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プラスチック汚染と気候変動って本当に関係しているの? Plastic pollution is bad, but how exactly is it linked to climate change?

※こちらは、GreenBiz シャーロット・エドモンド氏著記事の日本語訳です。ぜひ原文もご覧ください。

いけがきに引っかかったレジ袋や海に漂うペットボトルなど「使い捨てプラスチック中毒」の兆候をいたるところで目にします。私たちは、プラスチック汚染が今大きな問題であることを知識として知っています。しかし、プラスチックが実際地球温暖化にどのように関わっているかについてはあまり語られていませんでした。

プラスチックが海洋環境に与える影響からどのように廃棄されるのかまで、プラスチックがどのように気候変動問題に影響しているのかをご紹介します。

増加するプラスチック汚染

国際エネルギー機関(IEA)によると、私たち人間がプラスチックをもっと使いたいと思う野心が、石油化学製品の需要増を加速させているようです。輸送や暖房などの分野で化石燃料の使用を抑えようとしても、今の動向のままではプラスチックの消費量は増加する一方です。国際環境法センター(CIEL)の推計によると、2050年までに石油消費量の20%をプラスチックが占めるようになります。

廃プラスチックも気候変動の原因に

プラスチックの処分は地球にとって問題となっています。プラスチックの16%のみがリサイクルされ、残りは埋め立てや焼却に回されるかそのまま捨てられています。

リサイクル工場に運ばれなかったプラスチックの多くは川や海に流れ込みます。これは、水中のすみかがゴミベルトと化してしまった動物や植物にとって危険なだけでなく、プラスチックがゆっくりと分解される際に温室効果ガスを放出するので気候への脅威にもなっています。日光と熱によってメタンとエチレンが放出され、プラスチックがより小さく分解されるにつれ、その割合が増加します。

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さらに、マイクロプラスチックは海洋微生物の二酸化炭素吸収・酸素放出能力に影響を与えるという研究結果もあります。地球上の酸素の少なくとも半分は海から供給されており、そのほとんどはプランクトンによって生産されています。これらの小さな生物は光合成によって炭素も取り込んでいるので、海は地球にとって極めて重要な炭素吸収源です。マイクロプラスチックはこれらの生物が成長し、繁殖し、炭素を捕獲するという活動に影響を与えてしまいます。プランクトンがマイクロプラスチックを食べてしまうと、海洋酸素の喪失をさらに加速させる可能性があるのです。

プラスチック汚染が海洋環境に及ぼす有害な影響については、特に懸念されるべきです。プラスチックで汚染され、温暖化した海では、植物や動物が被害を受け、二酸化炭素の吸収量が減少し、気候変動を抑制する能力がさらに損なわれるという負の連鎖が発生します。

プラスチックの焼却も問題

廃棄物の野焼きは世界各地で一般的に行われており、大気汚染の主な原因となっています。プラスチックを燃やすと、有害な化学物質が混合されて放出され、汚染された空気にさらされた地球や人々は健康を損ないます。ブラックカーボン(黒色炭素)は、二酸化炭素の5,000倍もの地球温暖化係数(GWP※)を持つ、深刻な汚染物質のひとつです。

※地球温暖化係数とは、「そのガスが二酸化炭素の何倍の温室効果があるのか」を表す係数で、「温室効果」の程度を知る値として活用されます。

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2019年、国際環境法センター(CIEL)は、プラスチックの生産と焼却により、石炭火力発電所189基分に相当する8億5,000万トンの温室効果ガスが大気中に追加されると評価しました。2050年には、これが年間2.8ギガトン(石炭火力発電所615基分)の二酸化炭素に増加する可能性があります。

プラスチック汚染の解決には、循環型経済が欠かせない

プラスチック問題への取り組みのカギは、循環型経済の確立です。システムから排除できないプラスチックは、再利用、リサイクル、堆肥化することが必要です。そのためには、回収や再処理のインフラ整備に多大な投資が必要です。

エレン・マッカーサー財団によると、循環型経済にすることで海に流入するプラスチックの量をこれまでの形の経済モデルと比較して毎年80%削減できます。また、2040年までに年間2,000億ドルの節約と25%の温室効果ガス排出削減、70万人の雇用創出が可能になるとしています。

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