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SDGsの科学的な裏付け#3 感性との融合

 SDGsの科学的な裏付け#1#2でSDGsを裏付けるプラネットバウンダリーの考え方と科学的な対話を紹介してきました。
 #3では、科学と感性との融合をテーマに書いていきます。
 というのも、物事を「科学的」に全部を理解できる人って私も含め、ほとんどいないんです。私は、大学で偉そうに教えていますが、多分野の専門的な内容を理解するのは、容易ではありません。顕著さと未知への敬意は、個人の感性の中で育まれます。

Θ理屈を理解すること、と腑に落ちる感覚

 例えば、私は、廃プラスチックの有効利用する仕組みをデザインすることを専門のひとつとしています。しかし、廃プラスチックが海洋の生態系に及ぼす影響は、正しく理解していません。
 なので、私の仕事は、有効利用する方策とその効果、そして、お金がいくらかかるかを明らかにします。でも、生態系への影響は、今の経済・社会の仕組みには反映されていないので、目をつぶらざるを得ません。それでも、他の人たちの研究成果を活用をもとに、大まかに把握はしておきます。

 でも、少し考えちゃいます。
 
どこかで遠く離れた場所への影響の数値って、実感を得ずらいんです。

 そんな時、一枚の写真や映像が心を動かす、ことがあります

 例えば、 WWTのサイトをご覧ください。廃プラスチックの網でもがくウミガメ。そりゃ、何とかしなくちゃ、と思います。そりゃ、『ファインディング・ニモ』のクラッシュが頭に浮かぶわけです。
 そうすると、今の研究が、海洋の生き物にとってよい影響を少しでももたらすなら、日々のプレゼンもディスカッションも執筆も、そしてその準備のための途方もない知的鍛錬もしっかりとやろうと思えます。
 そんな気にもなるわけです。それは人間らしさなんだと思います。

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写真は、『Unsplash』より
Beautiful, free images gifted by the world’s most generous community of photographers. Better than any royalty free or stock photos.

Θ科学者と芸術家のコラボレーション

 そこで、重要なのが科学と感性との融合だと思います。この『サステイナビリティ私観』で強調しているところの科学者とロマンチストの連携です。その連携が、多くの人の理解を助けると考えています。

 その試みの代表的な試みを紹介していきます。#2で紹介した『Nature(ネイチャー)』の論文の著者の一人J.ロックストローム氏が、写真家のM.クルム氏と共著で書いた書籍『地球の大きな世界 プラネタリー・バウンダリーと持続可能な開発(2018,丸善書店)』です。最近、訳者の方々のご尽力で、日本語訳が読めるようになりました。
 ちなみに、本の帯は西川きよしさんです^^)

 写真家のクルム氏が映し出す地球の姿、ロックストローム氏の合理的だが抒情的な文章がとにかく素敵です。科学者とロマンチストの自分が、不可分に地球の状況を咀嚼し、芸術的な表現を経て、エンジニアの私を刺激してくれます。
 何より、世の中で起きていることの全体像が分かるし、かといって悲観的ではなく、人間のクリエイティビティを信頼している。

  写真と映像のパワーにご関心のある方は、地球の生き物をみずみずしく映し出すM.クルム氏のサイト(作品)をご覧ください。
 また、同時にこれらの作品を使って3,000回もの講演をしています。M.クルム氏のサイト(講演)でその様子を垣間見ることができます。

「数字による説明だけでは達成できない。
それは感情と思考の両面から起こることが必要だった。」

『地球の大きな世界 プラネタリー・バウンダリーと持続可能な開発(2018,丸善書店)』
序文より抜粋。

 次回#4では、こうした科学と感性の融合がクリエイティビティへとつながるお話を書きます。

 クリエイターの皆様は、言葉をうみ出すインスピレーションをどこから得ていますか

 お読みくださり、ありがとうございます!!!!

 これまでの文章は、『サステイナビリティ私観』をご覧ください。
 応援してくださる、と嬉しいです。!!!

「世界を変えるお金の使い方(Think the Earth Project編)」に基づいて100円単位~数万円単位でできること、50項目を実行し、その報告を記事にします。 「毎日使う100円玉にも世界を変える底力があります(P11)」 応援、ありがとうございます!!!!