『喫茶 花』とモンスター
今日もいつもの朝が始まる。
夏のはじまりを感じる今の季節の朝は、空気が心地よくて気持ちがいい。
朝活にはもってこいだ。
爽やかな風を感じながら、誰もいない路地をのんびりと歩きながらも店へと急ぐ。
喫茶花の店内の奥まった場所には、隠れるように存在する小部屋がある。
常に鍵をかけてあるのだが、朝のルーティンでこの部屋に入る。
この部屋だけは私以外に立ち入ることはできないし、部屋の存在すら多分誰も気づいていない。
今日はいつもより遅くなってしまった。
あまりに気持ちのいい朝に、うっかり空をボーっと見上げすぎた。
…カチャ
部屋に鍵をかけると同時に、
「おはよーございまーす…」
と眠そうな目をこすりながら1人の女性が、店のドアを押して入ってくる。
昨夜も遅くまでゲームをしていたのだろうか、それとも本を読み耽っていたのだろうか、少しボーっとしていた彼女には気付かれずに済んだようだ。
「波さん、一緒にコーヒー飲もっか」
ちょうど朝のコーヒーを飲み損ねていた私は、目覚ましにもなるだろうと2人分のコーヒーを淹れてカウンターに差し出す。
嬉しそうに飲みながら、すっかり別人のように働くモードに切り替わる波さんはすごいなといつも思う。
こんなに朝が早いのに文句言わず働いてくれるし、細かいとこまで気が利く上に手際のいい仕事ぶりに感心するばかりだ。
これで彼氏がいないというのだからもったいない。
…カランコロン♪
ランチタイムには早い時間に彼女は現れた。
先にコーヒーだけ注文すると、彼女は誰かを待っているようだった。
程なくしてお連れ様がやってきた。
「MINAちゃんお待たせ!」
MINAちゃんと呼ばれた彼女は、素敵な笑顔で友達を手招きした。
屈託のない笑顔が可愛くて、見てると釣られて笑顔になりそうなそんな優しい雰囲気を持っている。
気づけば私も微笑みながらコーヒーを淹れていたようで、波さんから不思議な視線を送られていた。
どうやらMINAさんは『ワールド・ブルー株式会社』に勤めているらしい。
先日面接を受けて採用されたばかりの新入社員だったようで、面接の話やステキな優谷さんという先輩がいたんだ!なんて話題で盛り上がっているようだった。
他に客もいなくて静まり返った店内で、2人の楽しそうな笑い声は自然と耳に入ってきてしまう。
そういえば『ワールド・ブルー株式会社』の蒼広樹社長は、先日ゆにさんと来店してくれて以降すっかり常連の仲間入りとなっていた。
あの時の来店以降、2人の仲を噂している声もよく聞く。こんなところで耳にするくらいだから、社内での噂はもっとすごいのだろうか。
そんなことは全く気にもしていないのか、気付いてもいないのか、蒼社長はゆにさんの先輩秘書さんの目を盗んで会社を抜け出してはここに来て、コーヒーを飲みながら何やら楽しそうに考え事をしている。
今日はいらっしゃらないのかな、なんて考えていると、ふと「路地裏のモンスター」という言葉が耳に入ってきた。
ドキッとして思わず店の奥に視線を送ろうとした瞬間、「面白い夢だよねー!」とMINAさんたちの笑う声。
なんだ夢の話か…
思わず呟きそうになった言葉を、冷めたコーヒーと一緒に飲み干して気持ちを切り替える。
…カランコロン♪
「いらっしゃいませ♪」
波さんの明るい声が響く。
さぁランチタイムだ!
この作品は、蒼広樹さんの以下の企画に乗っかったものになります。
私を沼にはめたので、蒼さんには必ず作品のどこかに出没していただきますw
そして今回のゲストは、
当店従業員の「波」さん
ワールドブルー(株)新入社員の「MINA M.」さん
ワールドブルー(株)の先輩職員「優谷美和」さん
社長と噂の秘書「ゆに」さん
です。
ご参加ありがとうございます♪
どんどん勝手に飛び火していきます、ごめんなさいごめんなさいw
他にも私が火の粉を飛ばしたいと思ってる皆様の記事はここで読めます↓
このマガジンに追加されていないけど、沢山の繋がりがあることが見えてきました!やっぱりnoteってすごいなぁと実感しつつ、関連記事を一生懸命たどっております。どの方の記事も面白くて、noteの沼にはまっておりますw
あぁ…楽しい。
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