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海外の食物アレルギー情報④ ハロウィン、保育施設の法律

今日は、ハロウィンのティールパンプキン、カリフォルニア州のElijah's Law制定について書きます。


1. ティールパンプキン

アレルギーの前に、ちょっと違う話題、ピンクリボン運動についてです。

10月は乳がん月間で、建物がピンクにライトアップされたり、ピンクのドローンやランタンも飛んだりしましたね。 私の家族も、母を含め3名が乳がんサバイバー。私も20代から30年以上、毎年検診を受けています。

アメリカで1980年代に始まったピンクリボン運動。日本では、独自の進化を遂げていると思います。私の通っているジムは女性専用なのですが、一番目立つ所に、乳がん検診のポスターが貼ってあります。乳がん検診の大切さが、多くの人に広まっていると実感します。

ところで、食物アレルギーも同じように認知度アップ活動があるのをご存じですか? アメリカでは、5月に食物アレルギー月間、10月にはティールパンプキン(青緑色のかぼちゃ)があります。

アメリカのハロウィンは、食物アレルギーのある子供たちにとっては、ちょっと注意が必要なイベント。普段交流がない人からもお菓子をもらい、うっかりアレルゲンの入った物を食べてしまう危険性があるからです。

そんな中、他の子供たちと一緒に、安全にハロウィンを楽しめるようにするための取り組みが、ティールパンプキンです。一般の人にも食物アレルギーを知ってもらい、コミュニティー全体でアレルギーのある子供たちもインクルーシブに受け入れるという、意味のある取り組みです。

通常、ハロウィンの時期にはオレンジ色のかぼちゃ(ジャックオーランタン)が飾られます。青緑色のランタンが置かれている家は、食物アレルギーの子供さん用の安全なTreatが用意されているサイン。 例えば、クモのおもちゃとか、光るブレスレット、ステッカーとか。大人の私も欲しいかも。

この活動は、テネシーで始まり、その後以前のブログで紹介した、アメリカ最大の食物アレルギー非営利団体FAREがアメリカ全土に拡大しようとしています。

3年前から、大手のドラッグストアCVS Pharmacy(日本のマツキヨみたいにどこにでもある)がFAREに協力。アメリカ全土の9000店舗以上で、食物アレルギーの子供用の60種類以上の食物以外のTreatを購入できるようにしています。

日本でも8年位前にティールパンプキンが紹介されたようですが、定着していないようです。日本のハロウィンは仮装が中心だったり、大人が飲んで騒ぐ感じで、子供たちがTrick or Treat?と、お菓子をもらいながら練り歩く感じではないですものね。

日本でも、ピンクリボン運動のように、食物アレルギーの認知度を上げる活動が何かできるといいですよね。

2. カリフォルニアElijah's Law制定

今日はもう一つ、カリフォルニアで小児を預かる施設で、食物アレルギーの子供の安全を強化するための法律が制定されたことを、お伝えしたいと思います。

2024年9月25日、Elijah’s Lawがカリフォルニアで承認されました(施行は2028年1月1日)。この法律は、2017年にニューヨーク市の保育施設で、出されたサンドイッチを食べアナフィラキシーで亡くなった、3歳児のElijah-Alavi Silveraの名前を取ってElijah’s Lawと呼ばれています。

この法律により、施設でのエピペンの保管が可能になり、緊急時に施設スタッフがエピペンを適切に打てるよう、訓練が義務化されました。州の救急医療組織の管理下、保育施設の健康安全責任者や教師等、少なくとも1名が最低15時間以上の研修を受けることが義務化されました(食物アレルギーやアナフィラキシー、エピペンの打ち方、小児のCPR等)。

また、保育施設が、食物アレルギーの子供に対し個別に緊急時の対処計画を定めることも義務付けられた。

2027年7月1日までに、州の社会福祉部門が保育施設スタッフ向けのアナフィラキシー・ポリシーを作成。保育施設は2028年1月1日までに、そのアナフィラキシー・ポリシーを導入。子供のアレルギー情報が明確にコミュニケーションされること、またアレルゲンへの暴露リスクを減らすため計画等も定めることが義務付けられました。

日本の保育園をイメージしていたのですが、法律をよく読むと、対象となる保育施設の範囲はかなり広い。18歳未満の子供を預かる保育施設、デイケア、日本の「保育ママ」のような個人宅の保育施設、企業の従業員向けの保育施設等を含むと書かれています。

アメリカでは子供を他人に見てもらう、預かってもらう必要性が高い社会なのです。例えば、産後遅くとも2-3か月で仕事復帰しないと、もうそのポジションはない。なので、乳児を預ける割合も日本より高いと推測されます。夫婦共働きでも、一人分の親の稼ぎは全部チャイルドケアやシッターに払われ消えていく、とみんなよくぼやいています。シングルペアレントで子育てと仕事を頑張っている方も多い。また、日本のように小学校の子供が一人で家でお留守番は、法律で許されていません。ニグレクト、児童虐待の疑いですぐ通報されてしまいます。

保育施設・シッターさん・保育ママ等に子供見てもらう期間・時間が長い、頻度が高い。そのため、保育施設で食物アレルギーのお子さんの安全性を確保するニーズが高いという背景もあります。

学校については、既に様々な安全強化のための法律やガイドライン等が定められている。それが保育施設まで拡大されてきている点が、すごいなと思いました。起こってしまった死亡事故を無駄に終わらせない、そこで学んだことをより良い社会作りに繋げていく、アメリカの精神を感じます。

この法律は、ニューヨーク州、イリノイ州、バージニア州、メリーランド州に続き、カリフォルニア州が、導入5番目の州となりました。カリフォルニア州では、2022年に州知事によって一度否決されています。導入にステークホルダーの同意が得られないというのが理由でした。

その後、様々な団体や草の根運動で粘り強くがんばり、2年で承認に漕ぎつけました。アメリカの食物アレルギーの非営利団体や草の根運動の、政治への働きかけ、影響力は本当にすごいです。 日本でも、自分も含めて患者さんがもっと政治や行政に、しっかり物申さないといけないのかもと、ちょっと思いました。

3. 感想

今週末は、ハロウィンの飾りつけをしようと思っていたので、青緑色のを作ってみようかと思います。

皆様も、ハロウィンの飾りつけをどこかで見かけたら、ティールパンプキンや食物アレルギーのお子さんのこと、少し思い出して下さい。

仮装を楽しむ予定の大人の方は、安全に楽しんで下さい😊

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