病院から連絡を受ける。
松木の部屋を訪れた清瀬は、彼が隠していたノートを見つけたことで、恋人が自分に隠していた秘密を少しずつ知ることに――。
「当たり前」に埋もれた声を丁寧に紡ぎ、他者と交わる痛みとその先の希望を描いた物語。

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感想

  • 相手との向き合い方について、ページ数以上に考えさせられることが多い1冊


  • ある性格や特性だけで相手を決めつけたりしていないだろうか?

  • 自分の当たり前を(たとえ心の中でも)押し付けていないだろうか?

  • 相手をなにか一括りにせずに、1対1で向き合えているだろうか?

読了後、何度も自問自答しています。

結論としては向き合えていないのですが、じゃあ本作を読んだからすぐに適切な行動を取れるのかといったら分からない。
凄く難しい問題だなと思います。

清瀬のように当事者の立場になったら、自分の性格やその時の気分も関わってくるわけで。

それに、向き合ったからといって相手が変わるとは限りません。

それでも僕が思っているのは、

「相手に向き合うことを放棄しない」

相手のことをしっかり見よう、目を背けないようにしようと思っています。

簡単に結論づけられるものではありませんが、まずは自分の中でしっかり考えていきたいです。


本作で取り上げられている発達障がい。

調べただけで分かった気になることが、いかに浅はかなのかを思い知りました。
それだけに、品川さんが言った一言に強い衝撃を受けました。

発達障がいについては、最近ニュースなどでも見かける機会が増えましたが、「こういう特性があります」とただ説明だけに終わっている気がします。

実際は、1人1人違う。
まずこのことに気づけないといけないと思いました。

自分の「できる、できない」ではない
世間一般の「できる、できない」でもない
それぞれの「できる、できない」がある

僕の周りには発達障がいの方はいません。
いや、周りには分からないだけかもしれない。

もし周りの方からその事実を知った時、僕はどうするだろうか?

もちろん寄り添いたいし、向き合いたい。
でも、今のところ僕は正直自信がありません。
そんな時、本作のことを思い出したいです。


登場人物には、それぞれに事情があります。

本作を読んで登場人物に共感できること、できないことはありました。
でも、それで片付けてはいけない。

共感できない、理解できないことに目を背けてはいけないのではないか。

人との関わり方には正解がない。
だからこそ難しいと改めて感じました。

印象的なフレーズ

「ほんとうの自分とかそんな確固たるもん、誰も持ってないもん。いい部分と悪い部分がその時のコンディションによって濃くなったり薄くなったりするだけで」

『川のほとりに立つ者は』

明日がよい日でありますように

『川のほとりに立つ者は』

普段読書をしない方にも読んで欲しい1冊

読了後しばらく経ってもジワジワと思い出す本は、大切にしたいと思っています。
『川のほとりに立つ者は』は、まさにそういった1冊になりそうです。

個人的には「普段読書をしない方にも読んで欲しい」と思いました。

相手との向き合い方を考えるきっかけになるのではないでしょうか?

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