束縛
あの日から毎日指輪を眺める私。
元奥さんと同居していても彼が一番愛しているのは私。
彼は私に夢中。
そう思うと毎日が幸せで楽しくて頑張れた。
仕事上、勤務中は指輪を付けれないと言っていた彼だったが私に会う時は必ず付けて来てくれる。
幸せの絶頂だった。
のに、また水を差す。
「俺、苗字変更しないと。」
は?
急な言い出しに
また何を言い出すのかと言わんばかりの私は
「どういう事?」と問う。
そう言えば、追跡した彼の住居地の表札を思い出した。
「今、元嫁の苗字のままだから引越しする前に変えないといけないんだよ。」
面倒くさ。
嫉妬だと思う。
会ったことの無い人に嫉妬してしまった。
「そうなんだね、どうして元奥さんの苗字なの?」
怒りを押さえ込んだ。
「俺、養子だったから。もう離婚して3年経つし子供たちも事情を理解出来る歳になったから自分の苗字に戻すよ。待っててね。」
元嫁の次は子供か…。
大切なものが沢山あるんだね。
なんか急に不安になった。
「うん。待ってるけど裏切らないでね。」
別にどう捉えられても良かった。
私は既に傷ついていたから。
これ以上傷つきたくなかった。
幸せになりたかった。
「裏切るわけないよ。俺とすかいは最愛だから。」
「絶対一緒になるよ。だから、すかいも気持ち変わらないでね。」
…。
嘘つき。裏切り者。大嫌い。
私達は毎晩のように抱き合い、お互いに幸せを感じて早く一緒になれる日を夢見た。
「あのさ。子供が出来たらどうする?」
ふいに思いついた意地悪な質問をした。
「ん?俺とすかいの子供絶対可愛いよね!俺に似たらダメだけど、出来たら一緒に育てるよ。」
ほんとかよ。
でもさ、妊娠してもおかしくなかった。
むしろ、その方が事が早く進むキッカケになると思った。
彼の子供が欲しい。
私の欲望はどんどん深くなって行った。
彼が好き過ぎて。
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