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モレスキンの手帳

ずっと愛用しています。
黒い表紙、丸みのある角、ゴムバンド、チャコールグレーのしおり紐。
あのおなじみのシンプルなやつです。


台所改善計画や買い物メモ、言葉になる前の断片、ふと出会った印象に残ったこと、アイデア、なんでも書いています。

「フランスの小さな製本業者によって作られ、ピカソ、ゴッホ、ヘミングウェイ…、名だたるアーティストが使用していた」
おぉー、カッコイイ〜、オシャレ〜、そもそも使い始めたのはこのエピソードに惹かれてでした。それがもう20年近く前。

それでまぁ、定番ていうのは時々「これでいいのかしら?」と思ったりしますよね。もっと私に合うものがあるんじゃないかしら?なんて。
たまには別のタイプも試してみたいよね、とか。

そう思って、時々浮気をしてみるけど、やっぱりこれに戻る。
最近はもう迷わず今のモレスキンがなくなったら、次のモレスキン、です。

なんというか、過不足なくちょうどいい。
どこかで読んだのだったか、無印良品のブランドコンセプトに携わるグラフィックデザイナー原研哉さんが、無印良品の商品の位置付けは「これがいい」ではなくて「これでいい」とおっしゃっていましたが、まさに、この手帳もそう。

使っていくうちに、「これでいい」のために考えられた仕事がしてあるのが分かってきます。例えばゴムバンドで手帳を束ねられるのもそう。角が丸いのも、頻繁にカバンから出し入れしたり、ページをめくったりするから劣化を防げる。裏表紙にはマチ付きの内ポケットがついていていろいろ放り込めて便利、そしてそのマチの部分は丈夫で且つ全体のデザインを損ねないような別の素材の紙が使われている。こんなふうに。
これ、よく見ると本当に丁寧ですよ。
裏表紙とポケットの台紙のあいだにマチののりしろ部分を挟み、開く側の台紙は2つ折りになっていて、それでのりしろを挟んである。

やっぱりこの、全体のデザインを損ねないように、という配慮が基本としてありますよね。しおり紐のシックな色合いもそういうことだと思います。いつも手元にあり日常的に使うものに、丁寧にデザインが施されているというのは、とても気持ちがいい。いや、日常的に使うものだからこそ、デザインの力が見えないうちにじわじわと浸透していくのかもしれません。

「これでいい」というのはおろそかにしない、ということ。
「これでいい」のレベルを底上げしていくこと。

使う人の気持ちを良くして生活を楽しくする。デザインにはそんな力もあります。

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