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スローターハウス

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こんな世の中だからバイオレンス! slaughtercult のお送りする小さな物語。 悪趣味なのが、わたしです。
運営しているクリエイター

#ガンアクション

謝肉祭のモンド -Mondo Carnevale-

 瓦礫の街。野営地を見下ろす丘の上。爆撃で崩れかけた教会の残骸。 「――サン・サーンスよ…

殺家道 -Write, Load, Kill, Repeat-

 パキャ。間の抜けた銃声の直後、四五口径の銃身がショートリコイルし、背高の照準器の向こう…

はぐれ猟犬と裸の山猫

 廃ホテルの一室に漂う、塵芥と黴、悪徳と暴力、血と小便と精液の臭い。 「力の伴わぬ正義感…

H・B・T Mark X -人間戦車10号-

 ミサイル警報の不気味なサイレンが響いた時、少年は空を仰いだ。逃げる間もなく西の空から飛…

殺し屋に真偽無し #逆噴射プラクティス

 昼下がりの喫茶店、壁際の片隅のボックス席。谷島はこの場で最も下座の席に浅く腰掛け、同席…

泡沫の熱き鋼の子守歌 #パルプアドベントカレンダー2021

【1】 そして、夜明けがやって来る。  朝靄の漂う街並み、無人の道路端、噛み合ったチェー…

心に侠気、乙女に拳銃

 薄暗い劇場。がらんどうの観客席の中央で、人影が足を組み頬杖を突いてスクリーンを眺めていた。ダーティーハリーの最終盤、ハリー・キャラハン刑事が片手で構える巨大なS&Wモデル29拳銃が、ワルサーP38拳銃を掴んだ悪党・スコルピオを撃ち抜き背後の池に突き落とす。ハリーが警察バッジを池に投げ捨てたところでクレジットが流れ、終幕を迎えて明かりが点いた。 「.44マグナムか……」  ジーパンにジャケット姿で短髪の少女・鍵谷菫が、イーストウッドじみたニヒルな笑顔で肩を竦め、ジャケット

辺獄いいとこ戦争日和・プロト版

拙作ながら、当方もこちらに投稿させていただきました。 投稿版はこちらになりますが、そのネ…

辺獄いいとこ戦争日和 #風景画杯

先ず、永久の白夜があった。土埃の舞う、荒涼たる無辺の原野。死者たちは母なる大地から出でて…

狩猟公式の果実 ~改男児ジュウゾウ~

焼け爛れた街角で、二人の少年が空を見上げていた。ボロを着た傷だらけの身体で、両目だけがギ…

D(omestic) - EVIL Contractor【第3回逆噴射小説大賞・素振り投稿】

20XX年、富久山市。薄汚れた下町、建物の過密な狭隘地に、スレート張りの町工場があった。鰻の…

TEA FOR TWO

【前回:FUWA vs. YAMADA the Killer】 長谷川を先頭に、『ソーコム』隊の退避した積荷の狭間…

MATE. FEED. KILL. REPEAT.

【前回:EVIL BELIEVERS】 コンクリート塀に沿って立つ不破が、遠隔信管のリモコンを押した。…

わらしべ長者のサバイバリズム

「いいな、それ」 俺は25口径のベビー・ブローニング拳銃を右手に握り、大男に歩み寄る。 仁王立ちする大男の手には、大砲みたいなリボルバーが銀色に輝いていた。 「ンいかにもォ! 俺の銃は577口径、ブランド・プライゼリボルバー!」 長髪髭もじゃのバイカーギャングめいた大男が、誇らしげに説明する。 「フニャチン野郎、貴様の銃は何だ……ヒヒヒ、それは本当に銃か?」 カチリ。俺は極小拳銃の安全装置を親指で弾き、苦笑いと共に歩み寄る。 大男は左手で拳を握り、ゴリラめいて自分の胸を打っ