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異動する人・しない人。SmartHRのマーケター3名のキャリア実例

マーケターに限らずキャリアについて考えると、「一つの職種で長く経験を積み、専門性を高める」「定期的に役割を変え、幅広い職能を身につける」「プレイヤーを経てマネジメントの道を歩む」など、様々な選択肢が存在します。自分には何が向いていて、どのようなスキルを身につけていくとよいのか、迷う場面もあるのでは。

今回は、SmartHR マーケティンググループの篠原(@riko)さん、磯(@isosho)さん、岡部(@miiko)さんの3名に話を聞きました。SmartHR入社後、「グループ(部署)異動をした」「同じグループ(部署)内でユニット(役割)が変わった」「異動せず一貫して同じユニットに所属している」という三者三様のキャリアに迫ります。

※ 本文では、マーケティングは「マーケ」と省略して記載します。

SmartHR マーケティンググループの概要

2023年9月現在、SmartHRのマーケグループには85名が所属。同グループ内に「ユニット」と呼ばれる5〜8名ほどの15の組織が存在します。
各ユニットの高い専門性を活かして、お客さまの認知・好感の獲得から興味関心の醸成・比較検討、導入活用までを分業・連携しています。2019年時点では、デジタルマーケティング、オフラインマーケティング、広報、メディアの4つのユニットだったため、組織の拡大を感じます。

なお、各ユニットのプレイングマネージャーを「チーフ」、複数ユニットのマネジメント担当者を「マネージャー」と呼んでいます。
続いて、3人のメンバーの具体的なキャリアを紐解きます。

入社2年で、カスタマーサクセスからマーケティングへ異動

最初にお話を聞くのは、グループ(部署)異動の経験者、篠原 恵利子(@riko)さん。別グループ所属時に関わりのあったマーケ業務にてアクセルが求められたタイミングでの異動を経験しました。マーケ未経験からの異動に不安はなかったのか聞いてみます。

ーー2018年当時、社員数がまだ100名に満たなかったSmartHRに入社した@rikoさん。最初はどの部署に所属しましたか?

riko:カスタマーサクセス(CS)グループです。社員数が500名以下のお客さまのオンボーディングと活用支援を担当していました。また、ハイタッチ(※1)での顧客対応と共に、テックタッチ(※2)のオンボーディングの仕組み化やユーザー会も実施していましたね。
当時連携が多かったのは、サポートグループやセールスグループです。

※1 ハイタッチ:カスタマーサクセスによる案内やサポートを、すべて人が担うコミュニケーション手法のこと。
※2 テックタッチ:カスタマーサクセスによる案内やサポートで基本的に人を介さず、すべてデジタルでコミュニケーションすること。

正面を向いて座る女性の写真。
【篠原 恵利子さん(@riko)】
株式会社SmartHR マーケティンググループ アドボカシーユニット所属。
ビズリーチ(現ビジョナル)社にて、新規開拓営業、新卒採用人事、カスタマーサクセスを担当。2018年にSmartHR入社。

ーーCSグループに約2年間所属した後にマーケグループへ異動。きっかけは何でしたか?
riko:CS × コンテンツマーケで共同運営していた「ユーザー会 (旧:PARK mini)」をコミュニティとして本格的に推進すると決まったことです。これにより、マーケグループにコミュニティ運営専門の「アドボカシーユニット」が設立され、異動しました。

マーケでは、事業スケールの大きさや結果を数値で出す力が身につきそうだという期待感がありました。また、日本ではまだ未知の領域のBtoBコミュニティに挑戦できることにわくわくしました。

ーー異動に際して不安はなかったのでしょうか?
riko:基本的な業務が大きく変わらない中での異動だったこともあり、所属グループが変わることへの不安はありませんでした。ただ、これは半分冗談ですが、CSに所属していた頃は「マーケグループは仕事にもお笑いにもストイック」という印象をもっていたので、温かく歓迎してもらえてほっとしましたね。「プロ意識が高い」という印象は、異動前後で変わりません。

CSは目の前のお客さまへの意識が強いですが、マーケは「どうすれば事業がスケールするか」の意識からグループ内の横連携が特に強固だと思います。

ーーBtoBコミュニティを0からつくっていく楽しさがある一方で、まだ世の中にノウハウがない難しさもあったのでは?
riko:当時も今も難しさはありますね。ユーザー向けオンラインコミュニティ「PARK」を一緒に立ち上げた大久保(@secchin_maru)さんとは毎朝話すようにしていましたし、先日DocBase(社内の情報共有用ツール)を見返したら「これからどうしようの会」というドキュメントがいくつか残されていて、当時BtoBコミュニティのお手本が少なく、どう施策を打っていけばよいのか迷っていた気持ちを思い出しました(笑)。
ただ、誰もやったことがないことに挑戦するのが好きな性格ということもあって、コミュニティに関わる道を選びました。

右を向いて微笑む女性の写真。

ーー異動前にマーケのご経験はありましたか?
riko:前職では営業・人事・CS、SmartHRではCSと、マーケは未経験でした。そこについては「不安です」と異動前からお伝えしていましたが、「実際に働く中でも知識と経験が身についていくよ」と言っていただいたことが後押しになりました。また、自分でもマーケに関する書籍を読むことで早期のキャッチアップを心掛けました。

ーーマーケグループは役割ごとにユニットが細分化されていますが、異動後、他ユニットとはどのように連携していますか?
riko:各ユニットの得意分野に頼らせてもらうことが多いですね。例えば、イベントの集客時にはナーチャリングユニットのメンバーにメルマガの力を借り(参考:日本で一番多い?! 16名のナーチャリング組織の業務と役割を聞いてみた)、導入事例であればコンテンツマーケユニット……といったように、各領域の専門家に相談できるところがありがたいです。出社時の立ち話がきっかけとなり、施策に繋がることもあります。
異動後は、特定の部署ではなく全社的に広く関わりが増えました。

ーーSmartHRに入社して、間もなく6年目ですね。CSからマーケへの異動を経て、今後どのようなキャリアを歩んでいきたいですか?
riko:明確に「これ!」という理想像はまだありませんが、PARKがよいコミュニティであり続けるようにしたいと考えています。
CSからマーケに異動したことで、未経験の業務に挑戦でき、できることの幅が広がったと感じています。今後も様々な経験を積むことで、できることを増やしていきたいですね。

イベントとデジタル。役割を変え、マーケティングの幅広いスキルを身につける

続いて話を聞く磯 翔太(@isosho)さんは、入社から4年間マーケグループに所属していますが、グループ内で一度ユニット(役割)を変えています。一口に「マーケ」と言えども、専門性の異なる領域を担当するのは難しさがありそうです。どのように乗り越えたのでしょうか。

ーー@isoshoさんは、最初にイベントを担当していましたね。元々イベントの経験があったのでしょうか?
isosho:前職では、クライアント企業の販促活動における企画・制作・進行管理を担当していました。具体的には、イベントプロモーションを強みに、プレス発表会・展示会・製品体験会・配信イベント等を、業種や規模を問わず担当していましたね。

その後の2019年に、展示会等のイベントを担当する「イベントマーケティングユニット」所属としてSmartHRに入社しました。最初の半年間は展示会やセミナーでのリード獲得施策の他、コミュニティイベントの立ち上げを担当するなど、オフラインイベントを中心に活動していました。
2020年のパンデミックを機に、オンラインセミナー施策への移行を余儀なくされ、オンラインセミナーによるリード獲得施策を進めながらその運用を社内に定着・標準化させることに注力しました。同時に、セミナー動画を活用した二次施策を新たに始めるなど、状況にあわせてイベントを軸とした施策の幅をどんどん広げていきました。

左を向いてソファに座った男性の写真。
【磯 翔太さん(@isosho)】
株式会社SmartHR マーケティンググループ リードジェネレーションデジタルユニット所属。
広告制作会社にて、クライアント企業の販促活動における企画・制作・進行管理業務に従事。2019年にSmartHR入社。現在は、デジタルマーケティング起点でプロダクト販売を実行するプロジェクトを推進している。

ーーその後、マーケグループ内でユニットを変えていますね。役割が変わることへの不安はありませんでしたか?
isosho:イベントマーケとして1年半活動した後、2021年に「リードジェネレーション デジタルマーケティングユニット」に所属が変わりました。

当初は、デジタルマーケに関する知識とスキルが不足していたため、「成果を出せるのか」という不安があったことを覚えています。また、デジタルマーケならではの聞き馴染みのない専門用語が多く、最初のうちは打ち合わせの内容が理解できず、業務上のコミュニケーションでさえも苦労しました。

ーー前職からのイベントマーケの経験を活かして、さらにオンラインセミナーのスキルも得ていく中で、なぜ未経験のデジタルマーケに挑戦したのでしょうか?
isosho:SmartHRの採用面接時から「イベント以外にも、広くマーケのスキルを身につけたい」と意気込んで話していました(笑)。その気持ちはずっと変わらないなか、オンラインセミナーに取り組んでいるとデジタルマーケに触れることも多く、リード獲得領域でイベントとデジタル両方のスキルを身につけられたらマーケターとしてもっと強くなれそうだと感じていました。そんなタイミングで、組織拡大に伴うユニット変更の提案を受け、デジタルマーケにチャレンジできる機会を得ました。

しかし、おっしゃる通り、デジタルマーケはほぼ未経験の領域です。スキルアップにつながりキャリアの選択肢が広がる期待が膨らむ一方で、緊張感もありました。

ーーデジタルマーケの用語がわからず苦戦する状態から、どのように克服していったのでしょうか?
isosho:基本的なこともわからなかったので、デジタルマーケの単語帳や関連書籍を読んだり、週に一度、ざっくばらんに上長に質問・相談する時間をつくったりしていました。同時に、不明点や疑問点があればすぐに周囲に質問するなど、日々素直にインプットに努めて解決していましたね。

また、積極的に打ち合わせに参加するのはもちろん、施策を進める機会があれば手を挙げ、早期に経験を積むことも目指しました。知識と経験が増えれば、自分の強みである推進力と実行力で成果を出せるようになり、徐々に自信をもてるようになりました。とはいえ、今もまだわからないことはたくさんあるので、何かあればすぐに調べたり周りに聞いたりしています(笑)。

右を向いた男性の横顔の写真。

ーーイベントからデジタルへと変わった際に、驚いたことはありますか?
isosho:「合理的」かつ「数字への責任感」を一層感じるようになりました。デジタルの良いところは、顧客行動が取得でき、施策の成果の多くが数字で見えることです。それらがイベントになかったわけではないですが、数字というファクトベースで議論・仮説出し・改善が日常的に行われていることに最初はギャップを覚えました。同時に、その思考が身についたことで自身も成長できたと感じています。

一方で、イベントならではのウェットさが少なくなり、数字では測れない情緒的な変化や本質的なニーズなど、顧客が見えづらくなった部分もあるかもしれません。数字だけで語ってしまう危うさにも気付きましたね。SmartHRのバリューの1つである「人が欲しいと思うものをつくろう」を、定量・定性どちらの観点からも考える意識が強くなったように思います。

ーーデジタルマーケは担当領域が広いため、ユニット内でさらに担当を分けているそうですね。
isosho:「サービスサイト」や「広告運用」といったように担当が分かれているので、各領域のプロフェッショナルが集まっているユニットという感覚がありますね。ユニットとしての共通のミッションがあるため、分断されているわけではなく、日常的に各観点からアイデア出し・議論をしていて、連携施策でシナジーを生み出しています。担当外の領域でも気軽に質問しあえるので、自分の知見も広がりますし、チームワークも良いと思います。

マーケグループ内でもユニットを超えた連携は多く、また、自分の業務としてマーケ以外の他グループと横断的に活動する場面が多いため、連携やチームワークは重要だと考えています。1人では成し遂げられない課題に取り組んでいることもあり、それぞれのミッションやSmartHRのカルチャーを前提に、「何を成し遂げたいのか」「なぜ相談しているのか」「そのために何をしたいのか」「いつまでに終わらせたいのか」を具体化し、相談先のメンバーが判断・意思決定しやすいコミュニケーションを心がけています。

ーーマーケのスキルの幅を広げている@isoshoさんですが、今後どのようなキャリアを歩んでいきたいですか?
isosho:実は、将来の夢を語るのが苦手なんですよね(笑)。そのため、キャリア像はぼんやりしていますが、マーケのスペシャリストとして事業成長を加速できる人材になりたいと思っています。
これまでリード獲得領域でのスキルの幅を広げ、現在ではマーケが中心となって顧客のライフサイクル全体を視野にMRR(月次経常収益)を長期的に追うプロジェクトを推進しています。状況に合わせて新しいことを立ち上げたり実行したりしてきた経験は自分の強みでもあるので、事業成長に必要であろうまだ手つかずの課題に対していろいろなパターンの仮説検証・施策実行を進めることで、マーケターとしての引き出しを増やしていきたいです。

入社から一貫してブランドマーケティングを担い、プレイングマネージャーへ

最後にお話を聞いたのは、岡部 南海子(@miiko)さん。4年弱の社歴の中で、一貫してマーケティンググループ ブランドマーケティングユニットに所属しています。一つの組織で専門性を高めていく魅力について聞きました。

ーーSmartHRにご入社されてから今まで担当されている業務について教えてください。
miiko:SmartHRには、2020年にマーケティンググループ ブランドマーケティングユニット(以下、ブランマ)のメンバーとして入社し、現在も同ユニットに所属してます。入社から1年半後に、プレイングマネージャーである「チーフ」となり、現在もチーフを務めています。

担当者としてはこれまで、マスマーケの戦略立案からメディアプランニング、クリエイティブディレクション、効果検証といった一連の流れを推進してきました。マスマーケは、施策が当たった際に世の中に大きな影響を及ぼせる点が醍醐味だと思います。世の中の反響だったり、指名検索や認知度などが大きく伸びると、やったね!という気持ちになります。

左を向いて微笑む女性の写真。
【岡部 南海子さん(@miiko)】
株式会社SmartHR マーケティンググループ ブランドマーケティングユニット所属。
新卒で銀行に入行し、法人営業に従事。その後ウェブ広告の代理店での営業、通信系の事業会社でのマーケティングを経て、2020年にSmartHRに入社。

ーーSmartHRのチーフはプレイヤーとマネジメントの両側面を持ちますが、チーフを担当すると決まったときに不安や迷いはありましたか?
miiko:ブランマには、 社会に対して広く浅くコミュニケーションをとるマス領域と、狭く深くコミュニケーションをとりエンゲージメントを高める領域の2つがあります。
それぞれ施策の性質がまったく異なり、かつ後者はチーフになってから関わり始めたため、最初はキャッチアップに苦戦しました。当時はできるだけ多くの打ち合わせに参加することでリアルな情報を得るよう心掛け、同領域に関する本も読みましたね。

また、チーフの業務はメンバーのときとまったく異なります。マスについて実務もやりつつ、ユニット全体に対して、メンバーがより高いパフォーマンスを発揮できるよう、気持ちよく働けるチームづくりを推進しています。その他、ユニットのミッション策定や予算管理も担当しています。

ーーブランマという同じユニットに長く所属し、専門性を高めていく魅力について教えてください。
miiko:SmartHRは「変化が早い」というスタートアップらしさがあると感じています。コロナウイルスの影響や、世の中の経済状況への対応、祖業の労務領域からタレントマネジメント領域への進出による訴求内容の変化など、いろいろな変化に対応するべくやることが常に変わっていく面白さがあります。
また、同じユニットに長く所属することで、これらの変化をダイレクトに実感できる楽しさもありますね。マスマーケでいうと、マス施策を打つということは変わりないのですが、その目的であったり規模などが環境の変化に応じて結構変わるので、一つの領域であっても経験の幅が広がります。

ーーブランマは、特にどのユニット・グループとの連携が多いですか?
miiko:特に連携が多いのは、isoさんも所属しているウェブ上でのリード獲得を目的としたユニットや、マーケグループ横断でのコミュニケーション戦略を策定するユニット、効果検証などで協力を依頼することが多いデータ分析のユニットです。
密に連携しているユニットとは、こまめに状況共有をしたり、連携目的のすり合わせにより、認識がずれないように気を付けています。

右を向いて話をする女性の写真。

ーー組織の人数が増えリモートワークもある中で、他チームとの連携の難しさを感じることはありますか?
miiko:初めてやり取りをする方にSlackで連絡するときは、多少緊張しますね。しかし、基本的にみんなウェルカムな姿勢なので、コミュニケーションの難しさを感じる場面は少ないと思います。また、もし相談先がわからなくても、「このユニットかな」と思った先にメンションをすれば、「それは〇〇さんが担当だよ」とすぐに教えてもらえます。

一方で、組織全体の動きがすべて見えているかというと、そうではないと思いますね。個人的には、日常的に関わる範囲のチームの動きを理解できていればOKで、他は連携が必要になった際に情報を取りに行けばOKだと感じているので、課題感はありません。

ーーブランドマーケティングの専門性を高めていく中で、今後どんなキャリアを歩んでいきたいですか?
miiko:具体的に「こう!」というのはまだありません。世の中に向かって広くコミュニケーションをとることで、意識変容や行動変容を促す活動がやはり好きなので、今のキャリアを軸として、できることを広げていきたいと思います。


SmartHRのマーケティンググループで働く3名に話を聞きました。下記のように、個々のキャリア志向に合わせた働き方があることがわかりましたよ。

  • 他部署から異動し、それまでの経験を活かしつつ新たな挑戦をする

  • 部署は変えず新たな役割に挑戦することで、幅広いマーケスキルを身につける

  • 同じ役割として長く働くことで、一つの職能を極めていく

なお、異動およびユニット変更は、組織の状態や個人のスキルに合わせて適宜協議、判断しています。希望が必ず通るとは明言できないものの、相談しやすい環境だと思います。

SmartHRと書かれた銀色の壁の写真。

SmartHRマーケティンググループでは各職種で求人を行っているので、詳しくはSmartHRの採用ページをご覧ください。ページ下部の「募集職種」の部分で「マーケティング」にチェックを入れていただくと、一覧でご覧いただけます。

また、SmartHRのマーケグループについてもっと知りたい方は、下記をご覧ください。メンバー自身が書いた記事や、メンバーが受けたインタビュー記事がまとまっています。


取材日:2023年9月21日
インタビュイー:@riko、@isosho、@miiko
執筆、撮影:@ta_ke_be
協力:@gucci

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