TOKO

体験を言葉にする。 https://powan234.tumblr.com/

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最近の記事

4月7日以後のある日

自宅から各駅停車の電車に乗って3駅目に、私の畑はある。 峠の入り口。 田んぼと畑と耕作放棄地が広がる。 今日は電車に乗らず、歩いて行ってみることにした。 google map で見ると、1時間くらいで行けるみたい。 万が一、電車が運行しなくなった時のために、と思ってのことだけど、 前々から一度、歩いて行ってみたかったのだ。 でも、疲れて畑作業ができなくなったら困るので、しなかった。 今日、もし疲れてしまったら、作業はお休みしよう。 明日また来たらいいのだから。 今はそれが

    • 生き返った芸術家

      「ただのそこら辺にある石ころだよ。何の変哲もない。だけど、僕が拾って、この手の中で転がして、この目で見る。そうすることで、この石は僕にとって特別な石になるんだ」 芸術家はそう言った。 あるタイミングで、ある作品と出会う。これは僥倖だ。 初めて訪れる町で。 道端のイーゼルに立て掛けてあるポスターが目に留まった。 モノトーンの縦長の画面を一本の線が横切り、上側は白く、下側は明るいグレーに塗られている。 下側には小石が5つ、上から下に点々と、ほぼ一列に配置されている。 タイトル

      • 映画「動いている庭」での体験

        畑をしている。週末ごとに通う。 平日は都会へ仕事に行く。 そのカサっとしたモードのまま畑に行く。 と、そこにいる存在たちは無口だ。 ぼうぼうに生えている草を苅り、種を蒔く。作物の育ち具合をみて、邪魔になっている草を苅る。苅るごとに草の匂いが立ち昇る。 土には根っこや種。幼虫。蠢めく小さな小さな黒い虫たち。ミミズ。何かの菌。ここへやってきた野うさぎのものか、コロコロした糞。 葉っぱに飛んでくるバッタ。花の蜜を求める蜂、蝶、花芯に集まる蝿や小さな虫の集団。 モードがゆっ

        • 自由な私が知りたいこと

          あの人はあぁだから、この人はこうだから。 あれはあのはずで、これはこのはず。 わたしってこんな人間。 たった1分前まで自分が考えていたこと。 何十年も自分の考えと思ってきたこと。 それをあっさりと捨てる。 難しいだろうか? でも、何の条件もいらない。 自分ひとりで、想いひとつだけで、できる。 疑ってみる。 それは、本当に私の考え? 誰かのものじゃない? 私の考えだとしたら、それは要るもの? 私を助けてくれるもの? ただ観察してみる。興味深く。 目の前にいる人を。い

        4月7日以後のある日

          そして旅はつづく

          人生そのものが旅と言える。この地球のどこかで生まれて、この地球のどこかで死ぬまで。よく言われることだけど。 典型的な転勤族の親の元に生まれたから、何年か住んだら別の街へ。いつも私はよそから来て、そのうち去っていく人間。そこは常に通過地点で、土地にも、人にも、物にも執着しない。 悪くないな、と思うようになっていた。なんというか、「ニュートラル」という感じで気に入っていて、そのスタイルをすっかり身につけた。 でも、地面に雨が染み込むように、いつのまにか私の中に染み込んだ、い

          そして旅はつづく

          奄美大島でみたもの

          奄美大島の郷土料理、「ミキ」を作りました。 ミキというのはお米を発酵させた飲み物で、奄美ではスーパーで牛乳パック入りのものが売られている。 米粉をしとらせ、沸騰したお湯へ入れてかき混ぜひと煮。フタをして10分ほど蒸らしたら、砂糖とサツマイモをすりおろした絞り汁を入れ、木べらでかき混ぜる。冷めるまで何度もかき混ぜる。冷めたらミキサーにかけて滑らかにしておく。常温に置いておくと、2日もすれば発酵して泡が出てくる。そうしたら、冷蔵庫で冷やして飲む。ドロッとしていてヨーグルトのよう

          奄美大島でみたもの

          たのしい買い物

          コーヒー豆を自分で焙煎してみたいって思ったんです。 休日の朝なんかにコーヒーの粉にお湯を落としてしばし。 ほわぁ~っと漂ってくる香り、いいですよね。 色々な豆を試してみたりしますよね。 粉でなく豆の状態で買ってきて、その都度挽いて淹れると、香りが新鮮ですよね。 そのうち、生豆を入手して自分でやってみようかと。 コーヒー、毎日飲みたいけどそこそこお値段するしなぁ、 生豆なら安いしそれに、やってみたらできちゃうかも、面白いかも、と。 で、ネットショップをいろいろ探してみたん

          たのしい買い物

          今住んでいる街のこと

          今住んでいる街(仮にK市とする)にはこの4月に引っ越してきた。 なぜ、この場所に、というのは「縁」としか言いようがない。 そもそもK市に馴染みがあったわけでもない。まぁ、名前は知っているけど。というくらいで。 この街が私の身近になったのは、去年5月に畑を借りたのが最初だ。 4年前、三重県の山あいに、畑や田んぼを貸してくれ、教えてくれる塾がある、と聞いて通い始めた。当時の私はいろいろもじゃもじゃと悩んでいた。仕事や人生に対する自信のなさ、というか。一旦は遠ざかっていたグラフ

          今住んでいる街のこと

          モレスキンの手帳

          ずっと愛用しています。 黒い表紙、丸みのある角、ゴムバンド、チャコールグレーのしおり紐。 あのおなじみのシンプルなやつです。 台所改善計画や買い物メモ、言葉になる前の断片、ふと出会った印象に残ったこと、アイデア、なんでも書いています。 「フランスの小さな製本業者によって作られ、ピカソ、ゴッホ、ヘミングウェイ…、名だたるアーティストが使用していた」 おぉー、カッコイイ〜、オシャレ〜、そもそも使い始めたのはこのエピソードに惹かれてでした。それがもう20年近く前。 それでまぁ

          モレスキンの手帳

          秀逸なタイトル

          ネットで本を買えるって、便利ですよね。感性の合う人がネットやブログで紹介している本だと、内容も想像がつくしそのままポチッと押したらいいし。それでも、時々はリアルの書店をぶらついたりもしますよね。 日常の中で何となくスイッチを切り替えるような感覚で、話題書のコーナーや雑誌を見るともなく見たり、店員さんやお客さんの様子をぼんやり眺めたりします。そうやっているうちに、ふと目に入ってくる本があるものです。 料理のエッセイの本が好きでそのコーナーは必ず立ち寄るのですが、そこで見つけ

          秀逸なタイトル