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【企業インタビュー】町の雇用を生むため食品工場を新設。カレーの販路拡大に副業人材を起用した結果、売上とは別の成果があった

岐阜県東部に位置する白川町は、面積の8割以上を山林が占める自然豊かな街。「ハンディキャップを持つ子どもたちが働ける場を作りたい」という想いで、この地でカフェなどを運営するのがNSプロデュースです。カフェで提供するのは、地元で採れた野菜をたっぷり使ったこだわりのカレー。県外からもお客様が足を運ぶほど人気を集めています。

さらに雇用を生むため2023年には新たに食品工場を立ち上げ、真空冷凍カレーの通信販売をスタート。今回、このカレーの販路拡大に向けて営業ができる副業人材を起用したという、代表の井上重博さんにお話を伺いました。

―現在の事業内容を教えていただけますか?

私は居酒屋経営などを経て、10年前に妻の実家のある白川町へ移りました。妻の両親は元気ですが90歳を超え高齢となりましたので、近くに住もうという話になったんです。移住後はキッチンカーによるカレーの移動販売から始めて、その後2020年にカフェをオープンしました。

私と妻は、以前からハンディキャップを持つ方たちを支援する活動もしています。カフェを開いたのも、この地でそういった方たちが働ける場を作りたいという想いからなんです。

また白川町は高齢化・過疎化が進んでいて、畑や田んぼの後継者がいないという大きな問題があります。それでも私はこの地で新しいことをしていけば、きっとこの状況を変えられると信じています。白川町の豊かな自然を守りながら、ハンディキャップを持つ方たちが働ける場を作り、若い世代が集まる町にしていきたいと思っています。

ただカフェだけでは、働く場所は限られます。そこで私のオリジナルレシピで作った「太陽のカレー」の小売りをしようと考えました。

食品を製造して販売するにはいろいろな規制をクリアする必要がありますので、やはり工場で作る必要があります。そこで補助金を活用して2023年に白川町に新しい食品工場を立ち上げ、真空冷凍カレーの製造と販売を始めました。

―副業人材を活用しようと思われた背景を教えていただけますか?

ちょうど食品工場を立ち上げたとき、地元の信用金庫と商工会の方から、白川町が副業人材を活用する企業を支援していることを教えていただきました。ちょうど私は食品工場で作ったカレーを全国に売ってくれる方を探していたので、Skill Shiftを使って募集してみようと思ったわけです。


―副業人材を採用するにあたって、どのように選考されましたか?

Skill Shiftを通じて募集をかけたところ18名の方からご応募いただきました。その中から書類選考で営業実績をもとに8名の方に絞り込み、面接をしました。

商品はすでにありますので、あとはこの商品をいかに売るかが問題です。ですから副業人材の方を募集するにあたって、特に実績が大事だと考えました。ですから面接でも「具体的な社名は出さなくてもいいので、どのような営業実績をお持ちか教えてください」という話をしました。

ほとんどの方がオブラートに包んだような言い方でしたが、今回採用した方だけは、すごく自信を持ってはっきり話してくださいました。大手企業の実績も多く、こちらがプレッシャーを感じるくらいでした。またこの方には、すごく熱意を感じました。他の方とは圧倒的な温度差がありました。

営業実績と情熱というところが、採用の決め手でしたね。面接はオンラインでしたので、一度お会いしましょうということになって、こちらに来ていただきました。実際にお会いしてこの方しかいないと思い、正式にお願いすることにしました。採用した方は東京にお住まいの60代の方で、ご自身でコンサルティング会社を経営されているそうです。

―副業人材の方に依頼している業務内容を教えていただけますか?

2023年の10月から契約していますので、4か月くらい経ったところです。まず営業するにあたって、サンプルなど必要な準備についてアドバイスいただきました。あとはもう、ひたすら企業とのマッチングをお願いしています。副業人材の方がさまざまなバイヤーにコンタクトをとっていただき、商談を進めて、私につないでいただくという流れです。百貨店など、私がびっくりするような大手企業にどんどん営業をかけていただいています。

私とは、週に1回くらいオンラインでやり取りをしています。こちらから質問することもありますし、副業人材の方からは営業をかけた結果をフィードバックしていただいています。

―副業人材を活用した成果について、教えていただけますか?

実を言うと、売上としての成果はまだ出ていません。でも違うところで大きな成果を感じています。副業人材の方は、本当にさまざまなところへ営業していただいています。その結果、営業先から、私の商品についてかなり厳しいコメントをいただくことも多いそうです。パッケージやネーミングについてダメ出しをされたり、冷凍だと取り扱いが難しいと言われたり。ばっさり「売れないと思う」と断言されることもあったそうです。

この厳しい意見が私にとっては、すごく勉強になっています。改善できる余地があるということですし、百貨店やスーパーとは違うところをターゲットにすればいけるのでは、という考えにもなります。厳しい意見をマイナスに捉えるのではなくて、「もっと向上しなければ」という前向きな気持ちになっています。

―今後の展望について、教えていただけますか?

副業人材の方にお願いしたことで、販売方法やターゲットの新たな方向が見えてきました。これは副業人材の方が大手でも全く尻込みせず、さまざまなところに営業をかけていただいたからこそだと思っています。

これまでさまざまな事情で、あえて冷凍という形でカレーを販売していました。でも今回の営業をきっかけに、レトルトにする方法をあらためて考えるようになりました。その結果、私の食品工場でもレトルトとしてカレーを製造できる技術を見つけることができました。今年の夏くらいからは、冷凍ではなくレトルトでの販売を計画しています。

また私のカレーは油を一切使わず小麦粉も最小限にしていますので、一般のカレーよりかなりカロリーが低くなっています。その特徴を生かして、スポーツやフィットネスの業界へ営業していくことも考えています。

副業人材の方には、最初から1年間はお願いするつもりでいました。結果が出ないからといって、短期間で終了するようなことはしたくなかったんです。副業人材にお願いしようと思ったのもこの方を採用したのも、全て私の判断であり、私に責任があります。ですから今お願いしている副業人材の方には、1年かけてできる限りのチャレンジをしていただきたいですね。

将来はカレーだけではなく、地元の農産物を使って食品工場をもっと稼働させたいと考えています。実際に、地元の「白川茶」を使った商品開発も始めています。

実は食品工場の他にも、牧場を立ち上げてヤギを飼っているんですよ。カフェも食品工場も牧場も、全ては雇用を生み出すため。ハンディキャップを持つ方たちが働ける場を作りたい、という想いでやっています。外から移住してきても、やはり仕事がなければ住み続けることは難しいですよね。過疎が進むこの町を盛り上げるためにも、今後もいろいろなことにチャレンジして、若い世代が働ける環境を作っていきたいと思っています。

COMPANY PROFILE

NSプロデュース
〒505-0004 岐阜県美濃加茂市蜂屋町上蜂屋3495-127

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