「側」の話

自分は結局どこまで行っても、

「（何かを生み出して/もしくは何も生み出さなくてもその在り方で）他人の感情を動かす側」

の人間ではなくて、

「（誰かの存在や創作物や生き方等々の）影響を受ける側、（いろいろな意味で）消費する側」

の人間なんだなと（この歳にもなって）最近痛感していてつらいし悲しい。なおこういう思考はもっと以前に経験しておくべきことなのかもしれないのですが、わたしはそれを履修してこなかった。

でも、こういう「側」の人間がいることで、そういう「側」、あちら「側」、の人間たちの生きる意味を生み出しているのじゃないかと、都合よく考えて生きていくしか、わたしにはできないのがまた虚しい。

卑屈で尊大な考えである自覚はあります。はい。

こういうの、山月記にありましたね。（"臆病な自尊心と尊大な羞恥心"でした。）

きっと彼らはわたしがいなくたって生きていける強さがあるし、わたしがいなくたって創作し表現するんだろう。そもそも別に何もこちら「側」のことは気にしちゃいないんだろうな。こちらはこんなにも考えているというのに。なんていうのは傲慢でしかないのは痛いほどわかっている。そんなことはわかっているんだよ！

それでも彼らが"ごはんを食べていける"のは、こちら「側」の人間がお金を払っているからだと、それか回り回って届いているからだと、そう信じてもいいですか。

がんばれと応援する気持ち、生き方に感動する気持ち、楽しむ気持ち、悲しみに嬉しさに（勝手に）共感する気持ち、そんなひとつひとつのわたしが受けた影響が、感情が、あちら「側」の彼らに届いて活力となっていればいいな、なんて不遜にも思っていることは全く否定できないし、むしろ思っています！届いてくれ！と全力で発信しているこのアカウントなのだけれど、そんな「側」にいる自分が悔しくもあり、やっぱりなんだかんだで大事でもあり、こんなわたしも存在していていいと思いたい。存在する価値がある存在であると思いたい。

でもそもそも勝手に線を引いてなおかつ自分の存在価値を彼ら「側」から与えてもらうものだと考えている時点で本当にわたしは救いようがない。どこまで"彼ら"に依存する気だ。

そしてこんなことを公開の場で書くことそれ自体で、自分もあちら「側」に行きたいと考えているのが透けて見えるのがマジで超ダサい。ダサすぎる。

10時に起きて昼間はYouTubeを見て多才な人間のピアノにぶちのめされ、Amazonプライムで高校の部活を回顧しながら映画を見て、Amazonで届いた本を読んで、と、散々にこちら「側」としてあちら「側」の彼らが作った、創った、造った、生み出したものたちを消費し影響を受けたり受けなかったりし、昼寝して、怠惰に過ごした挙句、こんなことをクーラーかけた部屋の中でひとり考えて、居場所となっているベッドに座りながらポチポチiPhoneに1時間以上もかけて打ち込んでいる、社会人5年目の夏休み。

きっとものすごくさみしい情けないどうしようもない人間に見えるんだろう。そしてなおかつ努力もしていない。そう見えるんだろう。わかっている。

どうやったら救われるんだろうなんてことを考えている時点でダメなんだよね。立たせてもらうんじゃなくて、自分で立っていかないと。まあそんなに簡単にできるなら苦労していない。

あちら「側」の人たちがこの概念についてどう考えているのかは全然わからない、こちら「側」の人間は、こちら「側」として生きている限りは、あちら「側」の人たちが考えていることを、ほとんど知らせてもらえない。（だからジャンル問わずそれを少しでも見せてくれる人にはとても興味を持ってしまったりもして。余談です）

「側」なんてない、みんな同じ人間だよ、ただあえて何もかもは見せていないだけだよ、と思われるのか。まあわたしだって全てを書いているわけじゃあ全然ないし。こちら「側」の、わたしの、マインドの問題なのか。結局のところみんながみんなどちら「側」にもなり得るのか。

「側」について、どう思いますか？

わたしがあちら「側」だと考えている人たちは、このわたしの文章を読んでどう思うのか。教えてほしいです。向こう「側」のあなたに。そして同じくこちら「側」だと思うあなたも。「側」なんてのは卑屈なお前が生み出した諦めの区切りでしかないと思うあなたも。みんなに。教えてほしい。

Twitterで見たレシピでパスタ作ろうかなと思いつつこんな時間に食べたら絶対ダメだよなと葛藤、22時半。

あちら側に行きたいと願って頑張るのとこちら側としてこちら側の使命（なんてものがあるのかわからないけど）を全うするのとどちらが楽しいんだろうね。

どちら側でも、楽しければそれでいいんだろうけど。