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息子の言い分、母の言い分
もう小学校一年生。朝の支度を手伝わないことにした。
私なりの大実験だ。
朝、テーブルの上には昨日の宿題、鉛筆、消しゴム、プリントたちが四方八方に転がっていた。ランドセルもベロンと口を開け、横たわっている。
持ち主がだらしないと持ち物までナマケモノになるのか。
基本きれい好きの私はその日一日をムンクの叫び実写版で迎えた。
いつもならここで一喝するところだが、我慢我慢。
額に『忍』の字を書いて耐えに耐えた。
私の覚悟は相当なもので、なんなら遅刻してどういうことになるのか分からせてやろうくらいに思っていたのだ。
ダラダラダラダラ、一向に支度する気配がない。
それどころか私が怒らないことにもなんの疑問も持っていない。
―家を出る7分前、事態は動いた―
バタバタバタバタ!!!!!
え?鳥?
今まで牛のようにくつろいでいた息子、怒涛のスピードで支度を始めたのだ。しかも7分前という絶妙な時間配分!
「いってきまーす。」
え、何?
私が一言も言わなくてもきっちり学校に向かっていった。
息子の思考を察するに、今まで
『かーちゃんうるさいわ、まだゆっくりする時間あるやん。何を生き急いどんねん。準備かて分かっとるわ。こっちは学校やら習い事やら遊びやらで疲れてんねん。そないバタバタするなや。」
そうか、息子よ。
私は『前日に準備を済ませておきたい派』
息子は『直前に準備する派』
なのだな。
これって親子の相性の問題なのかな。世間的に前日に準備をしておくことが推奨されているけれど、別に出かけにササっと準備することが悪いわけでもない。ただ慌ててやったら忘れ物したり間に合わなかったりしますよ、ということ。
小学生といえど立派な一個性がある。それを理解して受け入れるのがいいのか、無理に矯正しようとするのがいいのか。
だた私は今日、息子は『こういう性格なんだ』とまたひとつ理解した。
母子ってどこか『自分と同じ』と考えてしまうけど、全く別の人間なんだと改めて感じた。
『彼は彼の毎日を自分の考えで生きている』
でもやっぱり、
私はこれからもボソッと『前日までに準備しなさいよ』とチクチク言い続ける母になるだろう。母の抵抗だ。
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