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好きな食べ物と思い出の繋がり

「好きな食べ物は何ですか?」

食いしん坊でグルメ好きな私は、この質問に簡単に答えられない。もしかすると聞かれて一番困る質問かもしれない。好きな食べ物なんてありすぎて無限大だ(笑)

しかし、ひとつだけ特別な食べ物がある。

それは、あんこだ。

煮小豆としてそのまま食べるのも好きだし、お汁粉やおはぎなど和菓子としてあしらわれているのも好き。ヨーグルトやトーストのトッピングにするなど、少し変わった食べ方もウェルカム。

あんこが好きなのは、味や食感など食べ物としての特徴が好みだから、ということは言うまでもない。しかし、それ以上にあんこには「楽しい思い出」がたくさんあるからなのだと思う。

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お正月が近づく年末、実家ではよく餅つきをしていた。

餅つきといっても、杵と臼を使うような本格的なものではなく、象印の家庭用餅つき機を使う簡易な餅つき。家族でお正月の数日を楽しめる程度の分量をこしらえる感じだ。

「今年は餅つき、いつにしようか?」

「縁起をかついで28日でいいよ~」

母と私は年末になると大体こんな会話を交わした。高校、大学、社会人、と私のスケジュールは目まぐるしく変わったけれど、餅つきの予定だけは自分にとって変わらず大切だった。

餅つき機から聞こえてくる独特の機械音と、部屋いっぱいに広がるもち米の香り。

お餅がつけたら、家族みんなであついあついと言いながら丸餅を作った。余った分をつまみ食いしたりして、純粋に楽しかった。

この餅つきと同時に必ず作ったのが、あんこだ。

お餅がつける前にあんこを準備しておき、お餅を丸める段階で大福も作る。大福はあんこが出てこないように包むのが難しいけれど、おいしさもピカイチだった。形はいびつでも味は絶品、ホームメイド万歳。

また、お餅とあんこはお正月のお汁粉にもなった。この時期に食べるあんこってなんでこんなにおいしいのだろう。

年末とお正月、餅つきとあんこ、それを囲む家族と空間。

私にとってのあんこは、これら全部の思い出が詰まったあたたかい食べ物なのだ。あんこが好きなのは、食べるたび、この思い出の味も無意識に感じているからだろう。

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上品な色合いの小豆
甜菜糖とぐつぐつ煮詰めて
あんこになる
家でついたゴマ入り餅とともに

結婚してからは、実家での餅つきに参加することはできなくなった。その代わり、自分が新しく築いた家庭で夫とともにささやかな餅つきを行っている(大体2kg入り1袋だから本当に少ないけれど)。

もちろんあんこも作っている。そのうち子どもが大きくなったら、餅つきやあんこ作りを一緒に楽しみたい。

好きな食べ物は何ですか?

その質問の答えには、食べ物自体が持つ魅力のほかに、特別な思い出がしっかりと刻まれているように思えてならない。

そのとき必要なことに必要な分だけ、ありがたく使わせていただきます。