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TechCrunch Disruptの目玉イベント「Startup Battlefield 200」優勝者発表

<Startup Battlefield とは?>
TechCrunch Disrupt イベント開催中に行われるStartup Battlefieldは、15年以上の歴史を持つ米国新興企業の夢のステージとなっています。膨大な応募企業数の中から200のスタートアップがイベント会場でピッチをする権限を与えられ、最終日のファイナルでは、Battlefieldにたどり着いた20社の中から6社のファイナリストが最終ピッチを行います。

Startup Battlefieldに参加したスタートアップは、VCとテックリーダーの複数のグループの前でライブデモを行い、10万ドルとDisruptカップを獲得するチャンスをかけて戦っていきます。

<今年のファイナリスト>
過去の参加社同様、今年も多くのインダストリーから沢山のスタートアップが挑戦をしましたが、長時間の審議の後、以下の6社のファイナリストが選出されました。

  1. Parallel Health:微生物叢科学、ゲノミクス、機械学習を活用した効果的なターゲットソリューションを提供する、次世代の皮膚健康企業。

  2. Magnestar:宇宙と地球間の通信環境を改善するためのソフトウェアとハードウェアを開発。

  3. Electrified Thermal Solutions:新しい電気加熱および蓄熱技術によって産業の炭素排出を削減するためのソリューションを開発。

  4. BioticsAI:胎児の形成異常の誤診を防ぐために超音波装置にコネクトするAIベースのプラットフォームを構築。

  5. Allie Systems:重工業と製造業に焦点を当てたB2BのAIベースのテクノロジー企業。

  6. Agri-Trak:農場労働者を管理し、生産性や収穫データを追跡するソフトウェアプラットフォームを開発。

<今年の審査員>

2023年Startup Battlefield 200の審判の方々 出典:TechCrunch

Startup Battlefieldのもう一つの見どころは、スタートアップがピッチを行った後に始まる審査員からの質疑応答タイムです。今年のStartup Battlefield ファイナルの審査員は合計で6人、主にベンチャー企業からのプロフェッショナルが多く参加しました。

  1. Mamoon Hamid:ベンチャーキャピタルファームのKleiner Perkinsのマネージングメンバー兼ジェネラルパートナーを務める。

  2. Mar Hershenson:Pear VCの共同創業者兼マネージングパートナー。2021年にはForbesのMidas Listで29位にランクイン。

  3. Charles Hudson:ベンチャーキャピタルファームであるPrecursor Venturesの創設者兼マネージングパートナー。

  4. Marissa Mayer:2012年から2017年までYahooのCEO(最高経営責任者)として務める。

  5. Matthew Panzarino:10年以上にわたりTechCrunchの編集長を務める。以前は、The Next Webでニュースエディターおよびマネージングエディターを務める。

  6. Dana Settle:Greycroftの共同設立者およびパートナーであり、過去にはLehman Brothersでアナリストを務めた経験。

<今年の優勝者> 

2023年Startup Battlefield 優勝者 出典:TechCrunch

Startup Battlefield では、ファイナルステージでピッチが行われた後、優勝社と準優勝社が選ばれます。今年の優勝社は、AIと医療テクノロジーを掛け合わせた分野からBioticsAI、準優勝社は、画期的なエネルギー生成を紹介したElectrified Thermal Solutionsでしたが、今回は優勝社BioticsAIにフォーカスをして紹介をしていきたいと思います。

カリフォルニア州のオークランドにオフィスを構えるBioticsAIは、2020年に設立され、2021年に初期ステージを対象とするベンチャー企業からの投資を受けている、従業員6人のスタートアップです。CEOであるRobhy Bustami氏は、カリフォルニア大学アーバイン校でコンピューターサイエンスを学んだ後、IBMで約6年間エンジニアとして勤務をした後、医療業界に従事する中東移民一家からきたことを活かし、医療テック事業を立ち上げました。

BioticsAIは、胎児の形成異常の誤診を防ぐために超音波装置にコネクトするAIベースのプラットフォームを構築。胎児の形成異常を高い精度で識別し、スクリーニングの品質と完全性を検証し、すべての情報を自動的にレポートとして生成することを目的に開発されました。開発には世界各地のエキスパートが参画しており、組織としてはBlue CrossやAmazon、Parelman School of Medicineなどが研究を支援しました。また、このプラットフォームを利用することで、医療施設側はレポート作成を約8分短縮することができると言われています。

Biotics AIが使用するツール 出典:TechCrunch

<優勝社ピッチに対する審査員の反応>

ここで気になるのは、審査員からの質問です。まず初めに、2012年から2017年までYahooのCEOを勤めていたMarissa Mayer氏からは、正確な診断を行うためのデータセット使用法についての質問が出されました。これに対し、BioticsAIのCEOであるRobhy Bustami氏は、高精度の分析を行うために、構造に関するデータセットを通常データと非常データの2グループに分別し、アルゴリズムを構築しているため、新しいデータを貯めていくことがでいると話しました。またデータセットについては、エジプト各地の大学をメインに連携しており、最近ではアメリカ国内の組織からもデータセットを集めていると話しています。

ここからは、さらにAIテックらしい質問が多く出されました。ニューヨークに拠点を置くベンチャー企業の立ち上げに関わったDana Settle氏は、BioticsAIのつくるプラットフォームに対し、医療側からの反発はないのかという質問が投げました。これに対し、BioticsAIは診断をするツールではなく、診断を助けるためのツール、いわゆるコーパイロットつーうであるということを強調し、本来エラーが多い分野の診断を正確にするものと答えています。

後半では、同じくベンチャー企業のバックグラウンドを持つMamoon Hamid氏からの規制に関する質問に対し、過去一年半の間FDA(510K)認証手続きを進めており、現在ちょうどFDAクリニカルデータ収集を終了したところであると報告。フィリップスやGEなどの大手企業が同じセクターで製品開発をする市場の中で、どのようにサバイバルするのかといったPear VCのMar Hershenson氏からの質問に対しては、同じセクターの中でも専門性が細かく分かれており、それぞれの専門分野で研究・開発を行う必要があるため、他社とかぶることはないと述べました。

2023年Startup Battlefield 200にてプレゼンをする優勝者BioticsAI 出典:TechCrunch

<優勝社のその後>
2023年のStartup Battlefield後、3ヶ所のアクセラレータから追加の投資を受けており、今は第二トリメスターの異常スクリーニングに焦点を当てていますが、将来的には産婦人科、泌尿器科、新生児科などの隣接分野に拡大する可能性があります。TechCrunchの発信しているメディアによると、BioticsAIは生殖健康およびそれ以外の領域におけるAI診断プラットフォームになり得ると言われています。

今後もStartup Battlefield参加企業や準優勝社の紹介をするので、フォローをお忘れなく!


著者名:ホールドストック絵里花
役職:ビジネスコンサルタント
所属組織:スカイライト・アメリカ(Skylight America Inc.)
略歴:米国で修士を取得後、現地日系企業とAWSでの就労を経て、学生時代にリサーチャーとしてインターンを行っていたSkylight Americaに参画。米国企業と日本企業での過去の勤務経験を活かし、バイリンガルなコンサルタントとして活動。​

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