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知りたい


僕は、命に関わる病気になって、都会から田舎に、帰って来た。

都会にいた時、真夜中、小汚いBarに毎日通っていた。
そこには、バカで真っ当で頭が良く知識もある、大金持ちから大貧乏人までが、平たく、いつも酒を呑みながら、雑談をしていた。


その人間たちには、喜怒哀楽でいろいろな癖があり、音があり、触れれば温かく、なめれば汗の酸っぱい味や香水の苦い味がし、体臭で吐き気をもよおす奴も、いた。

いろいろな話をした。


社会、世の中の身分に関わらず、ガキの僕なんかより、バカで真っ当で頭が良く知識のある人間たちばかり、だった。

僕は、思っていること考えていることを、フルスロットルで、吠えた。


僕の知らないことは、質問した。
必ず、素晴らしいやさしく論理的な答えが、かえってきた。


その時間が、楽しかった。


今僕は、長生きが良いことだとしたら、運良く生きている。


しかし、田舎に帰ってきてから、まだ、フルスロットルにしたことは、一度も、無い。



現実、ストレスが溜まるし、楽しく、無い。


父が亡くなり僕の家には、僕が家からいなくなれば、79歳の母、独りになる。


僕は、母を、独りに、しない。



そんなことをする人間は、人の道に反する人間だよ。


数年前亡くなった恩人に、そう言われるような気がするからだ。



彼にそう教えられたと、思うからだ。


だけど、もっと、知りたいんだな。

楽しみながらさ。

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