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『ひばりの朝』を語る −『フェミニズムの現在』ヤマシタトモコインタビューを受けて

『ひばりの朝』を語る −『フェミニズムの現在』ヤマシタトモコインタビューを受けて

青土社『現代思想』の増刊号『フェミニズムの現在』に収録されていたヤマシタトモコインタビュー「私たちを締め出さない物語」を読み、主に現在連載中の『違国日記』についてのインタビューではあったものの、同じく連載中『さんかく窓の外側は夜』や過去作についても触れられており、なかでも『ひばりの朝』への言及があったことが個人的に嬉しく、また数年越しに謎が解けたような思いもあったので、一度この作品について書いてみ

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消滅、誕生、幾度目かに貴方の瞳を過ぎるイデア −『マチネの終わりに』

消滅、誕生、幾度目かに貴方の瞳を過ぎるイデア −『マチネの終わりに』

その、密度ギチギチのニューヨークチーズケーキを久しぶりに味わうことなしには、これは書けないんじゃないかと思ってスタバにやってきて、久しぶりに味わってみると確かにギチギチではあるものの記憶の中ではもっとギチギチだったような気がして、味が強いからその分ギチギチだと思い込んでいたのか、よくわからなかったし相変わらず美味しかったものの、フォークを入れてみると案外このケーキはぽろぽろと崩れてしまうものなのだ

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違国日記4巻

違国日記4巻

その人がいつ何に対して傷つくかというのはその人が決めることであって誰にもそれを咎める権利というのはない。けれどその人がまさに傷ついたという瞬間には立ち会いながらも気づくことはおそらくできない。その人から傷ついたと指摘されるまで、きっとわたしは気づかない。し、その人が傷ついた瞬間、と、その人がわたしに傷ついたと伝えるとき、には必ず時間差があり、やっぱりわたしはその瞬間に立ち会いながらも当事者になれな

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