![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/143530105/rectangle_large_type_2_06d7b80193defd65381c8f405aef51a6.png?width=800)
ゆにさんとヨレヨレの男性
いつもの目覚ましの音
というか音楽
適当に設定した知らない洋楽のプレイリストを目覚まし音楽に設定している。
馴染の音楽よりよっぽど目が覚める。
眠い目を擦り、私のいつもの朝が始まる。
『喫茶 花』のマスター、小花さんが提供する手作りパンと自挽コーヒーのモーニングセットは、オフィス街との立地とも相まって好評だ。
私はホール業務なので開店時間15分前位に店に来てくれれば良いよとは言われている。
とは言え、モーニングを提供しているので結構早い。
朝起きるのは辛い時もあるけれど、ランチタイムの来店数・回転数の目まぐるしさとは反対にモーニングの時間はゆったりしていて好きだ。
朝の時間は時間に余裕を持った、心にも余裕のある人ばかりが来店されるからだろう。
開店してほどなく、常連のゆにさんが来店された。
食事を提供する度に少し話していく内に、近くのワールド・ブルー株式会社に勤めている方だと知って、やっぱりしっかりした方はしっかりした所に勤められるんだなぁと納得したものだ。
と、珍しく……というか初めて?この時間にお連れ様がいた。
なんだかヨレヨレした(お客様に失礼だけれど)男性と一緒に入って来たゆにさんは、私と目が合うと軽く会釈をしてくれた。
「いらっしゃいませ。おはようございます、2名様ですね。いつもの席にされますか?」
いつもの場所へ案内しようと右腕を広げ席を示す。
するとゆにさんは私に少し待ってほしいと断ってから、男性に向かって話しだした。
「誰かに見られて困るようでしたら、私は先に社へ戻ります」
「あ、戻っちゃうの?寂しくなるから、一緒に飲んで行こうよ」
男性はニコニコと無邪気な様子でゆにさんに話し続ける。
「朝ごはん、食べてないでしょ?さっきお腹がなったと言ってたじゃないか。ここで食べていこう」
ゆにさんは逡巡して、男性と一緒に席へついた。
応酬話法を終え、二人を背にして待機場所へ戻る。
態度には出ていなかっただろうか。
なんだかいつもと違うゆにさんの雰囲気にドキドキする。
朝帰り
という言葉が脳裏をちらつく。
いや、二人とも(男性はヨレヨレしているとはいえ)しっかりとしたスーツだし、なにせゆにさんはいつも通りのバッチリな身だしなみの良さだ。
しっかりとした大人の雰囲気。実はこっそり憧れている。
そしてお連れ様……は、本当に誰なんだろう?
マスターに話そうか迷ったが、マスターはこれから来るお客様の為の準備に忙しそうだ。
そうしているうちにメニューが決まったのか、ゆにさんに呼ばれた。
![](https://assets.st-note.com/img/1717946810632-ZSLZwUgBTI.png?width=800)
「Dセットのレモンマーマレードひとつと、私はAセットのヨーグルトで、トッピングあんこで」
「かしこまりました。コーヒーは食事と一緒にお持ちしてもよろしいですか?」
注文を受けての去り際、男性が「あんこ?」と驚いた声を上げていた。
ゆにさんは慌てたように
「久しぶりに、あんこトッピングが食べたいなと思いまして…」
と弁明していたけれど
私は知っている
彼女のオーダーの8割が“あんこトッピング”だ。
二人の会話の中で、ゆにさんが男性の事を「社長」と呼び掛けたのを聞いてやっと思い出した。
あの時テレビ越しに見たワールド・ブルーの社長だ!
イベラン(※)に徹夜をして勤しんでいた時に、ネット配信のニュースチャンネルで見かけたワールド・ブルー株式会社の社長の顔を思い出す。
・・・いや、今かなりヨレヨレだな。大変だな、社長も。
※イベラン
ソーシャルゲームのランキング型のイベントの場合、ずっとやり続けてスコア(大体累積が多い)を更新していかないとすぐに自分の順位が落ちる。
入手困難なレアな報酬を巡って、徹夜したり、新生児の授乳みたいに定期的にゲームをしたりする“廃人ゲーマー”の行動。
ラン=走るとの発想からだと思われる。
イベント報酬がどうしても欲しくて走っていた。
その日は寝ずに仕事に行って、案の定動きが悪かった。
普段ゲームに理解のあるマスターでも、流石に度が過ぎているとこっぴどく怒られたから覚えている。
にしても…
さっきから二人、時々互いが互いを見ていない時に相手を見ている。
その顔が、視線が
社長の方はなんだか優し気に見える。
が、うーーーん?……ヨレヨレさが邪魔していまいちわからん。
軽薄に狙ってそうなら、いくら社長でも……とは思ったんだけど。
ゆにさんの方は、なんとなく、子供を見る視線にも感じるが……
これが母性本能をくすぐられているというやつだろうか……
いかんいかん。
人間観察に集中しすぎてしまった。
また店長に
「妄想ばかりしてないで人と会いなさい」
と怒られてしまう。
「恋愛はいいものよ」
と昔の思い出を話している時は凄く可憐な乙女みたいになるマスター、小花さん。
思い出話をしている時は凄くかわいいんだけれど、27にもなって彼氏のいない私を心配するのは完全に余計なお世話だ。
私は2次元と生きて死ぬ
一人勝手に決意を新たにしていると
今日二組目の来店を告げるドアベルの音が響いた
※この物語はワールドブルー株式会社で働く人達と、その周辺の人達の物語をみんなが勝手に書いていく物語です。
あなたも参加しませんか?詳しくはコチラ↓
ゆにさんの社長秘書のしなやかさに撃ち抜かれたのが始まりです😁
喫茶店のマスターはこの方🌸
<あとがき>
急に入ってきました。
波です✨
いや、ゆにさんの行きつけの喫茶店の店員になりたくなっちゃって😅
モーニングのメニューも勝手に決めちゃった(笑)
蒼社長が初めて来る店、ということで、ちょうどいい距離感も出せたかなぁと思っております。
全然コメントなどで交流少なかったですからね💦
ここでの自分の設定としては
27歳
独身(恋人?ナニソレ)
ゲーマーオタク
一人暮らし
一応女性(笑)
で書いております。
店のモーニングの時間に出勤できるの、独身の方が書きやすいし………
飲食店でのパートの経験が活きるとは思わなかった😆
よろしくお願いします✨
サポートして頂いたら、とんでもなく舞い上がります。 「頑張ってるね」の気持ちを素直に嬉しく受け取る体験をしたのはnoteが初めてかもしれません。 あなたのサポートを糧に、他の誰かに「頑張ってるね✨」を届けたい✨