中国は人工知能で世界の覇権を狙う
世界の覇権を取るための人工知能に関する国家プラン
2017年5月、香港へ出張した際ホテルのロビーでたまたま目にしたSouth China Morning Postを手に取り読んだ記事のタイトルはとても衝撃的だった。「世界の覇権を取るための人工知能に関する国家プランを検討中」と書かれていた。正直、目を疑った。
そして、2017年7月、そのプランが発表された。中国語で書かれているのでgoogle 翻訳にかけての流し読み程度だったが、内容はあくまでも方向性を示したものであったので、詳細のプランを役人が詰めているのであろう。下記はその国家プランへのリンクである。人工知能を使って世界のリーダとなるため(?)の3 STEP。2020年までの目標、2025年までの目標、2030年までの(ざっくりとした)目標が掲げられている。
http://www.gov.cn/zhengce/content/2017-07/20/content_5211996.htm
下記のSouth China Morning Postの記事によると、コアAI領域の価値は2020年までに1500億元、AI関連領域の価値が1兆元を達成。そして、これらの領域の価値は2025年までに4,000億元と5兆元(7,900億米ドル)を達成するとされている。もしも興味があれば記事を読んで欲しい。
脅威的な人工知能スタートアップ"センスタイム"
人工知能スタートアップの間では香港企業であるセンスタイム社(ILSVRC2016で3部門1位という脅威的な結果を出している)が先月2018年4月に実施したファンディングには度肝を抜かれた。 昨年の大規模ファンディングに続き$600M(約654億円)のSeries C調達に成功している。リードは同じ中国企業であるAlibabaである。
https://techcrunch.com/2018/04/08/sensetime-raises-600-million/
AlibabaはNVIDIAの牙城を崩す?
そして、Alibabaと言えば最近自社でニューラルネットワーク向けのチップを作っていると発表している。現在のニューラルネットワーク向けのチップは米国NVIDIA社の独占状態であるものの、徐々にその牙城を崩そうという動きはあちこちで始まっている。中国が人工知能で世界の覇権を取るというのであれば当然大量の人工知能研究用Chipが必要となるから、その全てをNVIDIAから購入するというのは非効率であり、自国内で生産しようというのは至極当たり前の発想だ。前述のセンスタイム社への大規模出資の背景にはそういった連携が当然含まれているだろう。
https://technode.com/2018/04/20/alibaba-npu/
まとめ
中国と米国の人工知能領域での戦いはますます激化していく。アメリカでは倫理的に実現が難しいような大規模テストを中国は国家や企業の大号令で実施できているので、そういう領域ではアメリカに勝ち目はないだろう。そのことを中国もよく理解しているに違いない。今回の話は、中国の人工知能領域における一部の動きでしかない。水面下はもっともっと野心的な動きに満ち溢れているだろう。
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