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2020年は個人でデザインする時代からチームでデザインする時代へ

新年あけましておめでとうございます(遅)。
はじめまして。三井住友銀行の金澤と申します。
私は2016年に入行し、デジタル領域中心のインハウスデザイナーをしています。
昨年は私たちのnoteの記事を大変多くの方々に読んでいただき、本当にありがとうございました!
同じ思いをされている方からのコメントや、インハウスデザイナーの導入方法のご相談を頂くなど、思ってもいなかった反応の大きさに感謝しかない気持ちと、それと同時に身が引き締まる思いを感じていたら、あっという間に年を跨いでしまいました!

今年も微力ながら現場目線の情報を、noteを通して皆さまにお伝えしていけたらと思います。
これからもまだまだ続けていく所存ですので、温かい目で見守っていただけますと幸いです!

2020年代はチームでデザインをしていく時代

さてここからが本題です。
「2020年代はチームでデザインをしていく時代」とややあおり気味で題していますが、噛み砕くとチームでデザインする=デザインの専門家たちだけでなく、あらゆる立場の人を巻き込みながら一つのプロダクトやサービスを一緒に作り出す時代になっていくのではないか、という意味でつけました。
その中でデザイナーはどういった立場や役回りをしていくことが大切か、が今後は鍵になっていきそうです。

チームでデザインする流れの中で、私たち三井住友銀行リテールIT戦略部のデザインチームも少しずつではありますが、プロジェクト毎にチームで一丸となりデザインしていく文化ができようとしています。それに合わせて組織におけるデザイナーの価値やデザイナーへの期待値も変化してきているので、流れを振り返りながらご紹介したいと思います。
(よく話している内容なので、見聞きしたことがある方は次章を読み飛ばしてください。)

役割・期待値の変化

私は採用一人目のデザイナーということもあり、入行当初は行員にとってデザイナーとは得体のしれない存在でした。何をデザイナーに依頼して良いかわからないという声や、システムの仕様や画面構成、文言までもがFixした状態で相談されるケースもあり、一緒に仕事をしている感覚というよりは社内下請けのような状態で、ユーザー中心にモノづくりをする環境からは遠く、そこからどのように抜け出そうかということを考えていました。自分たちの価値を伝えようと、信頼関係を築くために依頼があれば積極的に受け、時にはバナー制作や画像のレタッチなど、その場の対応もこなしていく時間が多くありました。

その中で、私自身が感じていた課題はおおきく2つありました。

1つ目は、デザイナーへのアサインのタイミングが遅いためにできることが少ないこと。
2つ目は、デザイナーが目の前のことに追われ、自分たちの価値を伝えきれないこと。

そこで、下記のような対策を行い、課題をクリアしていきました。

・デザインガイダンス※1や日々の啓蒙活動を地道に行う
・依頼を受けたものはプラスα付加価値を創造して、打ち返す。

※1 デザインガイダンス:転入者向けにデザインの重要性についてデザイナーが座学形式で行うもの。ビジネスにデザインが必要な理由やデザイン経営、デザインチームの役割やミッション、デザイナーのアサイン方法などを共有する場で2か月に一度ペースで実施している

当たり前のように思えることも、銀行内でうまくいくように試行錯誤をしながら少しずつ前に進んで行きました。
その中で徐々に理解されていき、案件にも早い段階から参加できていくようになりました。ただし、私たちデザイナーだけでは解決できない課題もありました。

デザイナーだけではデザインはできない

結局の所、デザイナーはデザインについてはわかるけど専門的な銀行業務はわからないことも多かったため、デザイナーだけでは何もできない感があることに気づきました。
デザイナーだけだと理想的な顧客体験やユーザーインターフェースをカスタマージャーニーマップやプロトタイピング上で作ることはできても、そのままだと業務が専門的で法令や既存システムの制約まで細かく把握できないので、現実的なものに落とし込むことが難しいという問題がどうしても付いてまわります。

そういった各所からの指摘などを連携するために、これまではみんなが使えるという理由だけで企画担当や非デザイナー以外の人とやりとりをする時には、パワポやエクセルを利用してきました。そのため、画面を張り付けたり、最新に反映しなおしたり、コメントを漁るような作業が発生していて、情報連携しづらく感じていました。
それを一気に解決の方向に向かわせたモノがFigmaをはじめとするコラボレーションツールです。

コラボレーションツールFigmaの存在

Figmaはざっくり説明するとSketch、Abstract、Zeplinの3つを合わせたようなプロトタイピングツールでもあり、コラボレーションツールです。
(より先進的な利用方法などはnoteに先人たちがすでにまとめてくださっていますので、詳細は割愛させていただきます。)

もちろん、いきなり大きく舵は切れないので、あるプロジェクトで、協力会社のデザイナーさん、ディレクターさん、企画担当の行員など、プロジェクトに関わる人全員で利用してみました。

デザイナーだけでは解決できない課題に対し、1カ月程度ほぼ毎日関係者が集まって、インハウスデザイナー中心にFigma利用して、同時に議論し、意思決定していきました。(Figmaはリモートでも共同作業できるツールですが、一緒に集まって作業するというのも一つのスタイルとして結構有効だと思っています。大きな画面に映しての議論もしましたが、共有→アクションがとてもスムーズです。)

メリット
・Figma上で同じ画面に同時に居ることができるので、アイデアを一気に出し尽くすことができる。
・コメントも同じ場所でリアルタイムに共有でき、すぐに確定までもっていける。
・まるで大きな壁画をみんなで作っている連帯感、みんなが当事者意識を持てる。
・導入やはじめ方が楽。Mac以外でも動く(ここが1番重要)

デメリット
・エンタープライズ版だとやや高い
・利用できないことはないが社内のPCだと動きがモッサリしてしまう。

競合ツール
・(導入が楽という意味での)エクセル・パワポ、メモ帳
(金融機関にお勤めの方や、金融案件をご経験されている方であればご理解いただけると思いますが、みんなが利用できるエクセルが最強のツール、なんて言われたりしています。いつの日かあれは幻想だったと言わせたいです。)

チームでデザインするためにFigmaを利用し始めて、その効果を実感しています。実際に、Figmaは導入障壁が他のツールと比べて限りなく低いため、私たちの部署で利用者が少しずつ増えています。今後はもっと展開していきたいと思います。

これからどこに向かうのか

銀行というと、店舗の窓口やATMがまず思い浮かぶと思います。そういった対面での取引や手続きが銀行にはまだまだ多くあるので、まずはDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進していくことに注力していきます。
その中でデザイナーは自分たちでプロダクトを作ることはもちろんのこと、組織のデザイン力強化も最大の目的と捉えています。
銀行員が一人ひとり、お客さま視点の考えやデザインの理解が進めば、デザイナー数人が精一杯デザインしても敵わないはずなので、デザイナーは組織にデザインを浸透させることにも注力していきたいです。
その土壌が整った上で、SMBCの高品質なサービスを受けたい、SMBCに口座を持ちたい、と思ってもらえるような体験を実現できるようなものを届けていきたいと思います。

イベントの紹介

1/24(金)に渋谷にあるデザイン会社のグッドパッチさんのところでBCGDVさんと一緒に「デジタルトランスフォーメーションを担うデザイナーの働き方」と題したイベントにSMBCデザインチームとして参加します!

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SMBCからはnote第1話を投稿した金子が登壇します。

具体的な事例などここで紹介できない話もあるかもしれません。銀行のデザインに興味がある方はぜひご応募、よろしくお願いいたします!

また、一緒にSMBCでデザイナーとして働いてくれる方を募集しています!まだまだ立ち上げ期のデザインチームですので、裁量は十分にあると思います。興味がある方は下記からご応募お願いいたします!

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