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映画『フラガール』に見るプロ意識

久々のnoteです。
皆さんお元気ですか。私はきっと元気です。

先日、久しぶりに『フラガール』という映画を見ました。
『フラガール』は2006年公開の李相日氏監督の映画で、主演に松雪泰子さん。出演者は他にも豊川悦司さん、蒼井優さん、南海キャンディーズのしずちゃんこと山崎静代さん、岸部一徳さん、高橋克実さん、寺島進さん、富司純子さんなど。
蒼井優さんと山ちゃんを繋げた映画、としても知られているとかなんとか・・・。

昭和40年、福島県いわき市の常磐炭鉱を舞台に、炭鉱で働き、生活の主軸にしていた人々の雇用規模縮小による失業への不安や、またそれによる町おこし事業「常磐ハワイアンセンター」設立への道のりを実話を元に描いた映画です。

はじめてみたのは小学校のとき、金曜ロードショーで。
かっぺたちがどんどん「フラ」という都会の、しかも外国の文化に触れて技術や意識が成長していく様子や、フラを教えるため都会からやってきた松雪さん演じる先生の心境の変化や、「炭鉱」という仕事を実際の様子(それでもかなりライトだと思いますが)はもちろん、当時の時代背景や地域住民の意識を交えたリアリティな描写に惹かれ、私の中では邦画でトップクラスだと思う映画でした。

初めて見てから10年かそれ以上経ち、歴史を知り人間を知り仕事を知り社会を知り、またそれらをさらに知っていく私が、26歳の今見て思った感想は、また違うものであることに気づいたのです。

それは表題にある「プロ意識」についての見解でした。

劇中において先生は、都会の大きな劇団に所属していた女優で、フラダンスを極めたプロとして炭鉱町を訪れ、町の人間たちはお高く止まった女として扱いますが、生徒たちと触れ合ううち態度は軟化していく、という設定で、彼女は人物の中ではほぼ唯一の「プロ」として劇中で描かれます。
物語の中で、町外へフラダンサーの営業興行に出る直前の楽屋で、先生・スタッフから町の炭鉱場で事故が発生し、しずちゃん(南海キャンディーズ)演じるダンサーの主要メンバーのうちの一人の父親が事故に巻き込まれた可能性があることが語られます。
この時先生は「ほら笑って!あなたたちはプロでしょ!」とダンサーたちを鼓舞しようとするのですが、ダンサーたちの「こんな時にでも踊らなあかんのがプロなんですか!」という声に折れ、一度は撤退を決めます。
ですが、ダンサー(しずちゃん)の「踊ります」という一言で先生・他のダンサーは出演を決め、踊って帰路につきます。
町に帰るなりダンサー(しずちゃん)の父親の訃報を聞かされ、先生は町の組合の面々から「親の死に目にも会えないのがプロのダンサーか!」と責められ、先生は町を去ることになるのです。

さて、私が疑問に思うのは太字にさせていただいた部分・・・
役者・演者として、「身内に不幸があったから、危篤だから、舞台に出ない、舞台に降りる」はプロなのでしょうか。そしてそれを一度は容認する先生は本当にプロなのでしょうか。
そもそも仕事に穴をあけることを良しとするのは社会人としてどうなんだ、という話でもあるし、役者・演者という娯楽を提供するやつが私情で動いてどうするんだ、と思う所が私にはあります。
「こんな時にでも踊らなきゃいけないのがプロなのか」
そうです。それが役者・演者としての仕事です。
「親の死に目にも会えないのがプロなのか」
そうです。それで仕事に穴が開いたらこれからの人生に直結するのが役者・演者の世界だと私は思います。

私は役者・演者ではありませんが、一応演劇ユニットのマネジメント(笑)の端くれとしての見解です。もし、彼女彼らに同じ問をされたら、私はこれを答えると思います。
これがただの企業であれば、「忌引き」という仕組みで休みが保証されているので、時と場合によるかもしれませんが、こんな時にでも働かなければならないのか!!!という悩みは少ないと思います。
でも役者・演者に忌引きはありません。
役者、というのは何を基準にプロになるか、というのはかなり不明確かつ曖昧なところではありますが、プロであろうがアマであろうが役者を志す限り、越えなければいけない壁だろうな、と思った一場面でした。
これ多分賛否両論あるよねえ。

で、関連として最早宣伝なんだけども、
『フラガール』を見たころに、演劇ユニット花色もめんの主宰が「売れること」についてブログを書いているので、ぜひ合わせてお読みいただければ嬉しいです。(笑)

『フラガール』は今でも大好きです!!!
作品の中というか脚本の話だからいちいちつっかかってもしょうがねえっちゃしょうがないけど、たとえ話として今回引用させていただきました。
ご出演者の質ももちろんよくて、私は好きな話なので(笑)、アマゾンプライムに入ってらっしゃる方はぜひご覧ください!!!

さおり

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