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真実

「どうしたの?今日なんか元気ない?体調悪い?眠いの?」

正気で居ようと努力した。

最愛だと想っていたのは私だけ。
全て嘘だった。

愛情が憎しみに変わって行った。

でも真実を確認するまで分からない。

「ねぇ。」

「奥さんいるの?」

心臓がバクバクした。

私の問いかけに空気が変わった。

彼は、どう答えるのかな、また嘘をつくのだろうか。


「嘘をついていた訳じゃないんだ、嫌われたくなくて。隠しててごめん。でも、すかいの事愛してる。」

嫌うより先に呆れるよね。

「もう信じられないんだけど。私が友達に聞かなかったら、ずっと言わなかったつもり?」


「ねえ。私達って不倫なの?」

気持ち推し殺そうとした。
でも無理だった。
次々と彼に対する疑問が言葉に出てくる。


…。


不倫ってさ…
なぜ私が不倫なの?
なぜ不倫女になるの?
彼は私だけの彼じゃないの?


「ずっと疑問だった。」

ただ裏切られて捨てられたような
哀しかった。

都合の良い女。
所詮、一番にはなれない。

涙が止まらなかった。
息もしたくなかった。

いつから、こんなに彼を愛していたのだろう…。


「勘違いしないで。離婚してるよ。」

温かくて不器用な手つきで私の頭を優しく撫でる。

涙で何も見えなかった。

現実もそうだったのかもしれない。

私をしっかり抱きしめた。

彼の匂い、心臓の音、唇、指、身体…
全部、愛してた。

愛してる。


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