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マニュアルと個別性の考え方

【マニュアルの考え方】


どの企業においてもマニュアルの確立はその企業のクオリティの担保と言っても過言ではありません。

マクドナルドさんも、今話題のLIMさんも、ディズニーランドも確固たるマニュアルの元で従業員の皆様はお客様と接しております。


そしてマニュアルを超えた対応、サービスに感動が生まれる、と。


様々な企業の教育部の皆様とお話をさせていただく機会を今までいただき、特にBtoCでサービス展開をされており、成功している企業様に共通しているマニュアルの考え方。


それは「マニュアルは下限設定である」とマニュアル製作者が理解と認識をしているということ。


マニュアルでクオリティハイを目指そうとしてしまうとここに大きな落とし穴があります。
それは「従業員様の個性を潰してしまうこと」です。


人は縛られると破りたくなる者です。
あくまでも企業のクオリティの最低限担保したい部分に対して、マニュアルを作成しそれを世の中のニーズに合わせて常にバージョンアップしていくこと。
これを間違えてマニュアルで固めようとすると、優秀な方ほど離職するという悪循環になります。

しかしあくまでも下限設定の考え方は製作者のマインドの話であり、本当に下限を設定しようとしてマニュアルを作ろうとするとそれは失敗する。

ここが非常に重要なポイント。


【個別性との共存】

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ここからは私の業界のお話と経験を中心に。私の過去の経歴はこちらでご確認ください。

https://note.com/skanno1107/n/na19c047cb36d?magazine_key=m74642b5852b7


よく語られるのはマニュアルや体系化されたモノは個別性を損なうというお話。
さてそれは果たしてそうでしょうか。

企業のマニュアルとは別に、自分自身の中のマニュアルという考え方でここからは進めてみます。


個別性とはその方に合わせた処方やサービス提供を行うこと。
特に職人的な職業になればなるほど、それは顕著になりますし、
マニュアルがあるディズニーランドもリッツカールトンも最終的には各従業員様がお客様がご満足するためにどう動くかの裁量を持っていることも納得できます。
そしてそれが感動を生むことも。

さて、ある女性のお客様がスクワットを行った際に膝が内側に入るというエラーが起きたとしましょう。
この情報だけであなたは原因を何と考えるでしょうか。

・中臀筋
・足部の回内
・TFLのタイトネス
・生理的X脚
・モーターコントロール
・腰椎の過前傾
・大腰筋のタイトネス
・LLのエラー
・DFLのエラー
・中枢神経系やモーターコントロールの問題
・そもそも内側に入ることは本当に悪いのか

などなど。
あげればキリがありません。

さて、ここでマニュアルの話。
「マニュアル=固定的なサービス」この概念を再考したいと思います。

スクワットで膝が内側に入るエラーが起きた際にあなたが考えた原因。
それはあなたの頭の中のマニュアルから導いた解ではないでしょうか。

誰しも自分の中の思考の順序の癖があり、それは自分自身の経験、いま学んでいることのトレンドなど、必ずその方なりのマニュアルが存在します。

結局はその方の姿勢やエクササイズフォームを見て、あなたの中にある膨大な情報の中からお客様に最適な処方を行うというマニュアルを駆使している。

マニュアルで個別性が損なわれるというのはあくまでも選択肢が狭く、限定されたルールの元で取り扱われるものであり、マニュアル自体が悪いわけではない。
私はそのように考えます。

一方で教育者の立場からすると汎用性の高いマニュアルは従業員様をオーガナイズすることや教育浸透のスピード感を損なうことにも繋がるので、ここは腕の見せ所。

ただ、一つ共通していなければいけないことは。
汎用性の高いマニュアルであっても、シンプルなマニュアルであってもお客様視点で作られているかどうかということ。


【マニュアルを使うことと、マニュアル作ること】

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ここまではマニュアルの考え方についてお話ししてきましたが、ここでは製作者側と使用者側の能力について。

前述した頭の中にあるマニュアルを実施することは、その方の経験と思考の癖から導かれた、いわば無意識の中で選択しているものです。

一方でマニュアルを明文化し、資料化し、顕在化するのはまた別の能力が必要です。
ここに大きな違いがあります。

この2つを有することは、企業拡大において非常に重要な能力であると考えます。


私が特に意識していたのは前述した通り、
お客様目線を前提に現時点での100点の下限設定の認識のもとでマニュアルを作成すること。

そしてパーソナルトレーニングでお客様と1対1で提供するサービスだからこそ。
マニュアルには一切記載されていないところでの人との繋がりや寄り添いが感動と満足度を最大化させるということ。

ご入会されるときのお客様は「トレーナー個人ではなく、会社やジム」に価値を感じてお越しいただきます。
ですが、1ヶ月後には担当トレーナーに価値を感じて続けるのです。


ここに大きな「サービス」の根源があります。


今まで総計3000名の職人と呼ばれる職業(パーソナルトレーナー)の方に向けてメソッドやプログラム、サービスを製作、研修、運用をしていての感じたこと、学ばせていただいたことです。

【お客様目線でのマニュアルと、購買の為のマニュアル】

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最終的なお客様の為にという気持ち、マインドがなければマニュアルは破綻する。
最後はそんな話。


そのマニュアルはお客様の為に作成されたものなのか。
それとも自分たちの為に作成されたものなのか。


ある営業マニュアル。
①笑顔で挨拶することでお客様の警戒をときます。
②自社商品を提案する前にお客様の話を聞くことを徹底します。
③話を聞く時にはうなづきや相槌をうつことで更に信頼構築に繋がります。
④聴き終えたら、お客様の話に合わせてプランを提案します。
⑤提案したいプランがBの時はA,B,Cの3択で提案することで、真ん中のBの選択可能性が高くなります。
⑥提案している時に自分が前のめりになった際に相手が体を後ろに引いたら、潜在的にまだ警戒心があります。


自分がその会社の消費者だったとして、このマニュアルを見た上でも購入するでしょうか。

ディズニーランドのマニュアルの一例
(詳細な表現は相違がございます。)
①お客様はディズニーの世界を楽しんでますので園内にゴミが落ちていないか常に気を配りましょう。
②ゴミを見つけた場合には必ず足でゴミを扱いましょう。
③ゴミをしゃがんで拾った際にあなたの後ろが死角になります。
④そこに子どもが走ってきて、立ち上がった際にぶつかって転倒することを防ぐ為です。
⑤お客様の安全を最大限配慮することを最優先にして、足で扱うことを徹底しましょう。


どっちのマニュアルがお客様にとって嬉しいでしょうか。
そして、働く従業員様がワクワクするでしょうか。

一方でここでお伝えしたいのは営業マニュアルが悪いと言うことではありません。

職人の業界になればなるほど「売る」と言う言葉へのアレルギーは強いように思えます。

これは私も研修で聞いた言葉でとても素敵で好きな言葉ですが


「売り上げる」ではなく「売り上がる」サービスを提供する。


結果は同じでも根底にあるマインドと想いが異なります。

今後も私の中で大切にしたい言葉です。

「あとがき」


さて、ここまでマニュアルの考え方を述べて参りましたがいかがでしたでしょうか。
ヒトは誰しも自身の経験から、自分自身のマニュアルを持っています。

それを顕在化し、言語化することで組織の拡大の一助になります。


マニュアルは決して個別性を失うものではなく、その企業で譲れない下限クオリティであること。
そしてその下限は、その時の最高のものであること。

マニュアル作成者は下限を徹底できれば、事業のクオリティやコンセプトは守ることができる。
このマインドで作成し、それ以上は社員様の個性とアイデアを最大限尊重すること。


もし。
社員様がマニュアルに大きく外れてしまうことを行なった際には是非「なぜ、それを選択したのか、実施したのか」を聞いてあげてください。
そこにはその方の誰にも言えなかった心の叫びや、こちらでは到底思いつかなかった素晴らしいアイデアが詰まっているはずです。


自分の路線外にいる方の価値観も認め、承認してくれる。
そんな上司に出会えたたらとても幸せだと感じます。
時代もヒトも変わります。
そして自分自身も変わり続けなければ取り残されてしまいます。


4ヶ月を過ぎた息子が必死に寝返りの練習をしている姿に色々なことを感じ、改めて努力をしていこうと思いました。

大切な方へのサプライズも過去の成功体験や誰かの体験記を踏まえて準備するマニュアルです。

でも、根底にあるのは相手を喜ばせたいと言う温かいものです。

サービスも自分もそんな想いで走り続けたいと思います。



Your Fitness.

shota.

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