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【教師って何のプロフェッショナル?】〜教師の専門性を意識する

お久しぶりです、スケボー先生です。

自己紹介と日々の取り組みについては以下の通りです。

最近は学校行事、部活動の大会、定期試験の準備、大学院の課題と大忙しで、なかなかnoteにまで手がつかずの2週間でした。

これからも部活動の大会、成績処理、そして大学院の課題が引き続きありますが、思考整理のためにも、最近考えている内容を記事にまとめていきたいと思います。




1.教師のプロフェッショナルとは何かを考える


改めて、教師の専門性とは何だろう?塾講師との違いは?

私の周りには「プロフェッショナル」という意識をもって働いている親友が多いです。例えば美容師、インテリアデザイナー、ファッションデザイナー、アートディレクターとして(こうして書き出すとやたらアーティスティックな友人が多いですが…)、彼らは自分の「プロフェッショナル」に自信ややりがいを持って働いています。
私から見て、彼らは自分の仕事に対してこだわり・やりがい・情熱を持ち、キラキラ輝いているように見えるのです。
数年前、そうした彼らを見ていた時に、ふと「自分の教師としてのプロフェッショナルとは何なのだろう?」と思いました。

これを聞いた人は、「そんなの勉強を教えることだろ!」とか「子どもの成長に関することでしょ?」と当然のように思うかも知れません。
しかし日本の学校の先生というのは、本当に多種多様な業務をこなし、本来は教えることや子どもの成長に関するプロフェッショナルであるべきだとしても、それ以外の業務にもある程度の専門性が求められているのが現状です。

例えば、公立の中学校教員の業務にはどのようなものがあるか、私が思いつく限り挙げてみます。

  • 教科指導とその改善(校内研究・校外研修含む)

  • 児童生徒(不登校・発達障害などの生徒も含む)の指導・支援

  • 児童生徒の日々の観察(学級運営含む)

  • 保護者対応(PTAも含む)

  • 部活動指導

  • 学校・学年行事の企画・運営

  • 分掌(部署)ごとの様々な事務的業務→学校全体の組織運営

  • 学年運営(教員同士のチームワーク構築)

  • 地域との連携、関係の構築

上述した業務には、どれもある程度の専門性が求められると思います。

学校現場では、どれか1つの業務の専門性が高い先生よりも、あらゆる業務を全体的に70〜80点くらいでこなす先生というのが学校や同僚としても「仕事ができる先生」、生徒や保護者にとっても「良い先生」として扱われるのではないでしょうか。

私も最初の5年間くらいは、まさにこの全体的に70〜80点をこなす先生でいようとしましたし、実際にこうした多様な業務を問題なくこなすこと自体が悪いとはまったく思いません(多様な業務を8割程度でこなす、というのも1つの専門性なのかもしれません)。

しかし教員生活もある程度経ち、様々な業務もそれなりにこなせるようになってきたからこそ、周りより突き抜ける何かが自分の中で欲しい。
先に述べた親友たちと同じように、私も何か100点を目指す業務=自分で自信を持ってプロフェッショナルだと言える部分を教師という職業の中で見つけたい!と徐々に思うようになりました。


2.私が選んだプロフェッショナル〜「教科指導の専門性」

専門性が求められる多様な業務がある中、まず私が選んだのは「教科指導の専門性」です。

この専門性を選んだ理由としては、

  1. 中学校の教師という仕事をしている以上、この専門性は避けては通れないから。

  2. 教科指導は現在の教育の営みにおいても根幹をなす一部であり、学校運営においてもまずは教科指導が成り立たないと、他のすべても成り立たないから。

  3. そして私自身がアメリカの大学で学び方を学んだことによって、高校まで苦手だった社会科や学習自体が好きになったように、私も授業を通して学ぶ楽しさを生徒に少しでも感じてほしいと思ったからです。

こうした理由や思いもあり、現在大学院で国際バカロレア(IB)について勉強していますが、IBの教師にはまさにこの「教科指導の専門性」が求められます。

そこで、ここからはIBについて学んでいる内容も含めて、教科指導の専門性として具体的に何が必要なのか、いくつか項目をピックアップしていきたいと思います。


◆教科自体の専門性

私の担当教科は社会科です。まずは自分の教科の専門知識がないと話になりません。
社会科は地理・歴史・公民があり、幅広い知識と各分野の関連性への理解も深めていかなければなりません。
また現代社会や世界情勢は常に変化し続けるので、そうした変化にアンテナを高くし、社会科の知識をアップデートしていくことも、この社会科という教科に求められる特性でもあります。

一方でIBにおいては、「概念」理解(いつ、どこにおいても共通しており、他の教科などにも転移できる知識理解)を重視しているので、先ほど述べたような変化だけでなく、社会科という科学を通して言える世の中の普遍性についても同時に考えていかなければなりません。


◆理論や学習・指導方法の専門性

同じ教科を指導するにしても、教師によって様々な教育哲学、教育理論、学習・指導方法を持ち合わせています。

教育哲学は「教育とは何か」という真理を追求するための土台(姿勢)となります。
教育理論はその土台に基づいて、「教育をどのように営んでいくか、なぜ営んでいくか」などの主張となります。
そして学習・指導方法は、教育哲学や理論の実践となります。

例えば私の場合は、教育哲学的には教育人間学を、教育理論的には経験主義・構築主義をベースとしています。また学習・指導方法は探究学習に重点を置いて取り組んでいます。

こうした教育哲学、理論、そして学習・指導方法に基づいて、社会科という教科指導に日々取り組んでいます。

自分の中で教育に対する姿勢・主張・実践を意識化することにより、次に説明する評価やビジョン・目標の設定にも繋がります。


◆評価の専門性と目標の設定


一般的な通知表は、学習者のごく一部分の評価しか示していません。

「評価」については、先述した教育理論や学習・指導方法にも含まれる部分だとは思いますが、この評価1つだけとっても十分な専門性を必要とします。

我々が慣れ親しんでいる評価とは、テストの点数に応じて1〜5、あるいはA〜Cといった数字、アルファベットで成績がつけられることを指します。

しかし評価にも多様な種類や目的があり、先述した獲得した点数の平均値から1〜5、あるいはA〜Cといったアルファベットで概算する評価と言うのは、多様な評価のごく一部に過ぎないのです。

例えば学習指導要領やIBでは総括的評価(到達度を測る評価)形成的評価(学習者が課題や目標に到達するためにフィードバックを与える評価)の重要性が指摘されています。

総括的評価をするためには、内容や目的が明確な目標(到達度)の設定が必要です。そのために、ルーブリック(学習到達度を示す評価規準を、観点や尺度からなる表として示したもの)も作成します。

また他にも、診断的評価(学習を始める前後にどれくらい理解している/したか)や、"Assessment as Learning"(学びとして評価=相互評価やモデレーションを行い、自分の学習状況をメタ認知する。評価を学ぶ)などもあります。

教師は教科指導において、こうした様々な評価方法を活用し、目標を設定して、学習者が学びにおける自分の立ち位置を明確にできるルーブリックを作成する、といった専門性が必要だと思います。


◆カリキュラム・マネジメントの専門性


教科指導において、教科の年間計画や単元設計(IBではユニットプランナーの作成)にも専門性は必要です。

行き当たりばったりに、あるいは教科書の指導書通りに教えるのではなく、前項でもお話しした目的や目標に基づいて、どのような内容を、どのようにアレンジしていくのかについて熟考していかなければなりません。

また近年は教科横断的な学びSTEAM教育といったキーワードも取り上げられ、探究的で深い学びを創出していくには自分が担当する教科を中心に、他教科とも協働しながらカリキュラムをマネジメントしていかなければなりません。

私もまだまだカリキュラム・マネジメントについては勉強中ですが、これについては自分一人では何もできません。
ですので、同僚たちと協働して、生徒がある教科での学びを他の教科や活動にも転移させることのできる仕掛け作りをしていければ、と模索中です。
ちなみに、私は現在この本を読みながら勉強中です。


3.最後に

久々のアウトプットでかなり長文になってしまいました。
最後まで読んでくれた方、本当にありがとうございます。

これだけ「教科指導の専門性」を主張してきましたが、教師に必須の要素はもちろんこれだけではありません。そもそもの人間性や生徒観(生徒という人間の捉え方)も重要だと思います。

また、私が今回の記事で主張したかったもう一つは、こうした教師の専門性を意識することにより、教師の間で「棲み分け」(=自分の専門性を活かせる分野で教師の仕事を分ける)が進み、教育現場のブラック労働の改善にもつながるのではないでしょうか。
もっと言うのならば、学校に何でも専門性を求めるのではなく、学校でキャパオーバーとなっている専門性を伴う業務は外部へ委託し、学校の業務を精選することが働き方改革にもつながると考えます。

だからこそ、教師の皆さんも今一度、教師の専門性について考えてみませんか?

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