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出口雄大さん@OASIS

尊敬する水彩画家、出口雄大さん。人生の岐路に立つたびに、アーティストとしての揺るぎない信念と創作と探求の活動、言動に惹かれ、なぜかとても会いたくなる。しばらく顔を合わせていなくても、交わす言葉は少なくともよく共感し合える気がするし、ぼくも伝えたい単語を選び、編み構成して口に出せる。懐が深く、心優しい出口さんに現況や不安を率直に話していると、こわばった気持ちが緩んで楽になる想いがする。

まったく新たな職に就き、方向を大きく転換するタイミングで入手した古書も出口雄大さんのイラストをふんだんに用いた『愛蔵版 イギリス四季暦』(東京書籍)。美しい装丁にときめき、読み開く前にふと出口さんが実際に創作するシーンを眼にしたくなった。

とぼんやり考えて出口さんのtweetを眺めたら葉山森戸海岸「OASIS」のペインティングに着手したと知り、連絡を取り合い現場をスナップさせてもらった。出口さんはこの海の家で美術部部長を務め、美しい内外装を長く手がけてきた。今年は過去最大の面積で壁となるヴィンテージ・トタンの塗りを委ねられたそう。

茶色やピンク、黄色、空色などをベースにした彩り。その落ち着いたマットな色味には北米や英国の陰翳ある、乾いた映像を観ているようで、日本離れした魅力の色彩美に心奪われた。砂浜に表れたペインティングに見入っていると、異国を旅して端正な看板や建物を眼にする感覚にトリップしていく。じつは出口さん、ペンキは北米べンジャミン・ムーア社の製品『Aura』シリーズを選んでいた。日本製品とは色のバリエーションが全然違うのだという。独自の顔料を調合したカラーにはオフホワイト系だけでも140色コレクションされている。ネーミングから色の雰囲気を想像できるのも特徴で、例えば空色は『Dream I can fly』。異次元な洒落っぷりなのだ。

そんな『Aura』をさらにブレンドして塗る出口さんの悠然としたプロフェッショナルな仕事ぶりがまた痺れる格好良さで、見惚れてしまった。本当は限られた時間しか無いのに、手を休めて丁寧に説明してくれる出口さん。

感謝しつつ場を去り、やはり出口さんがエクステリアのペインティングを、同じ美術部のkikuさんが文字を担当した「陸の家オアシス」をスナップ。今日は葉山「mandilaut」のさっちゃんこと丸山さんが営む2階の「OASIS SHOP」に寄ってみようかな。また、意義深い佳き一日になったなぁ。
#leicaphoto

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