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【craftsman】蛭谷和紙|川原製作所

富山県立山町の川原製作所に和紙をつくっている職人がいる

川原隆邦さんである
蛭谷和紙(びるだんわし)というこの地域の国の伝統工芸に指定されている和紙の製造を行う職人である

川原さんはもともと富山の出身ではない
というのもわたしの高校のサッカー部の先輩で千葉県の高校であった
2歳上の先輩であったが、こう言っては失礼になるかもしれないが仲良くしてもらった
合同練習以外でも朝晩や夏休みなどみんながいないときにも練習に付き合ってもらった優しい先輩である

当時からあまり大勢でつるむのを好まなかった川原さんは高校卒業後色々と紆余曲折しながら、富山県の蛭谷地区の和紙職人の元で修行をするようになった
当時蛭谷和紙の職人は一人しかおらず、そこで修行をしていたのも川原さんだけであった
川原さんは唯一の師匠から蛭谷和紙の作り方を教わった

しかし、数年後師匠は他界してしまい、伝統工芸である蛭谷和紙を受け継ぐ人がいなくなってしまった

余所者である自分が受け継ぐことを悩んだそうだが、やる人がいないのであれば自分がやるしかないと川原さんは蛭谷和紙の唯一の後継者として走りはじめた

川原さんは伝統をただ受け継ぐのではなく、伝統の作り方や個性は残しながらも現代ならではの新たな挑戦を次々にしていった

富山はガラスなど工芸の街である
優れた技術を持つ工場が数多く残っている

蛭谷和紙をガラスの間に挟み込むことを地元のメーカーと開発をした
和紙柄のガラスはあったがプリントしたものを表面に貼るものであった
しかし、本物の和紙をガラスに挟み込むのはかなり大変な技術であったがプリントでは味わえない和紙の美しさが表現されている

この和紙入りガラスは富山駅などの公共施設でも展示されている

その他にも隈研吾氏が設計された『TOYAMAキラリ』の壁面に採用されている

近年では虎ノ門ヒルズでは縦3.5m×横10.0mの巨大な和紙を展示している

海外でもイタリアやフランスで個展を開催するなど高い評価を受けている

地元の子どもたちへの和紙作りの体験教室も行っており地域貢献も担っている
和紙は楮という植物を植えることから全て自然の材料でできている
こういうことを子どもたちが知ることは価値のあることだろう

最近は元サッカー日本代表の中田英寿さんがBMWの”にほんもの”を紹介する企画で取り上げられた

数年前になるが富山でお会いした時、自信に満ちた川原さんの生き様に圧倒された
川原さんは全てオーダーメイドで作っている
だから決まった商品はない
今までディズニーのグッズや著名なデザイナーと仕事をしてきたが、実際に富山に足を運んだクライアントととしか仕事をしないと決めているそうだ
実際に和紙がどのように作られて、どのような品質であるかを見て和紙の価値を理解してもらわないと作品をつくることはない

高校の時は友達感覚で付き合っていた先輩が、大きな夢を持ちながら挑戦している姿に自分も頑張らなければと思った

昔から群れることを嫌い、一匹狼を貫いていた先輩ならではの、周りに流されることなく自分のやりたいことを探しもがく姿は変わっていないように思う

『いつか一緒に仕事をしよう!』

そう言ってもらえたことを今も覚えている
必ず約束を果たせるように自分も精進していきたい

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