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自然に横連携を生む評価制度とは?

こんにちは!米田 @ マーケティング変革実行中です。

組織の縦割りが発生する原因は、文化と人事制度の両方にある可能性を前に指摘しましたが、この記事では、人事制度の根本を変えなくても部門単位でも比較的導入しやすい「自然に横連携を生む評価制度」を紹介します。

人事制度が縦割りを生む理由は?

人事制度が縦割りを生んでしまう理由には、「上司と部下の縦の関係性だけでの評価」「組織の優先事項の違い」「人材流動性」等があります。また、評価制度などの人事制度は人事が決めているものであるため、部門単位でやり方を変えるわけにもいかず、枠組みの変更には通常は結構な時間と労力がかかります。

そうだとすると、人事制度を変える運用は現実的ではないと思うかもしれません。

被評価者に記述してもらう2つの事柄

しかし、ちょっとした工夫で本部単位でローカルルールを作ることで解決できることもあります。

被評価者が評価を受ける際に報告する内容には、たいてい自由記述式のテキストがあるはずです。そこに、以下の2つの事柄を含めてもらうようにガイドしましょう。

「自分が他者に貢献したこと」(Contribute to others)
「他者からの貢献も合わせて達成できたこと」(Build on others)

この2点を被評価者が記載するようになることで、実は被評価者側には「他人との連携による貢献が評価の中で測られている」という気付きが与えられ、日常業務の中でも他人との連携を自然に意識するようになるのです。

マイクロソフトなどの企業ですでに実施されている

実はこのような手法は、マイクロソフトなどの外資系企業ですでに実施されている内容です。私もマイクロソフトに在籍していたときにはこの人事制度を活用していました。

参考記事:

Business Labor Trend 2014.12」独立行政法人 労働政策研究・研修機構発行

マイクロソフトでは、2014年から評価制度を変更して、「社員一人の力で達成した成果と同時に、他の社員と連携して達成した成果も重視する」制度を導入しました。

制度全体としては、360度評価のように専用の評価ツールを使って直属の上司以外の人から評価を得られるような仕組みも入っているのですが、このような仕組みがなく、単純に被評価者が自由記述式のテキストに前述の2つのことを記載してもらうだけで、大きな違いが出てきます。

評価は定性的に行われる

この仕組みは貴方の組織でも本部単位で合意が取れればすぐに始めることができます。人によっては「被評価者に書いてもらった内容をどのように評価すればいいのか」という不安を抱く人もいるかも知れません。しかし、これは難しく考える必要はありません。この手法により、被評価者と評価者に取って以下のようなメリットが生まれます。まずは記述を始めてもらって、これらの利点を活かすところから始めるのがお勧めです。

  • 被評価者: 他人との連携で成果を出すことに価値があることに気付く。

  • 評価者: 普段見えていない部下の横連携の動きが見えるようになる。

評価は定性的に行うのがポイントです。マイクロフトにおいても定量的なガイドラインは出されていませんでした。逆に「連携した内容をいくつ書いたら何点加算」のように定量的にやってしまうと、それを逆算したチートが横行するためお勧めできません。たとえ、誰かがウソの記述をしたとしても、本部全体で記述を集約して全体を見渡せば、相互のつながりからウソかどうかもおおよそ分かってしまうものです。


このように、人事制度そのものを変更しなくても本部内で合意さえ取って本部長が決断すれば実行できる評価制度の変更もあるのです。このようなことから始めてみて、組織カルチャー変革を推進してみてはいかがでしょうか。

では、また!

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