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物食日記

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美味しいもの、美しいものが好き。 散歩とスナップに夢中。
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2021年6月の記事一覧

出口雄大さん@OASIS

出口雄大さん@OASIS

尊敬する水彩画家、出口雄大さん。人生の岐路に立つたびに、アーティストとしての揺るぎない信念と創作と探求の活動、言動に惹かれ、なぜかとても会いたくなる。しばらく顔を合わせていなくても、交わす言葉は少なくともよく共感し合える気がするし、ぼくも伝えたい単語を選び、編み構成して口に出せる。懐が深く、心優しい出口さんに現況や不安を率直に話していると、こわばった気持ちが緩んで楽になる想いがする。

まったく新

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小田原のnico cafe

小田原のnico cafe

小田原北条氏に仕えていた武士だったかもしれない。祖先の由来を恩師にそう推察され、今も市内のマウンテンサイドにぼくの姓と同じ名の地域が広く残る。雑誌『湘南スタイル』制作に関わっていたときは、その久野地域の大地主を取材したこともあった。そんな縁から小田原の街には親しみを覚えてきた。秦野の学校に通うのに遠回りになる小田原駅経由のルートを選んだのは、機会があれば学校帰りに街を散策してみたいと考えたから。

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モンベル流の笠

モンベル流の笠

かつて西表島をシーカヤックで一周したとき持参した北米メーカーのゴアテックス帽子が役に立たず、たまたま現地で入手した、宮古島製の海人(ウミンチュ/漁師)用クバ笠が頭部を熱射から護り、体温上昇を抑えてくれました。高温多湿な亜熱帯性海洋気候での要に応じて島の植物を編み組みして涼しいクバ笠を生み出した叡智に感服したものです。

このクバ笠に似た形状のユニークな帽子をモンベルのアウトレット通販にて妻が見つけ

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浦賀の仕事

浦賀の仕事

来週土曜日から葉山上山口の石井造園で修行させてもらうことになり、浦賀farmaseaでの作業は昨日が最終日に。とてもお世話になったマネージャー武藤さんに挨拶。

最後はこの果樹園近くのオルガン工房に茂る台湾、中国南部原産の樹ヤドリフカノキをさっぱりと剪定。日陰でジトっとしていた場に陽が差し、風が通るようになり、雰囲気が一変。依頼主も喜んでいるようで、その笑顔に気持ちが深く安らいだ。

これからは高

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aveのワイン

aveのワイン

横須賀のスーパー「エイヴイ」は酒の安さも魅了。最近出会ったフルボディ、辛口で美味しい赤ワインがスペイン『ビロリア グラン・レセルバ 』。

amazonや楽天では1,000〜2,000円以上なのに、エイヴイではなんと550円。日常的に呑めるワインはこれくらいのプライスが我が家の価値観では現実かなぁ。スペインの豊かな食卓を想い浮かべながら、今日も乾杯。エイヴイに感謝。 #leicaphoto

OBのパフェ

OBのパフェ

藤沢駅南口前の商業ビル「OPA」に用事があり、サブな目的を果たしたあと同ビル内の「珈琲屋OB」で憩う。わきまえた店名、テーブルの呼び鈴、ウッディな内装。すべてが好ましい。

自家焙煎コーヒーゼリーの下地にたっぷりな生クリーム、フルーツが重なり、トップはソフトアイスクリームがどーんと鎮座。この『チョコレートパフェ』を味わいたいというのがじつは藤沢立ち寄りの主目的で、1ヵ月前の初訪問時にパフェの「顔」

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佳い感じ

佳い感じ

週末が近づくと、秦野の学校からの帰路、逗子駅から海岸ルートで葉山一色に還る。

逗子湾に流れ出る田越川沿い、「Beach Muffin」の外観を眺めたいからだ。

インチャリこと、茅ヶ崎の大工、村田ヒロシさんがトタンなど古材を活かして仕上げたエクステリア。そのほど佳くリラックスした佇まいに、緩やかに整えられたグリーンが調和していっそう眼に心地よい雰囲気に深化。このなんとなく惹かれる雰囲気と余地は独

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一輪挿し

一輪挿し

花を生けるのは難しいし、自分にとって不可侵な愉しみだと思っていた。その観念をゆるりと解いてくれたのが「かなテクカレッジ西部」で庭園エクステリア施工の技法をともに学ぶS先輩。彼女は毎週、教室内の花器に庭の草花をさらりと自主的に挿している。

野にあるままのごとく、ごく自然とおさまる景色に場の空気が和む。今は庭の奥にあったという黒椿。

益子の陶工、粕谷完二さんの一輪挿しから立つ姿は彼女の風雅な日常を

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紫陽花杏仁

紫陽花杏仁

佃島の家族と鎌倉で墓参り後、葉山木古庭「葉山鳥ぎん本店」で昼食。

入口そばで睡蓮鉢に浮かぶ紫陽花の風情に魅せられ、清涼な心地になる。この花手水、真似しよう。

焼き鳥や釜飯を堪能してから甘味で締めくくる。この日は時季限定のスイーツ『紫陽花杏仁』を選択。

爽快な喉ごしとほど佳い甘さ、ボリューム。粋な美味しさにまた、深く満たされた。紫陽花の姿と色彩に開眼しそうな気配の56歳、梅雨。 #sigmap

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糸で描く物語

糸で描く物語

鎌倉で墓参りしたのち半島を南下。横須賀美術館で『糸で描く物語 刺繍と、絵と、ファッションと。』を観に行く。

スロヴァキアの民俗衣装、イヌイットの壁掛け、京都の緻密な刺繍などひとつひとつにじっくり見入り、技法と美に驚き、糸の表現に魅せられる素晴らしい企画展示。服飾関係のつくり手は必見の内容だと思う。

とりわけ個人的に惹かれたのは、ドローイングやさまざまな素材のコラージュ、刺繍を組み合わせた絵本を

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PBでなくっちゃ

PBでなくっちゃ

+ネジをうまく回せずネジ頭をなめちゃう(潰しちゃう)人は少なくないのでは。とても不器用なぼくもそのひとりでした。スイスの精密ドライバーPBに出会うまでは。

自分以上に無骨な手を持つ人が多いと想像するヨーロッパには生来のスキルを補う優れた道具が伝統的に創出されてきたよう。用、要に応えるべく生まれざるを得ない環境。そこに揺るぎない美意識が加わると極めて精密で美しい道具がかたち造られていくのでしょう。

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剪定の悦び

剪定の悦び

植木屋を目指して通う秦野のかなテクカレッジ西部。先日にさまざまな樹の剪定実習は修了。最後に校門近くのシラカシを任された。

頭から裾まで自然な樹形をイメージしながら植木鋏や剪定鋏で葉や枝を取り、整えていく。シラカシはこんもりと葉が繁る樹だから風がよく通るようかなり大胆に透いていく。

密になっていた葉を祓っていくと、サワサワと風にそよぐ葉の音が軽やかで心地よく変容していく。そのさまを樹が喜んでいる

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成田のぴーなっつ最中

成田のぴーなっつ最中

心身くたびれて帰宅して真っ先に口にしたいのが和洋の甘味。家にはおやつがたいていストックされていて即効的に活力を取り戻せる体制に。

ここ最近のおやつは成田の銘菓『ぴーなっつ最中』。10年間、銀座近くに通勤していたころは三越地下「菓遊庵」で定期的に求めていた大好きな菓子。

佐原の旅路、東関東道・酒々井PAで再会し、歓喜して購入。この菓子の素晴らしさは1個だけで深く満たされるバランス感。嫌味のないパ

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Rを砥ぐ

Rを砥ぐ

茅ヶ崎の親方から剪定鋏の砥ぎ方を教わった際、カーブ刃に合う砥石は片面が蒲鉾状、煉瓦色の物だと勧められた。先日、金沢八景の古めかしい金物店に寄り、その砥石が欲しいと尋ねると「そんなもんは無い。職人が自分で丸く削って作るものだ」と即答され、黙って店を後にした。

昔はそうだったのかもしれないが、鋸刃を砥がず、まるまるそっくり替えてしまう現在にはそんな手間を省く砥石が流通している。家に帰ってヨドバシカメ

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