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モノクロームの向こう側

 over the monochrome


 現代においても、時々、"あえて"モノクロで撮影された映画が公開されることがありますが、モノクロ映画って、映画監督さんにとっては、一回は撮ってみたくなるものなのかもしれませんね。

 光と陰だけで構成されたシンプルな映像は、やっぱり独特な美が感じられて、印象的なのは間違いないのです。

 

 これまで、自分の”note”で紹介したきた映画監督さんのモノクロ作品

 リュック・ベッソン監督の「アンジェラ」

 ◆関係"note"【全部観たいリュック・ベッソン】


 デヴィッド・リンチ監督の「エレファント・マン

 ◆関係"note"【全部観たいデヴィッド・リンチ】


 F・コッポラ監督の「ランブルフィッシュ

 ◆関係"note"【コッポラのYA三部作】


 などなどの作品があったりします。
 こうしてみると、モノクロ作品って、ちょっと、アートっぽい香りが漂いますよね~。
 そう思うと、それぞれの監督の、いつもの娯楽作品としてでなく、違うチャンネルを使いながら観ているような気がします。

 今回は、そんなモノクロ映画について”note”しようと思います。 


* * * * * * * *


◆◆モノクロ映画と言えば、この二人!◆◆

 自分世代にとってモノクロ映画と言えば、この二人の監督を思い出さずにはいられないんです。
 その一人が”ジム・ジャームッシュ”、そして、もう一人が”ヴィム・ヴェンダース”です。


ジム・ジャームッシュ

 アメリカインディーズ映画界の巨匠という、相反するイメージを持つジャームッシュなんですが、自分にとっては、とにかくジャームッシュ監督はお洒落な映画を撮る監督のイメージでした。

 有名になったのが2つのモノクロ映画

ストレンジャー・ザン・パラダイス』(1984)

ダウン・バイ・ロー』(1984)

 当時は、この映画を観て、「いいね!」って思わないといけないぐらいの風潮があって、ジャームッシュはサブカルの帝王みたいな感じでした。

 正直、自分にとって『ストレンジャー・ザン・パラダイス』は全然面白くなくて、『ダウン・バイ・ロー』の方は、まあまあ面白いぐらいの評価でした。
 

 今、観たら印象は変わるのかもしれませんが、再視聴はしてないまんまですよね~。
 個人的には、『ミステリー・トレイン』や『ナイト・オン・ザ・プラネット』みたいなオムニバス系の作品の方が好きなのですが、ジャームッシュはその後も『デッドマン』や『コーヒー&シガレッツ』など、定期的にモノクロ映画に回帰しています。


ヴィム・ヴェンダース

 ヴェンダースも一世を風靡した監督なんですよね~。
 初期作品の『都会のアリス』や『さすらい』などのロードムービー系もモノクロ作品だったんですが、なんといっても『ベルリン・天使の詩』は一風変わったモノクロ作品で、すごく印象的でした。

ベルリン・天使の詩』(1987)

 おじさん天使が主役なのですが、天使側からは世界がモノクロに見えている設定なのです。
 恋をした天使が永遠の生命を放棄し、人間に変化していくと、世界に色がついてくる趣向なのですが、なかなか素敵な趣向だと思いませんか?(そういう意味では、ほんとのモノクロ映画じゃないかもですが....)
 寒々しい壁崩壊前ベルリンの映像も貴重だと思うのですが、この後、ヴェンダースは続編『時の翼にのって/ファラウェイ・ソー・クロース!』で、東西統一後のベルリンも撮ってくれているので、ぜひ併せて鑑賞して欲しいところです。



◆◆日本のモノクロ映画監督!◆◆

 ジャームッシュやヴェンダースのように、モノクロ映画にこだわる監督さんが日本にもいて、それが”林海象”さんで、そもそもデビュー作の『夢見るように眠りたい』はモノクロ&サイレントだったりするのです。

 その後『二十世紀少年読本』(1989)や、「私立探偵 濱マイク」シリーズの第一作目『我が人生最悪の時』(1994)など、全編モノクロ作品を発表してくれています。

 ”林海象”監督は、作品の振り幅が大きい監督のイメージがあるのですが、長瀬正敏さん主演のやつは、安定して面白い印象です。

 ノスタルジック溢れるモノクロ画像は、ほんとキレイなんですよね。



◆◆アートの香りがしないモノクロ映画!◆◆

 モノクロ映画にはアートの香りが漂うのですが、監督によっては、アートの香りのまったくない、むしろギラギラした印象の映像になる場合もあります。それが、”フランク・ミラー”と”ロバート・ロドリゲス”の共同監督+特別ゲスト監督”クエンティン・タランティーノ”という『シン・シティ』です。

シン・シティ

 この映画は、モノクロをベースとしながら、一部カラーリングされていたり、カラーの人物がいたりして、独特のドギツさ溢れる映像なんですよね。
 まあ、さすがロドリゲスやタランティーノって感じの仕上がりなので、モノクロ映画に求めるものとしては異端な作品かもしれません。


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 あえてのモノクロ映画って、他にも、S・スピルバーグの『シンドラーのリスト』やティム・バートンの『エド・ウッド』などなど、たくさんあるのですが、なんか格がひとつ上がるというか、名作が多い気がします。

 やっぱり、あえてモノクロで撮っているという、こだわりがそうさせているんでしょうね。


 最後は、あんまりメジャーな監督ではないのですが、思ったより面白かったアレクサンダー・ペイン監督のモノクロ映画を紹介します。

ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅』(2013)

 けっこういい映画でした!



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