Shozo Nishioka 西岡正三

1983〜2009年の間、マガジンハウスに勤務。のち、フリーランスの”自称”編集者兼ラ…

Shozo Nishioka 西岡正三

1983〜2009年の間、マガジンハウスに勤務。のち、フリーランスの”自称”編集者兼ライター。 テーマは民俗学的なもの/観光/地味な旅/地方都市/地域おこし/街歩き/伝統芸能/日本民謡/地理/日本史/地質/日本酒/鉄道/無人駅/巨樹/写真/音楽/など、けっこうシブめ。

マガジン

  • 地域の”お宝”たち。

    まだ広く知られていない、”観光資源”に出会うヨロコビと、その探し方。

  • 旅先で予期せず出会う、居心地の良い居酒屋の数々。

    初めて来た街でひとり、恐る恐る入った居酒屋がとても心地よく、その店があるだけで、再びその街に行きたくなることもある。この居心地って何だろう?  最近は”居酒屋勘”のようなものが冴えていて、いい店に当たることが多くなりました。そんな居酒屋の話をしてみます。 なお、探す楽しみを奪ってはいけないので、店名や場所は紹介しません。とは言え本文中にヒントは入れておきますので、ぜひぜひ探してみてください。

  • お邪魔します。滋賀、京都。

    滋賀、京都には年に1〜2回は行くので、備忘録代わりに残します。

  • 小さな駅を、わざわざ見に行く。

    駅を旅の目的地にすると、とくに観光地ではない土地が、いろいろと味わい深い表情を見せてくれるようになります。新たな観光のカタチ。それがわかればシメたもの。一生退屈しません。それを僕は”地味な旅”と呼んでいます。

  • 東京時層散歩

    今いる場所の、忘れられそうな歴史に触れながら歩く。

最近の記事

祝開幕! 『郡上おどり』が始まる直前の郡上八幡は、嵐の前の静けさだった。

また郡上八幡ですか? と言われてしまうかもしれない。 そう思われるのは当然です。最近は、神奈川県に住む僕が、小田急線に乗って新宿に行くよりも、クルマで300km以上走って郡上に行く方が多くなってきました。 三ヶ月ほどご無沙汰していると、「そろそろ郡上に行きたいな」と思うこの感じ。これっていったい何だろう? どこかへ旅に出たいという気分とも少し違う。なぜなら行き先は、何度も行っている郡上八幡一択なのだから。 この城下町は、水と踊りのテーマパークだと思えばわかりやすい。 今

    • 岡山県に行くと、必ず覗きたくなる居酒屋チェーン。

      日頃の言動からか、僕はチェーンの居酒屋には行かないと思われているフシがあります。しかし、もちろんそんなことはありませんので念のため。 あまりチェーン店に足が向かない理由は、食べる前から味がわかるようなメニューが多くて楽しくないということ。さらにはタブレットやQRコードでオーダーを取るような、メンドクサい店が増えてきたということ。さらには、アルバイトの店員さんに今日のお勧めを聞いてもわかりそうにないこと。などなどです。しかし、そうではなければチェーン店でも大歓迎なのです。 と

      • 旅先で予期せず出会う、居心地の良い居酒屋の数々、一軒め 〜 東京都大田区穴守稲荷。

        初めて降りた駅前からの帰り道。少しお腹が空いたので、電車に乗る前に軽く食べて帰ろう。ふと思い立ち、初めての店に入ると、注文がタブレット入力だったりすることが多くなった。 10年と少し前、この方式を初めて知ったのは回転寿司だったと思う。今になってようやく慣れてはきたけれど、タブレット相手に長居をしたいとは思わない。 人手不足とか人件費削減とか、理由はいろいろあるのでしょう。だからこういう店には、意外なことに地方都市で出くわすことが多い。 一方で、初めて来た街でひとり、恐る恐る

        • 青もみじが大爆発している京都にて、見たこと、そして考えたこと。

          あれは2016年の5月中旬、日帰り仕事で京都に来たことがありました。その時に見た東山の新緑が、京都の新緑に驚いた最初の経験でした。様々な緑が、点描画のように混ざり合い、ひとつの山を形作っている。これは一日中眺めていたい。日帰りにしたことをとても後悔したので、今回は時間を充分に取って、再び業務上の上洛です。 京都の人はやさしい。 僕は普段、どんな服装でもできる仕事をしていますが、今回は初めてお目にかかる人も多いので、念のためジャケットを着て出てきました。ところが到着早々、地

        祝開幕! 『郡上おどり』が始まる直前の郡上八幡は、嵐の前の静けさだった。

        マガジン

        • 地域の”お宝”たち。
          31本
        • 旅先で予期せず出会う、居心地の良い居酒屋の数々。
          4本
        • お邪魔します。滋賀、京都。
          12本
        • 小さな駅を、わざわざ見に行く。
          7本
        • 東京時層散歩
          8本

        記事

          新緑が沁みる無人駅と、美味しいものたち〜岡山県津山市。

          この春、かつての仕事仲間が岡山県北部、津山に近い町に引っ越した。 東京で暮らしている姿以外は想像できないくらいの、80年代シティポップを思わせる元祖シティボーイであり、今年中に本を二冊出版する予定の売れっ子のライターさんなのだけど、東京での拠点をすべて引き払っての引っ越しらしい。 そして、古民家の整理が思いのほか大変なので、手伝ってほしい、と。 何があったのかは知らないけれど、これはちょっとようすを見に行かなきゃいけない。僕は岡山県にはいろいろと縁があるので、何かの役に立て

          新緑が沁みる無人駅と、美味しいものたち〜岡山県津山市。

          今さらですが、『舟を編む』をお勧めします。

          あれは2013年のこと。『舟を編む』という、国語の辞書を作る編集部を舞台にした映画が公開されました。2011年に本屋大賞を受賞した、三浦しをんさんによる小説が映画化されたものです。 その頃、僕は出版社を早期退職して数年経っていたけれど、その映画を見た何人かの人から、 「あの映画に出てくるニシオカって、西岡さんがモデルなんですか?」 と聞かれました。 どんな役なのか気になって、映画館があまり好きではない僕が無理して見に行ったところ、おいおい。オダギリジョーがオレの役をやってる

          今さらですが、『舟を編む』をお勧めします。

          いつものコースで桜を巡る。郡上八幡〜関ヶ原〜琵琶湖の周り。京都の手前で寸止めの旅。

          去年からたびたび訪れているあのあたり。なぜか気になる岐阜県と滋賀県の県境あたり。そして、あの大きな琵琶湖。このトシになるまで関東で育ち、これまで縁もゆかりもなかった、世界で三番目に古い湖、琵琶湖。 あのコースには、まだ桜のシーズンに行ったことがない。ゆえに突然思い立ち、宿に連絡してみるといずれも空室。しかもいつものお値段です。だったらもう行くしかないでしょう。ということで、満開の知らせと共に桜前線に飛び込んでみたのでした。 また来てしまいました、GJ8Man(郡上八幡)。

          いつものコースで桜を巡る。郡上八幡〜関ヶ原〜琵琶湖の周り。京都の手前で寸止めの旅。

          ブルーライトヨコハマたそがれベイブルース〜初級編。

          僕は神奈川県民のくせに、横浜にはあまり行ったことがない。小学校5〜6年生の2年間くらい住んでいたことはあるけれど、かなり内陸だったし、県庁所在地とは言っても、普通、市役所には行っても県庁に行く用事なんて無いでしょう。 ということで、快晴で風の無い休日、久しぶりに横浜を散歩してみました。関内駅で降りて、中華街方面に行くと混雑していそうだったので、山下公園へ。 馬車道は、外国人居留区のメインストリート。 あまり語られることは無いけれど、関内の「関」とは関所のことなのです。 幕

          ブルーライトヨコハマたそがれベイブルース〜初級編。

          僕が絶賛して止まない地域情報誌。

          長浜『みーな』の最新号が届いた。 滋賀県長浜市の地域情報誌なのですが、見てくださいよ、この、重箱の隅を突くような細かい特集構成。どこかの博物館の図録でも見ているようです。僕は最近、滋賀県〜岐阜県、滋賀県〜福井県の県境あたりに強い興味を持っているので、これは願ってもない特集。全66ページ。 このところ、特集は『石田三成』『浅井家の三姉妹』と続いたので、歴史好きの雑誌なのかと言えばそんなことはなくて、昨年は琵琶湖の漁業や漁師の暮らし、伊吹山の自然、あるいは長浜市内の老舗巡りのよ

          僕が絶賛して止まない地域情報誌。

          2023年の”旅納め”は京都でした。

          仕事がらみでもあったのですが、年末の京都へ。 よりによって、仕事の予定は25日、つまりクリスマスなのです。が、だったらクリスマス・イブの京都ってどうなっているんだろう。少し興味があったので、24日の日曜日から2泊。今回は特に観光もせず、街の中で普通に過ごしました。 意外にも、混雑していないクリスマス。 結論から言いましょう。 京都という街は、気持ちいいくらいにクリスマス色が無いんですね。これはとてもいいことです。さすが千年の都です。もちろん、サンタの格好をしたアルバイトさ

          2023年の”旅納め”は京都でした。

          サムライロード、にぎやかなり〜旧中山道中津川宿、馬籠宿、妻籠宿

          前回は中津川市加子母の芝居小屋を見学させてもらい、大いに感動し、この旅もこれで充分かな、と思った話でした。 であればあとは帰るのみ。退屈な高速道路は避けて、紅葉を見ながら旧中山道沿いに、馬籠宿、妻籠宿など、かつての姿を今に止める宿場町を見ながら帰ろう、という計画。 で、宿泊していた中津川も旧中山道の宿場町であり、その面影を少し残していた通りもあったので、まずはそこの話から始めます。 旅先で酒蔵を発見するヨロコビについて。 クルマで中津川市内に入り、カーナビが「そろそろ到着

          サムライロード、にぎやかなり〜旧中山道中津川宿、馬籠宿、妻籠宿

          こんな山の中に、明治時代から続く芝居小屋が! 岐阜県中津川市の豊かさに驚く。

          郡上八幡で2泊3日を過ごし、美濃市の古い街並みや酒蔵を見学した後は、岐阜県南東部の中津川市へ。 ここで以前から行ってみたかった山城、苗木城址に行き、その後は高速道路に乗らず、できるだけ中山道を走ろうという漠然とした計画。あの国道沿いには、たまに旧中山道の街並みが残っていたりして、とても楽しいルートだからです。 ところがですね、苗木城のようすをネットにあげたところ、「中津川にいるんだったら、ぜひここへ行け」という友人からのコメント。「オマエ、絶対にここ気に入るから」とのことでし

          こんな山の中に、明治時代から続く芝居小屋が! 岐阜県中津川市の豊かさに驚く。

          この秋も、郡上八幡から始めました、紅葉の旅。

          昨年の秋、郡上八幡からスタートして、中央高速道沿いに、飯田市、奈良井宿、松本市と眺めて回った紅葉が素晴らしかった。僕はそれまで、わざわざ紅葉を見に行くことはなかったけれど、これほど美しいのであれば毎年見ておかねば、と思うようになり、今年も再び。 郡上八幡から始まり、旧中山道沿いに岐阜県の中津川、馬籠宿、妻籠宿、と回ってきました。昨年よりも一週間遅いスタートだったので、紅葉もかなり終盤に入っていました。それでも中津川では苗木城で最盛期の紅葉を眺め、山の中の歌舞伎小屋に驚き、とて

          この秋も、郡上八幡から始めました、紅葉の旅。

          ”あの”商店街に行ってきました〜山梨県富士吉田市

          ”あの”とはどこなのか。上の写真を見るだけで、気づく人がいるはずです。2年前くらいから、ネット上でたびたび見るようになった、あの商店街です。 昔懐かしい雰囲気の商店街の向こうには、街を飲み込むほど大きな富士さんが見える。富士さんの頂上の形から、およそ富士吉田市内だろうとわかります。あとは”本町二丁目商店街”と検索するだけ。その商店街は、富士急行の月江寺(げっこうじ、いい名前だな)駅近くにありました。 駅名の由来となった月江寺には、富士さんの湧水をたたえた池があり、湧水が流れる

          ”あの”商店街に行ってきました〜山梨県富士吉田市

          富士さんのもとでの平等。

          今年の新緑の季節、静岡からの帰りに新東名高速から見た富士さんが、あまりにきれいだった。西に傾いた太陽を背にした富士さんは、まるで巨大な如来のようだった。名付けて富士如来。あの日以来、僕は富士山のことを富士さま、あるいは富士さんと呼ぶようになった。 拝みたくなるくらいの美しさだったけれど、高速道路でクルマの運転中に拝むわけにも行かないので、また改めて来ようと思って約半年。 そして、ようやくその日がやって来ました。天候が落ち着いた立冬の2泊3日。富士さんの周りをぐるりと一周。とい

          富士さんのもとでの平等。

          ”おやき”を食べに信州へ②〜善光寺の参道周辺。

          秋の穏やかな日射しを浴びていたら、地味な旅に出たくなりました。 地味な旅とは、とくに観光地ではない普通の街で、眺めの良い神社や無人駅をみつけて、おむすびを食べて帰って来るような、そんな旅。見知らぬ街の風景とおむすびさえあれば、どこへ出かけても旅なのです。たとえ隣の街でもね。 そう、ワガクニには「おむすび」という、世界に誇れる携帯食があります。 何と言っても、手で握るだけで主食が持ち運べるという身軽さ。中には副菜を閉じ込めることもできるし、海苔を巻いて磯の香りを味わうこともで

          ”おやき”を食べに信州へ②〜善光寺の参道周辺。