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4月7日以後のある日

自宅から各駅停車の電車に乗って3駅目に、私の畑はある。
峠の入り口。
田んぼと畑と耕作放棄地が広がる。

今日は電車に乗らず、歩いて行ってみることにした。
google map で見ると、1時間くらいで行けるみたい。

万が一、電車が運行しなくなった時のために、と思ってのことだけど、
前々から一度、歩いて行ってみたかったのだ。
でも、疲れて畑作業ができなくなったら困るので、しなかった。
今日、もし疲れてしまったら、作業はお休みしよう。
明日また来たらいいのだから。
今はそれができるのだから。

山道を行く。
若葉の季節。緑がキラキラしている。
いい匂い。
歩くには最高の日。

山小屋風の家、古い洋館のようなお屋敷。
この辺りに住む人は、家に趣向を凝らしていて面白い。

鳥が声高らかに鳴く。
そっと視線を上にずらして姿を探してみると、
いたいた。木の梢の間に茶色い影が。

八重桜が咲いている。
桜を塩漬けにしてお茶にする、とあるBlogにあったっけ。
手が届くところの花をいただく。
少ししか採れないけど、やってみよう。

ほとんど誰ともすれ違わないけれど、孤独を感じない。
いろんな命がたくさん、
これからの季節に向かって盛んに蠢いているのを感じるから。

豊かってたくさんあることだ。
何が? 
命の種類と量と。時間。だってこれらはレアだから。
でも、所有することはできない。
じゃあ、そこに居るってことかな? どっぷりとそこに居る。
そのための時間。

畑に着く。
種まきを終えたばかりだから、実はあまりやることはないのだ。
ピクニックにしよう。
アルコールストーブとヤカン、コップに自家製パンを持ってきた。
畑のヨモギ、レモンバーム、ラベンダーを摘んでお茶にする。
あー美味しい。

畝を見て廻る。
小さな虫?蝶?が。
細い鎌のような形の羽をひゅんひゅん回しながら飛んでいる。
ヌンチャクを振り回しているみたい。
一体どうなっているの? お願い、止まって見せて。
すると、もう一匹の上に止まった。
静かに息を合わせて交尾をする。
私はうっとりしてしまう。

今日は野蒜を摘んで行こう。
と、小さなスミレが金平糖を撒き散らしたみたいに咲いている。
ベニシアさんの本で見た、スミレの花の砂糖漬けを作ってみたい!
小さな小さな花を摘む。
袋の中はふわっとスミレ色。
顔を近づけてみると、いい匂い…!
甘く、可憐な姿と色そのままの。こんな匂いがするんだ。知らなかった。

さあ、花が萎れてしまわないうちに、早く家に帰ろう。

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*写真は全粒粉のディンケル小麦生地、摘んだヨモギとシナモン入り。


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