見出し画像

炊き出しを続けて感じること その6

以前の文章
炊き出しを続けて感じること
炊き出しを続けて感じること その2
炊き出しを続けて感じること その3
炊き出しを続けて感じること その4
炊き出しを続けて感じること その5

昨年11月より、連携団体からの参加に切り替え、今年5月で半年を超えました。以前の炊き出し団体も含めると、通しで3年半を超えました。5月くらいに半年間をまとめたかったのですが、色々あり遅れました。

・ガチ路上3人組の健康相談
Hさん(50代)、Iさん(60代)、Jさん(70代)の3人組がいて、IさんからJさんの健康状態が悪いので、支援に繋げて欲しいと相談を受けました。結果から先に書くと、Jさんと話し合いを続けたのですが、「体調が回復したので、もう暫く路上で頑張る」と言われ、一旦話が終わりました。しかし、先日、Jさんから「一度体調が崩れると、回復まで時間がかかるようになり、年貢の納め時かと覚悟しているので、近く連絡するかもしれない」と、言われました。
HさんとJさんは同じ場所で寝起きを共にしていて、Iさんは別場所で寝起きをしているようです。この件に関してHさんは、Iさんの想いを汲み取り、静観の姿勢でした。とりあえず、Jさんの考えがわからないとどうにもならないので、炊き出し後に炊き出し公園で話しをしました。その結果が上記のような内容で、本当に年単位で路上生活を続けている方が、どこかの部屋に入ることは容易なことではないのだなと、感じているところです。

・自分の想いを、上手く言葉にできない
コロナ対応初期から交流があるWさんは、カタコト単語しか言えません。ただ、とても人懐っこい方で、コロナ初期から話しかけられ、カタコト単語だったので、最初は外国人なのかな?と、勝手に思っていました。かれこれ、3年近く接しているので、多分、上手く文章の言葉が言えないだけなのだと思います。でも、僕の話していることは理解できているようですし、僕の身体言語も理解してくれています。いつも、Wさんは僕へ何か伝えたいことがあるようで、必死に伝えてきます。殆ど単語の羅列ですが、僕が聞いて文章にして返し、それで良いか確認しながら会話しています。スポーツ観戦が好きなようで、野球、ボクシング、相撲などの結果を伝えてきます。また、次回以降の炊き出しに、来れるか来れないかの報告などです。僕の理解が薄いとWさんが思うと、スポーツ新聞の文字を見せながら説明してくるので、本当に自分の想いが、上手く言葉にできないだけなのだと思います。細かい話ができる訳ではないのですが、多少のやり取りができると、Wさんは自分の待機場所に戻っていきます。幼い頃に身近な方にちゃんと教わったのか、「バイバイ」と、「ごめんなさい」は、しっかり言えます。他スタッフと上手くやり取りできず、時折、叫んでしまうことがあるのですが、こういう一面があることを、他スタッフにも理解してもらえたらと思っています。

・会う度に、感謝を伝えてくるように
こちら(炊き出しを続けて感じること その3)でも書きましたSさんは、いつしか会う度に、「〇〇ちゃん(僕のあだ名)有難う」と伝えてくるようになりました。コロナ当初は、最前列に並ばれることが多かったのですが、最近は時間調整して、配布直前に来られます。いつも思うのですけど、当事者の方は、自分達が食べ物などを一方的に貰っていると思い込んでいるのだと思うのですが、継続参加スタッフも当事者から何か形じゃないものや、見えないものを貰っているのだと思います。どちらかが与え続けたり、貰い続けたりする関係は、一方が無理をしている場合が多いので、いずれ続かなくなると思うのです。Sさんは最前列に並ばれていた頃から、グループのリーダー格だったので、周りの方へ僕らの協力をするように促してくれたり、かなり助かりました。また観察眼が鋭い方で、僕らスタッフの動向を把握されていて、僕が精神的にマイッていた時に話しかけてくれたり、かなり助けられました。だから、このSさんにはかなり僕は心が救われてきました。時折、自身の話もされることがあり、苦労されていることがわかり、個人的にはゆっくりお話してみたいなと思っています。

・突然、来なくなった
かなり前から並ばれていたようなのですが、別の当事者の件で話しかけられ、この1年くらいたまに交流していたBさんが、突然、ある時から来られなくなってしまいました。この方については、他の当事者からも、「Bさん知らない? 他の場でも会わないんだ」と、時折、話を投げかけられます。僕がある時、「炊き出し公園には炊き出し時間になると、川が流れているのですよ。ここら辺に流れているのが見えますか?」と、伝えたことがあり、その後、何回か後に、「川が見えました」と、返答してきて感動しました。笑 話し込めば話し込むほど、感覚がかなり合う方で、こんなに理解してくれる方はなかなかいないと感じていました。以前にも書きましたが、炊き出しに来ていたかたが、突然来なくなるのは、良いルートと悪いルートの2通りくらいしかありません。良いルートは問題などが解決してきて、並ぶ必要性がなくなってきたなどの理由。悪いルートは死んでしまった、病気や怪我で入院してしまった、などの理由です。交流を続けるうちに、Bさんはガチ路上の方であること、事情があって名前はお伝えできないこと、事情があって路上を続けていることなどを教えてくれました。他の方も動向を知らないことからも、後者の可能性が高く、本当に今でも心配しています。到着が早いスタッフは僕くらいなのでここに書き残しておきますが、Bさんはスタッフ到着前に、いつも箒で配布場所付近のゴミを避けて、綺麗にしてくれていました。また、ひょっこり顔を見せてくれること切に願っています。

・罪悪感を抱きながら、炊き出し参加していた
ある時、3人で話をしていた、以前から並ばれている方達に、「もうすぐスタッフの列整理が始まるようだから、自分の位置へ戻ったほうが良いよ」と、話しかけました。その時に1人の方が、「以前、炊き出しルールを無視して、お弁当を2個貰った時があったんだ」と、伝えてきたDさんがいました。Dさんは、「並び始め当初は炊き出しルールが良くわからず、2周にならなかった際、2個貰った時があった」と、自己申告してくるのです。いつの頃の話かよくわからないのでなんとも言えませんが、現在は600人前後が常に並んでいて、少ない時でも400人くらいは並ばれます。なので、その時に僕へ伝えなかったら、スタッフの誰もわからなかったと思います。しかも、もう過ぎてしまったことですし、とても重大なことでもありません。「とりあえず、今はルールが理解できたのでしょうし、これからは協力してくれたら大丈夫ですよ」みたいな返答をしました。炊き出しルールを守らない方は一定数常にいるのですが、炊き出しルール自体がよくわかっていかなったり、お腹が空いたなどの背に腹は代えられない状況から、そうしてしまう方もいると思います。用意した数と同じくらい並ばれる方がいる際は、誰かが2個貰うことで、誰かが1個も貰えない可能性が出てくるので困りますし、多くの方は協力してくれているので、そういう方達の不公平感が増し、次回以降に協力してくれなくなってしまうので困ります。とは言え、自分が当事者の立場だったら、律儀に守り続けられる自信もありません。ずっと、そのことを気にしながら並ばれていたのかと思うと、少し考えてしまいました。ただ、僕に伝えて心が軽くなったのでしょうし、良かったのかもです。笑

次は、今年11月を迎えれば、4年経ちます。現在は当事者から、一定の信用信頼をされている実感が僕にもあり、放っておいても相手の方から、様々な声を伝えてくるので、情報が勝手に集まってくる状態です。ただ、当事者からの信用信頼を失うのは一瞬ですから、話を聞いて、声を代弁し続けていきたいと考えています。当事者に僕の心は救われています。笑

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?