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<6月と空>遥か彼方にいるのに近くに感じるのはなぜ

今日の空は目を見張るくらい複層的だった。

雲の上にまたちがう雲が重なって、その上にまた別の雲が存在している。そしてそれぞれが思うがままに日の光を浴びて、そして好きなように移動していく。

「空ってこんなに高かったのか。」

決して手が届くことのない存在。

なぜだかわからないけれど、それを感じれば感じるほど、自分のすぐそばにその存在を感じることがある。

いくつもの国境を越えた先にある場所。スクリーンの中の実在しない世界。知らない誰かのあたまの中。

物理的な距離 と 気持ちの距離

とてもあまのじゃくだけど、もしかしたらこの2つは反比例しているものなのかもしれない。

触れられない、手の届かない存在だと知っているからこそ、それに触れたい思いが一段と強くなって、いつのまにかそれを近くに感じる。

空は罪な存在だとよく思う。

だって、たとえあなたに触れられたところで、あなたは私のことなんておかまいなしだってこと、知っているから。

・・・でも、もし空が私に触れてこようとしたら、私はいったいどうするだろう。


そんなことを考えているうちに、今日も日が暮れる。


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