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車:5速MTのルノー・トゥインゴⅢは、令和のお前に家畜の安寧を許さず、愛と理解と忠誠を強いるサディスティック・ラブ・マシーンだ②

 ドーモ、素浪汰狩人だ。先代マイカーの軽自動車から、2代目マイカーの小型乗用車に乗り換えたという話だ。長くなりそうなので分割した。


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☞前回の記事☜

【収録内容】
序章:初代マイカー、239,000kmで没す
第1章:買った、壊れ(て)た、治した。

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第2章:そして4ヶ月の月日が経った

 CVTの軽自動車から5速MTの小型車に乗り換え、はや4ヶ月。運転し始めて3ヶ月余りの現在。流石に慣れたよ。今でもたまにエンストはするけどな!

2023年7月23日・12時39分。佐賀・金立SAにて。購入直後の走行距離。

 生まれたての小鹿のように覚束ない足取りで走らせていたあの車が……。

2023年12月2日・22時29分。自宅にて。メーター表示が透けて見えて面白い。

 今ではこの通りだ。7月23日から12月2日、4ヶ月と10日、133日経過して走行距離は9,181kmから13,878km、差引で4,697km走った計算だ。実際にはガソリン漏れの修理で寝かせた期間(8月7日から30日の24日間)や、休日で車に乗らなかった時とかもあるため、実際の車の稼働日数は100日ほど。

 4,697km÷100日×30日≒1ヶ月につき1,400km。

 うちは田舎で、職場まで片道13kmほど走るので、日々の通勤だけでも毎月572km走っているが……いや、残りの800km/月どこに消えた?🤔

 計算間違ってる? 間違ってないよな? 居住地から鹿児島市内に出ると片道で40km近くあるから、休日の遠出が積もり積もって効いてるのかも?

 ともかく。

 実質的に車が稼働した3ヶ月はほぼ毎日、専ら日常の足、会社と自宅との行き帰りにMT車を死に物狂いで運転し続けた結果……一人前を自称するには早すぎるが、取り敢えずMT車を迷惑をかけず走らせられる程度にはなれた。

 実態はほぼAT限定とはいえ、それまで13年弱の絶え間ない運転キャリアを持つこの私がだぞ? ロングボディ10人乗りの、通常サイズより少し大きなハイエースで路地のクランクをぶつけず出入りできるぐらい、少しは運転に自信のある私が、蓋を開ければ初心運転者わかばマークに逆戻りだ。言うことを聞かない自分の手足と扱いの難しいMT操作に四苦八苦、悪戦苦闘し続ける体たらく。

 だが意外とこれが悪くない。9700・9900・Privと3台のBlackberryスマホを乗り継いで来た(機種変更の度に操作性の劣悪さにブチ切れつつ)、生粋のキーボード・スマホ・キチガイの私を甘く見るなよ。機械と自分を合わせる不快感、明らかな異物が自分の体の一部になっていく快感、たまんねえぜ!

 何歳になっても、挑戦と発見の試行錯誤は楽しいものだ。の但し書きは要するが。割れ鍋には綴じ蓋……偏屈な車には偏屈な飼い主だ。

 世間の皆様、運転ヘタクソでごめんなさい! 迷惑かけてすいません!

 職業ドライバーと路上教習者にまた少しだけ優しくなった筆者であった。


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第3章:何の因果かフランス車(※要出典)

 いい加減、私の買った車について説明しよう。端的に言えばヨーロッパのベースグレードに近いMTの小型車だが、もう少し詳しく説明すべきか。

 欧州規格でいうAセグメントに該当するフランス車だ。正確に言うなればスペイン工場バリャドリードで製造したエンジンを、スロヴェニア工場ノヴォ・メストで組み立てた車体に搭載して、フランスルノーのバッジを張った小型車である。付け加えるなら骨格のプラットフォームはフランスルノードイツダイムラーが協同した設計で、ドイツが主導するシャシーやドライブトレーンに、フランス主導のエンジンやボディを合せて一台の車とした、人呼んで「プロジェクト・エジソン」、両社の得意分野を役割分担して完成させ、分かち合うプラットフォームが採用された車両だ。

 ルノー・トゥインゴⅢ、2017製のフェイズ1、ゼンの5速MT車だが!

型式指定番号と類型区分番号、迫真の空欄。車名はルノーのみ。勿論、無加工写真だ。

 ちなみにトゥインゴには、6速AT(EDC・デュアルクラッチ)に0.9Lターボエンジンを組み合わせたモデルと、5速MTに1L自然吸気エンジンを合わせた2種のモデルが存在する。時期次第では、5速MTに0.9Lターボを組み合わせたモデルもあったが、現行製品からはカタログ落ちし中古車の弾数も少ない。

 どの道、日本市場向けルノー・ジャポン現行製品も2023年で製造中止なんだけどナ(小声)

 私が買ったゼン5MTは型式ABA-AHH4D、平成29/2017年9月登録てことは2017年1月発売モデルかな、と予想。右上の赤枠で囲った型式指定番号欄が無記載だと何なのか、それはチューリッヒの説明が解り易い(丸投げ)。

(前略)自動車が公道を走るには保安基準に適合しているかの審査を陸運局で1台1台受ける必要があると前述しました。

(略)「型式指定番号」。こちらは自動車メーカーが新車を生産、または販売する際にあらかじめ国土交通大臣に申請して、ブレーキ試験等の基準適合性審査と品質管理(均一性)の審査を受け、指定を受けた車は陸運局への車両持ちこみをせずに、ナンバー登録ができるということです。
「型式指定番号」と「類別区分番号」に記載があれば国土交通省による型式指定を受けているということです。(後略)

車検証の「型式」と「型式指定番号」とは『型式指定番号との違いとは?』より引用
――チューリッヒ保険会社

 つまり、数を売りたいメーカーが陸運局の審査を簡略化するため、もっと噛み砕いて言えば、楽して数を捌くため、陸運局の基準に適合させて均一な品質と認められた同じ型の車両を、書類上一律で登録してしまう仕組みだ。

 裏を返せば、型式指定番号を登録していないこの車、型式ABA-AHH4Dのトゥインゴの場合、一台ごとに陸運局に持ち込んで登録したということだ。

 要点をもっと噛み砕いて言うと、「車を売る側すら大した数が売れるとは思ってない」ということだ。そういや私も車検証が出来た時、中古車屋からそういう説明を聞かされたような気がする。興味ないので聞き流してたが。

 それぐらいMT仕様のトゥインゴⅢは、全日本的にレアな車ってことだ。

2501……それいつか、再開する時の合言葉にしましょう(草薙素子)

 それにつけてもフランス車(フランスで造っているとは言っていない)。これ一種のロジック、ある種の叙述トリックでしょ。設計さえフランスならフランス車たり得るのか。ああフランスよ。

 カルロス・ゴーン……これがお前の望んだ世界なのか?

(※註:ルノーとダイムラーの協業は、2010年日産ルノー連合の会長であるレバノン人ことカルロス・ゴーン主導でなされたとされ、両社の業務提携の一環として生まれた「プロジェクト・エジソン」は、ダイムラーが保有するスマートのフォーツーおよびフォーフォーと、ルノーではトゥインゴという両社が展開する既存車種の次期製品での新プラットフォームに採用された)

 ところで、日産ルノーとダイムラー/メルセデスの現在はいかに……?

 ……駄目みたいですね(諦観)


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第4章:激突! ステラRN1 vs. トゥインゴⅢ!

 ここらで、私の記事ではお馴染みの数値比較を行ってみたい。比較対象は先代のステラ。2006年製・660cc NAエンジン(EN07)を積む軽自動車と、2017年製・1L NAエンジン(H4D SCe 70)のコンパクトカーという、およそこの世で最低レベルの、恐らく誰も見たくない不毛な泥仕合である(笑)

仕様諸元比較:スバル・ステラRN1(ST)vs. ルノー・トゥインゴⅢ(TW)

【Round1:寸法】
ST……全長3,395×全幅1,475×全高1,645mm、軸距2,360mm、重量870kg
TW……全長3,620×全幅1,650×全高1,545mm、軸距2,490mm、重量960kg

【Round2:駆動方式とトランスミッション】
ST……駆動方式 FF、トランスミッション CVT(無段変速機)
TW……駆動方式 RR、トランスミッション 5速MT(手動変速機)

【Round3:エンジン仕様】
ST……直列4気筒DOHC、16バルブ、排気量658cc、内径56.0×工程66.8mm
TW……直列3気筒DOHC、12バルブ、排気量998cc、内径72.2×行程81.3mm

【Round4:エンジン出力とトルク】
ST……最高出力 54ps/6,400rpm、最大トルク 6.4kg・m/4,400rpm
TW……最高出力 71ps/6,000rpm、最大トルク 9.3kg・m/2,850rpm

【Round5:サスペンション】
ST……4輪・独立懸架(前後輪ストラット)
TW……前輪・独立懸架(ストラット)、後輪・リジッド(ド・ディオン)

【Round6:タイヤと最小回転半径】
ST……前タイヤ155/65 R14、後タイヤ155/65 R14、最小回転半径4.7m
TW……前タイヤ165/65 R15、後タイヤ185/60 R15、最小回転半径4.3m

スバル ステラ(STELLA)カスタムR(2006年6月)カタログ・スペック情報
ルノー トゥインゴ(TWINGO)ゼン(2017年1月)カタログ・スペック情報
よりそれぞれ引用 ――グーネット

 ステラRN1はスバルらしい軽4発にCVTと、4輪独立懸架。トゥインゴⅢは1Lの3発に5速MTと後輪リジッドという普通な構成だが、2代目のスマートとプラットフォームを共有するRR駆動で、後輪に負担が集中するため、後輪のタイヤ径が前輪より大きい(一応は前輪にも185/50 R16タイヤが履ける)。

 こうして見ると、両者とも割と個性的が出てるな!

 ステラRN1は率直に言って力不足。私も、軽自動車は今まで、主に代車でミラ・イース(OEMのプレオ+)とか、ライフ・ディーバとかワゴンRだとか色々と乗って、長距離とか山道とか色々走った感想は、自然吸気エンジンにCVTはキツイ印象。個人的には、古典的なステップ4速ATの方が軽自動車には合ってると思うけど。ワゴンRの3速で時速60kmまで引っ張って走るのとか楽しいし(笑) 変速ショックが大きいのとか嫌ってるんでしょうね。

 軽にはターボ、スバルの場合はSC・スーパーチャージャーが付いてないと出力が足りなくてしんどいと思う。無くても踏めばスピードは出るし高速も走れるが、純粋に疲れる。高速を7~8時間も転がせば疲労困憊である……。

 トゥインゴⅢは軽自動車より排気量が増えた分、出力トルク両方が順当に伸びており、重量増加よりエンジン性能強化の方が一応は勝っている。但しこれは、あくまでNA・自然吸気エンジン同士で戦った場合の話で、実際には伝家の宝刀・ターボ軽自動車が土俵に乗ると、普通に負けるんだなこれが!

 これを、軽3発にターボを付ければ強くて高効率と考えるか、無理のない自然吸気エンジンで軽ターボと同じ力を出す方が負担が少ないと捉えるかは人によるだろう。但し、トゥインゴにも0.9LターボのTCe 90エンジンという強化版がある以上、微妙な性能のNAエンジンは廉価版の印象が否めない。

 力自慢で鳴らした車ではない、ということだけは確かだ。

 強いて言えば、回転数2,850rpmという、比較的に低回転から最大トルクを発揮する点と、最小回転半径4.3mという軽自動車に勝る小回りオバケの点が興味深い。あと駆動方式がRR、空冷ビートルVW・タイプ1農道ポルシェスバル・サンバーと一緒である。

シリンダーを49度傾けて搭載された、水冷・直列3気筒・自然吸気のH4D SCe 70エンジン。
マフラー下に潜れば、アルミのエンジンボディ。手前の錆びた鉄棒はドライブシャフトかな?

 極めつけは、こいつ燃料がプレミアムガソリン(つまりハイオク)指定。それもレギュラーも使えるがハイオクを入れればもっと性能が上がるよ!の次善策ではなく、ハイオクでないと仕様の環境性能を引き出せん、ちゅーかキャニスター(排ガス浄化装置)を痛めるから絶対にレギュラーガソリンは使うな、と厳重注意されている徹底ぶりである。国内の同類の実用小型車は大抵レギュラー仕様なので、この一点においては明確に劣っているだろう。

 実際3ヶ月ちょい乗った感想としては……第一印象ほど悪くない? 燃費はもう少し悪いと思ったが、今のとこ月の燃料代も10,000~15,000円ぐらいで済んでるし。ステラの実燃費が15km/L前後だったが、トゥインゴの実燃費は夏場のクーラー全開で13km/L、クーラーを点けずに長距離巡行も多用すると18km/Lぐらいなので、軽自動車と比べても想像以上に燃料が減らないのだ。

 但し力は弱い。これは掛け値なしに弱い。数字は嘘をつかない(超重要)

 あと地味だが大きな点として、私が重視していた軽自動車を選ばなかった要素が、衝突安全性だ。これだけは、トゥインゴが凡百の軽自動車を(無論ターボ軽自動車も含めてだ)確実に勝っていると言い切れる点である。

 私の思想では、一定確率で人はエラーを起こすもの(=事故は確率論的に必ず起きるもの)と考えているので、選択可能なものの中で、生残性に優る車をできる限り選びたかったという感じ。そうなると軽自動車はやはりネ。

 ここら辺は、人によって持論もあるだろうが、取り敢えず論より証拠。

 先代マイカーの軽自動車、スバル・ステラRN1の衝突試験からご覧あれ。

 前方は最低限、死なない程度ってとこ。フロントが潰れるのは仕方ない。エンジンブロックが運転席に飛び出して人間を圧死させさえしなければ。

 実は前回も貼ったが、オフセット衝突試験。鉄板がガッツリいってる。

 軽自動車では毎度おなじみ、側面衝突の弱さ。頭をもう少し保護したい。

 というワケで、今度はルノー・トゥインゴⅢの衝突試験をご覧ください。

 前面のオフセット衝突は、ステラとは違い「粉砕」と呼びたくなるようなギョッする壊れ方だ。これは、バンパーやボンネットにプラスチック部品が多用されていることと、良くも悪くもボンネット内にエンジンなどのように衝撃を受け止める重量物がないことが理由ではないかと思う。少なくとも、エンジンに潰されて死ぬことは万が一にも有り得ないので、その点は安心。

 まあ、最近の車は設計が優秀なので、そもそも前面衝突の場合エンジンが下に落ちることで、運転席に重量物が飛び出すのを避ける構造ゆえ、現代の車に乗っている限りは、過剰に心配する必要のないインシデントではある。

 余り詳しくないので検討違いかもしれんが、側面衝突時の比較的に剛性を保った壊れ方と比べて、前面衝突ではガッツリ壊れているため、壊すことで衝突のエネルギーを分散させて逃がしているのかと予想。側面エアバッグはイイネ。頭を窓にぶつけずに済むし、横のむち打ちになる心配も低まる。

 個人的には、後方からの玉突き衝突試験が無いのが残念だが、比較できる情報があるだけマシではある。皆さんも、一度自分の車の衝突安全テストを見てみると、面白い発見があるかも知れない。これから車を買おうと考える方は、シートの広さや乗り降りのし易さや荷物の積載性だけでなく、車室に乗せる人間の安全性という点も、チェックポイントに是非加えてほしい。

 やや蛇足気味になったので、今回はこの辺で区切らせていただこう。

 もうちょっとだけ続くんじゃ!


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☞次回の記事☜

 もし良ければ、次回の記事も見てくれよな!

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【車:5MTのルノー・トゥインゴⅢは、令和のお前に家畜の安寧を許さず、愛と理解と忠誠を強いるサディスティック・ラブ・マシーンだ② おわり】

From: 素浪汰狩人 slaughtercult
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