ポルトガル語圏で言ってはいけないこと
日本では、トム・クルーズの娘スリちゃんが生まれてまもなく、大勢の人が「名前がスリだなんて!」と大騒ぎしたなんてこともありましたが、多国語間には多くの残念な音の一致と意味の不一致が付き物です。
そして日本語には、単語のみならず文まるごとがポルトガル語スピーカーが聞いたら、「えっ!?」と思ってしまうものもあります。
その中でも悲惨なケースをいくつかご紹介します。
① 「ここ」
「ここ」、「そこ」、「あそこ」の「ここ」は、ポルトガル語スピーカーの耳には「う〇ち」に聞こえてしまいます。
そうです。「大便」のことではありますが、表現としては、「大便」でも「大きい方」でもなく、「う〇ち」というのが一番しっくりいく言葉です。
ある時カーボベルデでの現場作業中、
「もうちょっと後ろ!」
とか言われて数歩下がったところで、つい
「ここ?」
と言ってしまったところ、
傍らにいたカーボベルデ人スタッフがすごい勢いで
ピョンっとのけぞった、なんてことがありました。
説明したところ、気まずそうに
「犬のでも落ちていたのかと思っちゃった」
と言っていましたが。>笑
だからといって、日本語で会話していて「ここ」と
言わないようにするのは至難の業なわけでして…。
旅先の街を日本人同士のグループで歩いている時など、
少し後ろから来ている人に大声で、
「このあいだ言ってた店って、ここ?!」
などと言うことって、ありがちですよね。
そんなときは、可能であれば、
「このあいだ言ってたのってこの店?!」
といった表現に置き換えるようにしましょう。
…
「んなこと言われても、とっさにはねぇ…」
なんですけどね…。
② 「ピンとくる」、「ピンと張る」など
要は「ピンと」がマズい言葉です。「ピントを合わせる」なら、まだイントネーション的にそのようには聞こえないかもしれません。
意味は男性器を指す言葉の中で一番ポピュラーなもので、日本語では「お」を付けて言うことの多い、「ん」で終わるあの言葉に相当します。
私は日本語で、「さっき聞いていてピンと来たんですが」などということが結構あって、ついついポルトガル語圏にいても日本人と話しているときに言ってしまうことがあって、その度に、
「あ、又やっちゃった…!」
と、反省することになります…。
③ 「いい気分だ」
これは、そもそも普段の会話でこんなこという機会はほとんどないでしょうし、イントネーションもちょっと違うので、単なるネタに過ぎませんが、
「いい気分だ」という日本語は、ポルトガル語スピーカーには「あちゃーっ、なんというお尻だ!」という感嘆文に聞こえる可能性があります。
よって、言う機会はないと思いますが、西洋には、それこそ「あちゃーっ、なんというお尻だ!」と言いたくなるようなおばちゃんが大勢いますから、こちらも念のためお気をつけ下さい。>笑
④ 「飯を食う」
これは最強で、私はいささか参ってしまいました。
日本語の「飯を食う」は、ポルトガル語スピーカーの耳には「私は肛門を いじりました」と聞こえます。「聞こえるかも」なんてレベルではありません。思い切りそう聞こえます。しかも相当上手なポルトガル語で言っているように聞こえます。
「でも、実際言うときは『飯、食う?』
とかだから大丈夫なんじゃないの?」
と思うでしょう。
ところがどっこい、定冠詞の「o」が抜けた分、
下手なポルトガル語に聞こえはしますが、
「私、お尻のア〇、いじったアルヨ」
くらいには聞こえます。
街中でこんなことを大声で言うと、
「変な黄色人種が気持ち悪いことを言っている」
と思われ、確実に白い目で見られます。
。。。
ちなみに私がどうして「参ってしまった」かというと、仕事で
「おじさんの集団」と歩いていることが多かったからです。
なんたって「おじさんの集団」ですから、街を連れ立って歩いていると、
「おーい、そろそろ飯食うか」
だの、
「誰々くーん、君も飯食う?」
だの、
極めつけは、レストランの前で
「おーい、ここで飯食う?!」
。。。
当たり前のように、というか、当たり前のことなので、
毎日このセリフが口を付いて出てしまうんです、
おじさん達は…。
おじさん達に意味を教えなかったのかって?
教えましたとも!
でも、そもそもポルトガル語スピーカーがいないところで
教えなければならないので、タイミングが遅れることが多いし、
初めて町でそれをやられた流れの混みあったレストランで
教えるわけにはいかないし…、
教えたら教えたで、面白がってわざと言う人もいるしで…。
なかなか難しいんですよ、これが…。
ちなみにこの「飯を食う」という文で一番問題となる単語が
「食う」なので、
ビールの一口目のあとや、口惜しさなどを表現するときに、
「ク~~ッ!」
と言うのがクセになっているような方も
くれぐれもお気をつけ下さいね!
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