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転勤は必要か

日本企業に関して、長時間労働問題の次は転勤問題と言われています。

昭和時代の高度成長期には、企業組織の成長に伴って頻繁な人事異動が行われ、それに伴って転勤の機会も多く発生しました。東京本社の大企業では、地方勤務を経験するか出向経験がないと幹部になれないという暗黙のルールがあり、辞令という紙1枚でどこにでも赴くのが当たり前でした。

私自身もサラリーマンの息子で、子どものころは典型的な高度経済成長期の転勤族でした。まだ「単身赴任」という言葉がない時代だったので、父の転勤に伴って小学校を3回転校し、合わせて4つの小学校に通いました。そのたびに友人関係が白紙になって新たな環境に溶け込むことは、今振り返ると子どもにとってはかなりの試練だったと感じます。個人的には、おかげで環境順応性が高まったような気がしますが、適応できずに悩む子どもも多かったようです。

今でも子どもにとって親の転勤は厳しい環境ですが、今の時代は高度成長期とは明らかに違う点があります。それは、共働きが当たり前の時代になっていることです。例えば夫が転勤になっても、妻にも勤務先があるため一緒に転居することはできません。子どものこともあり、結局「単身赴任」の形になるケースがほとんどではないでしょうか。

でも、家族はみんなで一緒に暮らすのがハッピーでしょう。家族の一員だけが離れて暮らすのはきわめて不自然な形です。今はインターネットが普及し、離れていても簡単にコミュニケーションが取れますが、やはりリアル同居とは異なります。「単身赴任」という言葉は日本語以外には無いって知っていますか?欧米では、家族が離れて暮らすこと自体があり得ないことなのです。

最近では、そもそも転勤のメリットは何か、転勤以外で同様の効果はないのかなど、転勤制度についての議論が始まっています。時代とともに、社員の生活スタイルの変化に合わせて人事制度の見直しが必要でしょう。企業としては、男女に関わらずその家族を大事にして、個人の希望を最大限に考慮することが必要な時代になっていると思います。

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