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炊き出しを続けて感じること その9

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炊き出しを続けて感じること
炊き出しを続けて感じること その2
炊き出しを続けて感じること その3
炊き出しを続けて感じること その4
炊き出しを続けて感じること その5
炊き出しを続けて感じること その6
炊き出しを続けて感じること その7
炊き出しを続けて感じること その8

今年10月を終え、炊き出し団体3年、連携団体2年の通算5年を超えましたー!笑 自画自賛で大変恐縮ですが、現状は当事者が安心感を持って話ができるスタッフが殆どいないので、炊き出し公園でひっきりなしに当事者が何かを話しかけてきて、情報が勝手に集まってきていて、マジ感謝です!笑 僕は当事者が大好きです!笑 これからも、僕の先生として色々教えて欲しいです!笑

・当事者は様々なバラツキが大きい
始めてから1年目くらいで気づいたことの一つなのですが、当事者の個々人の能力や境遇、立場など本当に様々で、一般社会よりもバラツキが激しいです。わかりやすい学歴だけを例に挙げても、最上位国立大卒や、最上位私立大博士課程中退などが、ちらほら居る一方で、僕のような中卒や高校中退などもかなり多いです。どうしてもスタッフと良好な関係を築ける当事者は、言語化能力が高い方が圧倒的多数です。言語化能力が低くてもスタッフと良好な関係を築ける当事者は、人懐っこさや愛嬌、明るさなどを備えており、支援の場の闇をしみじみと感じています。

常々思うのですが、僕自身が社会的立場の高い方達の一部と良好な関係を築けたり、そういう方達に耳を傾けて貰えたり、当事者のイチ意見として当事者側の意見を聞いて貰えたりしているのも、僕自身の言語化能力が高い理由も大きいと感じています。上手く自分の想いや、置かれている状況などを、冷静に言葉として伝えられない当事者は、上手く伝えられない想いや感情を溜め込んでしまい、何かのきっかけで爆発し暴力や激しい暴言として表出します。本当は他スタッフにもそういう状況の当事者が沢山居ることを知って貰ったり、根気よく耳を傾けたり、真摯に向き合って欲しいと願っています。涙

・僕に懺悔してくる当事者
とにかく最近は、色々な当事者の声が集まってきます。「スマホの操作を教えて欲しい」「LINEの登録の仕方を教えて欲しい」「ここから、〇〇駅に行くには、どうすれば良いの?」「別炊き出しでスマホを紛失したのだけれど、どうすれば良いの?」などなど…。笑 直接、炊き出し団体の活動に直結しないものも増えてきて、それだけ気軽に話しかけやすいスタッフに成れたのだと思い、僕はとても嬉しいです。笑 一方で、元893、元右翼、お務め経験があるような、一見すると怖そうな、自分の親くらいの世代の方達から「死にたい」「〇〇年、お務めに行っていたんだ」「実は別荘帰りなんだ…」「〇〇罪で入っていた」など、苦しい胸の内を打ち明けられることも増えました。

僕の強みの一つとして、恵まれている人達が多い世界も、恵まれていない人達が多い世界も、両方経験があり、恵まれていない人達の気持ちが、他スタッフの多くより解像度が高いことです。決して彼らは、懲役自慢や犯罪自慢をしたくて、僕へ伝えてくるのではなく、本当に後悔しながら、一方で高齢者になるまで状況改善できなかった自身の人生に対して、色々、思い考えることがあり過ぎて、僕へ伝えてきています。とにかく僕は当事者の訴えに否定しない姿勢や態度、言葉で返しています。また、「僕は過去は一切問わないよ。出会ってから現在までの、〇〇さんとのやり取りで判断しています。」と、伝えています。

日本に限った話ではないと思いますが、恵まれていない人達は人生のスタートから不利なスタートを切っていて、間接的に犯罪者にさせられたり、間接的に自殺に追い込まれたりする方はとても多いです。現状の法律では、どうしても最後の何かをしてしまった人などが罪に問われることばかりですが、罪を犯してしまった何割かは、そもそもそういう状況に追い込まれていて、その追い込まれてしまう状況改善が社会全体としてできなければ、常に一定数の犯罪者やホームレスなどは生み出され続けます。そこそこの年数を生きている人間は皆、加害者だと、僕自身は常に思いながら、僕が何とか生活できているのは、その水面下で犠牲になっている人達が居るからだと思いながら生活しています。

・当事者は何も言わずにジッとスタッフを観察している
コロナ対応のかなり初期から存在を認識していた、昭和のサラリーマンの様な髪型の方が、先日、突然、僕らが立ち上げた炊き出しの方で話しかけてきました。仮にUさんとします。いつも傍から眺めていると、不機嫌そうな、どこか怖そうな雰囲気でしたが、話してみたら全く違いました。笑 個人的理由で大阪に移り離脱してしまったスタッフの名前も覚えていて、僕の名前も知っていてビックリしました。笑 どうも過去に大阪へ移ったスタッフとやり取りしたことがあるらしく名前を覚えたようで、僕の名前は当事者同士の会話や名札を付けているので、それで覚えたようです。

彼もコロナ禍になってからの、数年の炊き出し状況をしっかり見届けていましたし、「優しさがなくなってきた」「自分達は不利な立場だから、言いたいことも思うように言えない」など伝えられ、身につまされました。当事者間口コミはとても強力のようですし、ある当事者があるスタッフに何かを投げかけた際に、周りの当事者も何も言わずに、そのスタッフの姿勢や態度をシッカリ見届けています。大量の当事者の目があるので、本当に適当なことはできません。一度、当事者間で不評になってしまったスタッフの挽回は、相当大変だと感じています。とはいえ、普通に接していればその様なことは起きませんし、当事者を肯定し、スタッフ自身が一本筋が通った当事者への姿勢や態度を貫けば問題ないと感じています。

・トラブル情報だけ報告してくる
炊き出し参加を重ねるうちに、いつしか当事者トラブルを別当事者が僕へ報告してくるようになりました。よく当事者がキレた直後に僕に報告してくる当事者がいて、仮にRさんとします。直ぐに報告してくるので、直ぐに動けることが多いです。彼らは、僕の行動原理を理解していて、継続参加スタッフの中で、間に入るスタッフとして僕がベターだとチョイスします。彼らは、決して僕へ「行ってこい」とか、「間に入ってこい」とは言いません。言わなくても、僕がトラブルへ吸い寄せられていくことを理解しています。笑

そして、トラブルを起こしてしまう当事者は、喧嘩慣れしているので引き際を理解しています。僕は普段から当事者とやり取りを続けているので、僕のお目溢しとして、僕が間に入ってきたので、これだけ激しく主張はしたから、そろそろ引くかとしてくれるケースが多いです。ただ、僕の働きかけも、いつまで有効かわかりませんし、常々、丁寧なやり取りは必須だと感じています。

・当事者の声は宝の山
現在の炊き出しで、僕個人が超楽な一日で終わることが多いことや、放っておいても勝手に当事者の声が集まってくるのは、この5年間、地道に続けてきた結果だと思っています。油断は禁物ですが、当事者のことを考え続け、当事者の代弁をし、当事者から支持されている限り、この状態は維持されると思っています。当事者との話の内容に僕はタブーは一切作らないようにしています。当事者の今迄の人生の中で感じたことや思ったことを、僕へ伝えてきていますので、否定は限りなく最小限へ留め、共感できることは大いに共感し、共感できないことで流せることは、「そうなんですねー(棒)」と流しています。

当事者に僕が安心感を持たれれば、更に踏み込んだ声も貰えますし、踏み込んだ質問を返した際に、率直な返答を貰えます。当事者の切実な声は、僕にはとても貴重な情報源で、当事者の代弁や、集まった当事者の声から、スタッフの立場として、「ならば、こうしたら良いのではないか?」と、改善のヒントになっています。僕にとって当事者は皆、僕の先生です。笑 当事者の解像度が高まれば高まるほど、更に当事者と良好な関係を築きやすいですし、一石二鳥どころではありません。笑

ようやく、炊き出し団体と連携団体の、足掛け5年を超えられました。僕は何かの間違いで運良くスタッフとして参加しているだけなので、ある意味、他スタッフより当事者と世界観が極めて近いので、わかり合える部分が多いです。多くの当事者も、どこか影が多めの僕に安心感を持ちやすいのかもしれません。笑 以前にも書いたと思うのですが、この5年間で持病の飲み薬が半減以下になりました。笑 その減った分は当事者効果だと感じていて、それも、当事者に説明しながら、「ありがとう!」と伝えています。笑 次は5年半超えを目指します!

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