自分で道を作っていくことが、日本には足りてない

小室直樹著『日本人のための憲法原論』を読了しました。
全日本人必読書にしてもいいくらい、示唆に富み、そして今の日本人が自分の頭で考えなければいけないことを突き付けられます。
まだ読んでいない方はぜひ。

さて、本題に入りましょう。
上記『日本人のための憲法原論』を読んで、考えたことをつらつらと書いてみます。

現代の日本において、自分自身が日本を作っていくんだ、と考えている人間がどのくらいいるのでしょうか。

(私自身、偉そうなことを言えた立場ではないですが)今の日本はどんな状態なのかを冷静に分析・把握し、過去の歴史と失敗から学び、未来に向けた施策を一つ一つ着実に実行していく人が、ほとんどいないのではないかと感じられます。

それもそのはずで、日本では幼いころから自分で自分たちの組織を運営していく、という経験をしないですよね。
学校では、先生の言いなり。先生が絶対。
スポーツでは、監督が絶対。
自分たちで、自分たちの状況を分析し、何が必要か、どんな行動をとればいいか、自分たちはどんな集団で、どんな人間がいるのか、を考える機会がほとんどありません。
指示を聞いて、着実にこなす。それがいいことであり、指示以外の行動をしてはいけない、と洗脳されてしまっている。

こんな状況では、自分が日本人であり、日本という国を作っていくんだ、という意識と気概が生まれないのは、想像に難くない。
学校で先生の指示がないと動けないように、自分たちが暮らす社会においても、誰かが何とかしてくれる、その誰かの指示を待つ、そんな状況なのです。
そして、自分に不利益をこうむれば、誰かのせい。他責です。

この背後には何があるか。
その一つに、教育のサービス過剰があると思います。

要するに、大人が子どもの課題を横取りしてしまっている、ということです。
例えば、子ども同士のトラブルが起きた際に、大人がトラブルを解決してしまう。
「○○ちゃんが悪い。謝りなさい。」よくある光景ですよね。
でも、これが続くとどうなるか。
子どもは、トラブルは大人が解決するものだ、と考えるようになる。自分が起こしたトラブルも、大人が解決してくれる、と。
これが、今の日本の教育の現実だと思います。

でも、本当の教育とはこういうことではない。
大人になってから、自分が起こしたトラブルを解決してくれる大人なんていない。
自分たちが起こしたトラブルは、暴力手段に頼らず対話を通して解決していくこと、お互いが納得するところを目指すことを教えることこそが本当の教育だと思います。そして、必要な厳しさだとも思います。

もちろん誤解してほしくないのは、すべてを子どもに放り投げる、ということではない、ということです。子どもだけでは、解決できない問題や悪質ないじめなどもある。
それはしっかり大人が気づいて、対処しなければならない。
大人が対処すべきこととそうでないこと、その感度を鍛えていくことから日本の教育は変わっていくと思います。

よく観察し、放っておく。
これが子育てにおいて、意外に重要なんじゃないでしょうか。

子どもたちは、案外力強く生きていくものです。

自分で、自分の道を作っていく。社会を自分たちで切り開いていく。
私も、子どもたちと一緒にそんな存在でありたいな、と強く思います。



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