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スローターハウス

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こんな世の中だからバイオレンス! slaughtercult のお送りする小さな物語。 悪趣味なのが、わたしです。
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記事一覧

魔女と黒雪姫と冬の燕 #パルプアドベントカレンダー2023

【序】 黒い地吹雪が舞い上がり、崩れかけた都市の輪郭を垣間見せる。吹く風は化学物質の異臭…

謝肉祭のモンド -Mondo Carnevale-

 瓦礫の街。野営地を見下ろす丘の上。爆撃で崩れかけた教会の残骸。 「――サン・サーンスよ…

殺家道 -Write, Load, Kill, Repeat-

 パキャ。間の抜けた銃声の直後、四五口径の銃身がショートリコイルし、背高の照準器の向こう…

魔法少女分遣隊「ラヂカル・バニー」vsウナギ星人vsイタチ怪人 #AKBDC2023 #ppslgr

 このお話は、以下の記事を協賛しています。  蒸し暑い八月の午後。アーケード通りの対面通…

ジェド・マロース 終末の郵便屋 #パルプアドベントカレンダー2022

 皆殺し戦争が終わり、永い冬の時代が始まった。英雄になどなれなかった一兵士の俺は、故郷に…

はぐれ猟犬と裸の山猫

 廃ホテルの一室に漂う、塵芥と黴、悪徳と暴力、血と小便と精液の臭い。 「力の伴わぬ正義感…

H・B・T Mark X -人間戦車10号-

 ミサイル警報の不気味なサイレンが響いた時、少年は空を仰いだ。逃げる間もなく西の空から飛来したミサイル、その飽和攻撃で、日本は死んだ。  ――十年後。日本連邦民主共和国、首都・中京都の辺境、西部市の酒場。 「ライウィスキーを」 「ライスウィスキーしかねえよ」  黒いロングコートで顔の半ばまで覆った大男が、長い白髪と黒衣の狭間で獣のように輝く赤眼を窄め、低い声で唸る。 「幾らだ」 「一杯千円」  大男は黒衣を翻し、カウンターに背を向けた。 「待てよ、五百円だ!」

殺し屋に真偽無し #逆噴射プラクティス

 昼下がりの喫茶店、壁際の片隅のボックス席。谷島はこの場で最も下座の席に浅く腰掛け、同席…

パロマは「殻」の中

⚠︎警告:ホラー描写、およびブラック労働描写が含まれます。苦手な人は読まないでください⚠…

泡沫の熱き鋼の子守歌 #パルプアドベントカレンダー2021

【1】 そして、夜明けがやって来る。  朝靄の漂う街並み、無人の道路端、噛み合ったチェー…

パニシュ・ユア・ヴァニシュ

 問題。重量2g余りの僅かな金属片で人が殺せるか。答えは恐らくイエス。全長15mmのリムド薬莢…

心に侠気、乙女に拳銃

 薄暗い劇場。がらんどうの観客席の中央で、人影が足を組み頬杖を突いてスクリーンを眺めてい…

辺獄いいとこ戦争日和・プロト版

拙作ながら、当方もこちらに投稿させていただきました。 投稿版はこちらになりますが、そのネ…

辺獄いいとこ戦争日和 #風景画杯

先ず、永久の白夜があった。土埃の舞う、荒涼たる無辺の原野。死者たちは母なる大地から出でて、吹き荒ぶ空っ風の中で立ち尽くし、途方に暮れる。 荒野の只中には、コロシアムを思わせる円形の巨大な、余りにも巨大な壁が天を衝き聳え立っていた。一見すると手頃な競技場(スタジアム)のようで近づけば手頃な山のように大きい、縮尺と距離間の狂う重厚長大な構造物。 壁に閉ざされたその内側は、微睡むような霧が揺蕩うすり鉢状の過密都市。 僕たちはかつて、あの世で死んだ。 ゆえにこの世で何度も死ん