見出し画像

見えない真実に気づかされる〜映画「怪物はささやく〜A Monster Calls」

泣いて娘たちに笑われる

5年生の娘が、学校でイギリスの児童文学「A Monster Calls(怪物はささやく)」の勉強してるから、映画版を見てみたいとの要望があったので、早速、家族揃って映画版「A Monster Calls(怪物はささやく)」を見てみた。

児童文学、子ども向け映画などと侮れない。トイストーリーもベイマックスも泣いてしまう私だけど、この映画でも泣いてしまって、子どもたちは私の涙に大爆笑。「泣かないで」と笑いながらも、慰められてしまった。

12歳の主人公コナーと真夜中12:07に現れる巨大な木のモンスターのストーリー。コナーは、学校ではいじめに会い、シングルマザーの母親は病気で床にふせている。痛いほどに、「孤独」と「不安」に包まれている。モンスターは、コナーの脅威なのか仲間なのか?怖いホラー映画だと思っていたら全然違った。人間の深層心理に迫るファンタジーだった。

見えている事実だけが真実か?事実を疑う心とは

「いじめっ子はどうして誰かをいじめるのか?」「人間はどうしてキングコングを殺そうとしたのか?」「おばあちゃんは、どうして親子を引き裂くのか?」善悪を、決めてみようとした時、人を傷つける「いじめっ子」、人間を襲うかもしれない「キングコング」、幸せな生活を乱した「おばあちゃん」が悪と言えるかも知れない。この時、立ち止まって、「真実が他にあるかもしれない」と、見えない部分を想像することができるだろうか。

娘たちは、映画に出てくるいじめっ子に対して、「いじめるのはダメだけど、いじめているコにも、何か辛いことがあって助けが必要なのかもしれないし、これまでの二人の関係の中でなにかがあったかもしれないから、悪いコと決めつけられない」と話していた。私としては、娘たちが、事実をいろんな角度から見ようとしている姿勢に、感動してしまった。いろんなニュースがあふれている昨今。彼女たちは、決めつけで、事実を判断するようにはならないだろうと思った。「隠れている事実はないか?」と見えている事実を疑ってみて、想像力を働かせて、自分で見て、調べて、感じたことを信じるようになるだろう。

誰でもモンスター的な存在を欲してる

娘たちは、「この映画が大好き」だと言っている。怖い存在であるモンスターだけれど、結局、お母さんを失いたくない不安な時、いじめられて辛い時、孤独で寂しい時、「モンスターがいつもそばに一緒にいてくれた」。そんな所が好きなのだという。

そして、モンスターは、彼なりのやり口で、前に進めない時に背を押して勇気をくれたり、見えていない真実に気づかせてくれたり、自分の中の本当の真実を引き出してくれる存在でもある。そんなモンスターのような存在が誰にでも必要なのかもしれない。

ちなみに、小説「A Monster Calls(怪物はささやく)」は、児童文学のカーネギー賞、ケイト・グリーナウェイ賞を受賞している。いつか私も原作を読んでみようと思う。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?