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小劇場のための感染症対策サインを無料配布します

このコロナ禍の中で公演活動を再開した劇場や施設、舞台を上演する劇団のために、感染症対策サイン=張り紙を作りました。すべて無料でダウンロードしてご使用いただけます。

演劇で食べていくことはしばらくできないかも、と思っていた

僕はグラフィックデザイナーです。演劇やダンスなど、特に小劇場と呼ばれる分野のチラシ・ポスターをデザインする機会が多く、演劇の世界では「宣伝美術」と呼ばれる仕事をしています。厳密に言うと演劇専門のデザイナーではないんですが(音楽、食品、福祉、教育、ファッションなど関わっているジャンルはさまざまです)、実際の仕事の半分以上が演劇関係なので、これはもう演劇の世界に片足どころか両足つっこんでると言っていいでしょう。

新型コロナウイルスが日本でも感染者が広がり始め、自分の関わる演劇の現場にも影響があらわれたのは2020年2月頃でした。まず、僕がデザインを担当していた3月の某演劇祭が中止。チラシやポスターを印刷・納品までしたのにも関わらず、日の目を浴びることなく、お蔵入りとなってしまいました。

それを皮切りに、自分の関わる舞台公演、イベント、演劇祭が軒並み延期・中止が相次ぎ、抱えていた演劇デザイン案件はほぼ全滅の状態になりました。
そんな頃、6月下旬のことでした。知り合いの制作さんから連絡がありました。

「小劇場に特化したサインを作ってもらえませんか?」

声をかけてくれたのは、フリーで演劇制作をしている德永のぞみさんでした。DULL-COLORED POP『アンチフィクション』という演劇公演の制作を担当することになったとのこと。
6月といえば、緊急事態宣言が明けてまだ間もなく、劇場での演劇公演が再開され始める声がほんのすこし耳にするようになった頃です。「公演します!」と聞くと「え、ほんとに?今?」と思ってしまうような時期でした。
そんなタイミングでの公演を担当することになった徳永さんからのヘルプの声。その時の文面がこちら。

7月に東京で公演するDULL-COLORED POPの『アンチフィクション』という公演についているのですが、目下コロナ対策でてんやわんやしております。

ご相談したいのが、マスクしてねとかの貼り紙のデザインをお願いすることって可能でしょうか…?お客様に、お願い事ばかりでせっかく観劇に来てもらっても、大変窮屈な状態になってしまうな、とずっと気になっていまして。もちろん自分で作成することも考えていたのですが、見やすい、POPな貼り紙にしたい…と思い、その点において信頼している良太さんに、ご相談したいと思いご連絡いたしました。

あと、各所が出しているフリー素材とかも探してみたのですが、いまいち「演劇」にハマらない要素があるなぁ…と使いどころを悩んでいました。
(中略)
しかも、初日が7月16日なので全然時間もない状態でして…
ひとまず、内容やスケジュールをまずご相談させて頂けますと幸いです。
宜しくお願いいたします。

やるやる!やりまーす🙋‍♂️

と、即答した私。
演劇公演がなくなった今、グラフィックデザインが演劇にできることって何があるんだろうと悶々としていた自分が、これなら役に立てるかもしれない。「せっかくお客様に観劇に来てもらっても、お願いごとばかりで窮屈な状態になってしまう」というお客様への配慮と、徳永さんのあたたかな視点に共感をおぼえ、二つ返事で快諾しました。っていうかやらせてください!と言いました。

作戦1:「どんな張り紙がほしいですか?」アンケート

徳永さん自身が感じたように、既存のサインでは「演劇にハマらない」と感じている制作さんは多いはず。そこで、まず最初にやったことは、徳永さんの身近な制作さんたちに「どんな張り紙が欲しいですか?」というアンケートをとることでした。

そこで集まったものは、
・マスク着用
・手洗い・消毒
といった基本的なものはもちろん、
・この席にはお座りいただけませんのマーク
・施設の構造上、扉を閉めていても建物内は換気できるシステムになっているので、常に換気中であることがわかるようなマーク

など、演劇の現場や劇場施設ならではの意見でした。

作戦2:まずは『アンチフィクション』のための張り紙を作ってみる

何はともあれ、まずはDULL-COLORED POP『アンチフィクション』の公演のための張り紙を作るところからやってみよう、ということになりました。​

会場となったシアター風姿花伝はビルの2階にあり、ほとんどのお客様は階段を使って2階に上がるということだったので、その導線に合わせてA4サイズの張り紙を壁に貼るというスタイルになりました。ちなみに、大阪在住の僕は東京の会場に行くことができないので、プリント作業、プリントするサイズ、貼る位置などは、徳永さんにすべてお任せしました。

体調は万全ですか

徳永さんが、シアター風姿花伝に入ってすぐのところに特に大きく掲げたのが「体調は万全ですか?」の張り紙でした。
劇場に来たお客様に「この公演では感染症対策を入念に行っていること」、そして安全に公演を遂行するためには「お客様のご協力が必要であること」を伝えるため、まず初めに目につくところに設置した、とのことでした。

作戦3:オーダーメイドで作ってみる

無事にDULL-COLORED POP『アンチフィクション』の公演を終えた徳永さんと現場でのフィードバックを元に手直しする中で、「この張り紙いいですね!使わせてもらってもいいですか?」とまわりの制作さんから言われるようになりました。もちろんどうぞどうぞ、なんですが、「こんな張り紙って作れませんか?」という相談もいただくようになりました。

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これはお客様向けではなく、稽古場で使う張り紙です。感染症対策で「外履きの靴専用の靴箱」「内履きの靴専用の靴箱」を分ける稽古場が多いため、関係者が一目見ればわかる張り紙が欲しい、というものでした。並べて張り出されることを想定して、ぱっと見で違う張り紙とわかるよう、それぞれの背景の色を変えています。

チケット

こんな張り紙も作りました。劇場スタッフが極力お客様との接触を避けるため、チケットはお客様に自分でもぎってもらうスタイルの会場もあるそうで、A2サイズでプリントしてポスターのように入場口に掲示したところ、とてもわかりやすく好評だったようです。
【2020/10/12 追記】チケットをお客様自身がもぎるかどうかは公演ごとにルールがあるので、受付スタッフの方の指示があるまではもぎらないようにしてください。事前にもぎってしまうとチケットが無効になってしまう場合もありますのでご注意を!

こんな感じで、今後も「こんな張り紙が欲しい!」という現場の声に合わせて新しいサインを作ったり、ブラッシュアップしていきたいと思っています。(個別のご対応となるので、有料か無料かはご相談に応じます)

ダウンロードしたい方へ

前置きが長くなりました。2020年10月現在までに僕が徳永さんと一緒に作りためたサインを無料で配布します。必ず以下の利用規約をご一読の上、ダウンロードしてください。

利用規約

ここにある素材は、利用規約内で、公演会場に掲示するサイン、チラシ・パンフレットなどの紙媒体、WEBサイト、SNS、映像など、私用・商用問わず無料で使えます。下記禁止事項を守ってご利用ください。
と、一応書いていますが、めっちゃゆるいです。ばんばん使ってもらえたら嬉しいです。

禁止事項
・素材そのもの、または改変したものを、販売することを禁止します(せっかく無料で配布しているものなので)。
・素材をロゴに使うことは禁止ですが、商標を取らないようなものであればOKです。

よくある質問

素材を使用するとお金がかかりますか?
無料です。

なぜ無料なのですか?
このコロナ禍で舞台公演を再開・継続しようとしている施設や演劇制作者の方の手助けになれば、という思いからです。張り紙ひとつ作るのも大変ですよねー

クレジットの表記は必要ですか?
不要です。

使用する際は事前の申し込みや報告が必要ですか?
不要です。(が、noteのコメント欄やSNSなどで教えてもらえるとめっちゃ喜びます)

素材を改変して使ってもいいですか?
文言の変更、色の変更、イラストのアレンジなど、使いやすいように自由に改変していただいてOKです。また、改変したものの再配布もOKです。例えば自分流にアレンジしたものを知り合いが使えるように譲るなど、みんなでどんどん使いやすくできるといいですよね(ただし、改変したもので発生したトラブルなどの責任は山口は負いません。自己責任でね!)

販売用のパンフレットやグッズに使ってもいいですか?
OKです。

ロゴに使って商標を取りたい。
商標を取らない場合はOKです。商標に登録すると僕を含め、誰も使えなくなってしまうのでNGです。

こんなサイン(アイコン)を作ってほしいんですが
ご要望に合わせて、オーダーメイドで作ることも可能です。その場合は有料になることもありますが、無料でご対応できることもあります(!)。お気軽にお問い合わせください。

無料なのが申し訳ない、課金したい
↑これ、マジでいろんな方に言われるんですが、無料でいいです…でもどうしてもという方がいらっしゃいましたら、このnoteに投げ銭(サポート)していただくのは大歓迎です!

演劇以外で使用してもいいですか?【2020/10/15 追記】
もちろんOKです。ライブハウス、落語会、物販ブースで使いたい、などの要望をすでにお聞きしていますが、どんな場所で使っていただいても構いません。

文言を自分で変更したいんですが、フォントは何を使っていますか?【2020/10/15 追記】
「UD新ゴ DB」(モリサワ)です。同じモリサワの「新ゴ」でもほぼ同じ見た目です。そんな有料フォント持ってねーよという方は、Windows標準装備の「メイリオ ボールド」を使うと結構近い見た目になると思います!

こんなサインがダウンロードできます

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基本的な感染症対策のもの、会場・施設によって必要になるかもしれないもの、野外演劇など屋外での使用を前提としたものなど、多岐にわたるサインをご用意しました。

データ形式
・ai(Adobe Illustrator CS5形式)
・pdf
・jpg
jpgデータは、テキストなし(アイコンのみ)のものも入れていますので、Wordなどに貼り付けてお好みの文言を入れることも可能です。

ダウンロードする[ver.01|ZIP形式|43MB]

おわりに

今回公開したデータは、ver.01とあるとおり、まだ今後も新しいものを追加したり、修正したり、ブラッシュアップしていく予定です。
「もっとこんなサインがあるといいのでは?」「こうするともっと使いやすくなる」など、ご意見がありましたら、このnote記事のコメント欄や、山口のTwitter @slow_camp などでおしらせください。

状況は刻一刻と変わります。最初にこのサインを作った頃(2020年7月)と、現在(2020年10月)でも状況はまったく異なります。できるだけ現場の声を聞きながら、現場の手助けとなれば幸いです。

あと、この活動を応援するよという方がいらっしゃいましたら、このnote記事に投げ銭(サポート)していただけると励みになります。よろしくお願いします!

アートディレクション・デザイン:山口良太(slowcamp)
監修:德永のぞみ
イラスト:ヤマムラショウコ
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見慣れないものごとをわかりやすく、身近に。そしてたのしい気分になること。大阪でデザインを仕事にしています。「音楽と演劇の年賀状展」というイベントや、谷町六丁目の「往来」というお店をしています。ごはんをよくたべる。